…また、おまえか。今日はどういうつもりだ？港の子らのために便宜をはかりに来たのか？しかし、無駄だ！

口をはさむ暇もない。

ただ、おまえがワシの話を聞くなら別だ。礼金をたんまりやるから、冒険者として、ワシの依頼を受けるのだ。

ほほう。聞いてみよう。

おまえはできる冒険者のようだ。そう、冒険者は、いつでも冷静に物を見る眼を携えてなければならん。

あなたにも冷静になってほしいです…。

いいか、あの子らの話が本当だとすると、あの子らだけでカーディアンを分解できるとは到底、思えん。

意外と冷静だった。

カーディアンについてはあまり詳しくないが、あれが黙って分解されるわけがないからな。おそらく暴れ出してしまい、大変な事故がおきるだろう。

そこで、おまえの出番だ。あの子らを守るためだ、おまえが手を下すのだ。
えぇー。

あの子らには、永い間恨まれるかもしれんが、それは諦めるのだ。あの子らが、この件で悩み苦しみ続ける姿はもう見たくないだろう？

それはそうなんだけど。
うーん。

まぁ、一度ジョーカーに接触して、魔導球を取り出せない理由をはっきりさせないとホノイゴモイは納得できないよね。

例えば癒着して取り外せませんーとか。
ジョーカーが強すぎて手が出せませんーとか。

今ジョーカーどこにいるんだろう。
よく英雄の家に出没するけど…。

あれ？ドア開いてた。いるのかな。

…あら？りぃさん？

あれ？アプルルちゃん。
どうして、この家に？ここは、大天才カラハバルハの家よ。いえ、正確には住むはずだった家…ね。

ただの天才じゃなくて、大天才なんだ。

だからかしら。ここで、カーディアンが出入りしているのを見たって言う人がいて、わたしも見にきたの。

カラハバルハの家だから、カーディアンが出入りしてる？
ゾンパジッパの家じゃなくて？
何故？

そうだ、一緒にみてまわりましょうよ！あなたも一緒なら心強いもの！
うん。アプルルちゃんが来て助かったよ。

私じゃ見ても分からないからなー。

これは、きっとカーディアンが入っていた箱だわ。

ジョーカーが入っていたね。
ピチチちゃんが持ってた魔導球がここで吸い込まれて動き出した…。

ここにあるっていうことは、古いカーディアンのはず。20年前の、わたしのお父さんが作ったカーディアンかしら…？

20年前から空き家になってて誰も入れなくなってるから、新しいカーディアンは置かれていないはず。ってことかな。

あ、なにか書いてある。ええと、「…トライマライ水路にて…？」

トライマライ水路？この箱に納められていたカーディアンはトライマライ水路に関係があるということ？
トライマライ水路にて…何だろうね？

冒険者さん、わたしのかわりにトライマライ水路へ行ってみてくれないかしら？なにか、手がかりがあるかもしれない！
うん。わかった。

少しでも怪しいものを手に入れたら、わたしのところへ持ってきて！わたしも20年前のことを調べてみるわ！

トライマライ水路のコッファー開けたら出る、ジョーカーのカードが必要なんだって。
これは流石に持ってないから、取りに行かねばだわ。

カギ買って…。意外と高いわね…。

うおおおおおお

うおおおおおお

だいじなもの:ジョーカーのカードを宝箱から手にいれた！

取ってきたよ。
これは…。とても古い、カーディアンのカードだわ…。

でも、このカード、おかしいわ。マークがなくて、奇妙な絵が書いてあるだけ。それに、なんの魔力も感じない。

まんまトランプのジョーカーみたいなのね。

不思議だわ。だって、カーディアンのカードというのは強い魔法のカードなの。
そうなんだ？

それは、わたしのお父さん……前の手の院院長が考えた魔法のカードでね、カードの持ち主の「対となるカーディアン」の魔法を解いて、機能停止させるためのものよ。

対となるカーディアン？

その意味がわかるかしら？古い時代のカーディアンたちは、自分が持っているカードを使って、対となるカーディアンを機能停止させることができるように作ってあるということ。

例えば、Two of Cupsはカップ2のカードを持っていて、このカードで自分が停止されるわけではなく、対となっている相手を停止することができる。ってことね。

対となる相手は、マークと数字ごとに決まってるのかな？
それともカーディアンが作られた時に決められるのかしら。

どうしてそんな仕様にしたのかな。
問題が起こった時対策？

…お父さんは、人間と同じように、カーディアン同士が殺し合いできるように作ったのよ。残酷よね…。

それは…。完全に兵器として作ったってことよね。
戦時中だし、そうなるのも道理…なのかな。

いけない！なんだか暗い話になっちゃったわ！そんなことより、このカードよ！

このカードには、対のカーディアンを止める魔法がかかっていないわ。ということは、ただの失敗作の可能性が高いわ！

何の変哲もない普通のカード。ってこと？

あとは…、ありえるのは…「対のカーディアンがいない」ということ？それはつまり、カーディアンの中では孤高の存在ということに…

ジョーカーだから、きっとそっちの可能性が高いよね。
ヴァナ・ディールのカードにはジョーカーの存在が無かったのかな？

りぃさん、このカード、買い取らせてちょうだい！わたし、なんだか気になるの！
えっ、いいけど、あげるのに。

うーん、結局ジョーカーは見当たらず。

見つからないから魔導球も貰えないなぁ。
なーんだ、仕方ないなぁ～！

な、な、なに！？冒険者のくせに、いったん受けた依頼を断るだと！？
うん。

この身のほど知らずめ。ワシの依頼を断るとは、なんという愚か者なのだ。
だってジョーカーいないんだからどうしようもないじゃんよ。

…もう、いい。なじるのも無駄。冒険者なぞ、いくらでもいる。他の冒険者に頼めばいいことだ。
もう子どもたちに無理言わない？

話はすべて済んだ。港の子らと共に、美しい夢の世界で生きるがいい。おまえには、それがお似合いだ。

うーん、多分これ以上こっちに言っても埒が明かないのは分かっただろうから、おそらく人を雇ってジョーカーを探すよね。

子どもたちはひとまず安全だろうし、ジョーカーに勝てる人がいるとも思えないし、とりあえずまぁいっかー。