わぁ。一面灰色。別の世界かぁ。なるほど。
ライオン殿…!
ザイドがなぜここに!?
いや、復帰後まだ会ってないはずだから初対面?
ああ、りぃ。そっちの女性は…?
イロハだよ。未来から来たの。
未来から…?変わった話ね。でも、この妙な世界が生まれたことと関係がある話だというなら、理解できるわ。あの渦に吸い込まれて、どうなることかと思ったし。
そうだよ。すっごい元気で良かったよ。
ああ、そうそう。彼が助けてくれたの。
貴殿は…ザイド殿、でございましょうか?
ああ、そうだ。アルドから話は聞いているぞ、イロハ。この場所に異変が起きているという話を聞いて、俺も調査にやってきたのだ。
ザイドも忙しいねぇ。
色のない世界。まるで、死んでしまった世界のようだ。
怖気がたちます。森羅万象あまねく、冷たい抜け殻のよう。
なんか、灰になった感じがあるよね。
ここは聖地ジ・タに似ているが、まったく別の場所だ。別世界と言ってもいいのかもしれぬ。…もしや、これが未来の世界なのか?
いえ。私めの感覚では、ここは未来ではございません。おそらくは、いつか世界を包み込む、滅びをもたらす闇の…その闇が見せている幻のような世界ではないかと…。
おおー。未来とか過去とかにいる感覚があるんだね。イロハの宮司の力なのかな?
ん?何の音?
…?なにかが、鳴っている?
鈴の音、でございましょうか…?どこぞで聞いたことがあるような…?
聞いたことあるの?未来で…だよね。
うっ、なに…?
おぉ…何者だッ…!
ライオンがうずくまって、ザイドが暴れだしたぁ!危険!オチツケー!
ザイド殿、ライオン殿!気をしっかりお持ちなされ!!
今のは何だ…?意識がはっきりしないまま、身体が勝手に動いてしまった…。
操られており申した。
なんてことなの。
え、なんで私平気だったの?
イロハは宮司の力とか、未来の人だからとか理由がありそうだけど。
だ、誰かつっこんで!!
師匠。この世界は「エスカ」と呼ばれていた世界やもしれませぬ。
エスカ?
師匠の教えを思い出し申した。「中の国にて、いくつかの地方が闇に飲まれ、色のない世界が現れた。それこそが世界を滅ぼす闇の始まりであった」。それが「エスカ」。
えっ!じゃあここ、すごいやばいところなんじゃ?
闇…。
そういえば、復帰してからはまだ行ってないけど、プロミヴォンもここみたいに色が無くて灰色じゃなかったっけ?プロミヴォンってどうやって出現したんだっけ。覚えてないや。
ただ、私めの知る歴史では、その世界が現れるのは、今より一層後の世のこと。なぜ、この時代で現れたのでございましょうや?
うーん、なんでだろう?
もしやと思うが。歴史が変わっている…のだろうか?
なるほど、よくある話!
となれば、早急に未来を変えねば、今この時間もどうなるかわかりませぬ。
イロハよ、この「エスカ」という世界自体を消し去る方法はないのか?
大変申し訳ございませぬ。私めには、わかりかねます。
未来ではエスカはどうなってるんだろう?
そんなの分からないくらいハイパー闇だらけなのかな。
この世界の調査を続けるしかないか。だが、あの鈴の音の正体がわからねば危険な探索になるは必至。
もう一度、クリスタルのところに戻るべきかもしれない。
さっきの母なるクリスタルのところ?
不思議な気分なの。クリスタルが呼んでいる気がして。
ライオン殿は、未来に繋がる大事な力をお持ちの方に違いありませぬ。
なかなか強い断言!
あれ?この物言いってことは、イロハは未来でライオンと直接会ったことないのかな?未来がどうなってるか気になってきた…!
師匠、クリスタルの元へ行けば、何かわかるやもしれませぬぞ。
行ってみるかー。