真紅のグリモア 其の弐

壁面に複雑な数式らしきものが
びっしりと落書きされている……。
移送魔道式の写しの文字が輝き始めた!

りぃ ぬおおー!

いた。

ウルブレヒト ……りぃか。ここを嗅ぎつけた知力は、軍学者として誉めてやらなくもないけど……しつこい奴だな。

ウルブレヒト 偉大なる戦術魔道大典が間もなく完成するんだ。悪いけど弟弟子くんの勉強を見てやるヒマはないんだよ。

ひぃ。
血が…。

ウルブレヒト ……と諭したところでおとなしく去るような奴じゃなかったよな?

これは、力ずくパターンですね。

ウルブレヒト 仕方がない。兄弟子として胸を貸してやろう。

ウルブレヒト 敬意と感謝を学んで……死ね!

どりゃー!!

ちょっと時間かかったけど、学者で倒せた。

ウルブレヒト はぁっ……はぁ……。くそっ、この僕が、なんてザマだ。

こっちは5人がかりですからね!

ウルブレヒト 戦術にこだわっている場合じゃないな。悪いね、りぃ。僕は、こんなところで終わるわけには……

ウルブレヒト いかないんだよっ!!

ん?本が。

あっ。

ウルブレヒト はっ、ははは……!見ろ、これが真の戦術魔道大典「真紅のグリモア」だ!

ウルブレヒト 魔道の血にて編纂されし「全知」なる大典……これがあれば……これがあれば、僕は!

光ってるぅ!

ウルブレヒト さぁ、グリモアよ!我が学究に応え、頁を開け……

ん?
まだ血が滴ってるけど大丈夫なの?

ああっ、ボタボタと。
まだ早かったのでは!?

ウルブレヒト 僕の頭脳に森羅万象を授けろッ!!

どうなるんだ…。

ウルブレヒト ……!

足元が!

ウルブレヒト なっ、なんだこいつは!?

底なし沼みたいになってる。

ウルブレヒト バカなっ、ありえない……!こ、こんなこと、こんなッ……!?

ウルブレヒト うおぉぉおぁあああぁぁ……。

??? : ……やれやれ森羅万象の叡智など幻想にすぎないのに……。

シュルツ…。

シュルツ 己を知ることは、軍学の基礎中の基礎ですよ。「生兵法は、大ケガのもと」……そう教えましたね?ウルブレヒト。

シュルツ 人は己が至らぬを知るときそこに進歩が生まれ、発展するものなのです。たとえ、全知なるものが存在し手に入れることができたとしても君は人として終わっていたでしょう。

結果がどうなるか分からないけれど次の手は打ってある。って影と話してたのがこのウルブレヒトの行動か。

シュルツ ふぅ……それにしてもグリモアの叡智の魅力に抗えず、自らもその頁となる……。ある意味、君は夢をかなえたのかもしれませんね。

ウルブレヒト せ、先生……僕は……僕は、あなたに近づきたかったんだ。たとえ、その正体がなんであ……

ああ…。

飲み込まれた…?

正体を気づかれてたのは想定内だったのか?

シュルツ ……やれやれ盤外戦術がすぎたようです。十数年かけた大手合でしたが、そろそろ投げ場ですね。

影が伸びた!
もう私に隠そうともしてない!

??? : らしからぬ無理攻めだったではないか。……投了するつもりか?
シュルツ 今回は指運がなかったとしておきましょう。兵は引き際が肝心ですから。

対局とか、駒とか、投了とか。
将棋?
あ、チェスやってたな!

2人で現実世界の出来事をチェスのように操って楽しんでるってこと?

シュルツ なに、ビフロンス卿を退屈はさせませんよ。次の対局はもう始まっているのですから。

影の名前はビフロンス卿…!

卿ってことは、デーモン?

ビフロンス卿 Count Bifrons ほほう、それは楽しみなことだ。して、棋客は?

あれっ?
真紅のグリモアが白くなってる!

シュルツ さあ、我が高弟アーリーンか。あるいは彼女と……ウルブレヒトが生み出した、新手の気鋭の指し手かもね……。

新手の気鋭…?
私か?

消えた!!
本当にもう人間じゃない!

シュルツ りぃ。いずれ、近いうち……

ワープしとる!
しかも水の上に立ってるじゃないですか。

シュルツ そうですね。数年後か、あるいは数十年後かに相まみえましょう。もう、手合いは始まっているのですから……。

近いうちが、数年後か数十年後?
もしかして不老不死になってるの?

アーリーンが、シュルツは過去のバストゥークの英雄と同姓同名って言ってたけど、もしかして同一人物…。

消えた…。

帰るかぁ。

??? : そこを動くな。ジュノ大公親衛隊だ。

ん?

ナグモラーダ また会いましたね。悪いが、諸君らは魔道士連続失踪事件の重要参考人なのです。

諸君ら?

ナグモラーダ そこに倒れているのが本件の首謀者と目される共和国軍作戦参謀長ウルブレヒト・ゼークト……。そして、その師グンサー・シュルツだな。相違ないか?
りぃ えっ!?

なんで??

ナグモラーダ どうだ?
Carrel 死亡しています。目立った外傷も毒物反応もありません。おそらく、弱体魔法によるものかと……。

ナグモラーダ ……ふむ。なるほど。

ナグモラーダ あの本……兵には手を触れさせるな。おそらく今回の事件の元凶だ。
Dillon はっ!しかし、たった1冊の本が……ですか?

ナグモラーダ 魔具を見た目で判断するな。禁書として厳重に封を施しなんぴとも目を通せぬよう大公宮宝物庫にて保管するのだ。

白いけど…。
これ、真紅のグリモアなのかな。

ナグモラーダ それから、軍学者アーリーンの拘束は解いてやれ。彼女はシロだ。……ただし、監視は怠るな。

ナグモラーダ そこの君。ご苦労だった。捜査協力に感謝する。……が、後の処理は我々で行う。早急にここを立ち去りたまえ。

この状況で私が2人を殺したと疑われなかった!?

私は無実でウルブレヒトが犯人というよほどの証拠と、私が2人を倒せる強さは無いって判断かしらね。

いやでも、どうして遺体を。

ウルブレヒトのはこの事件を終わらせるためで、シュルツのは死んだことにしてこの対局を終わらせるため…か。

アーリーン ああ、りぃ。無事でなによりよ……。連合参謀本部の捜査官から話は聞いたわ。

アーリーンも酷い事されてなくてよかった。

アーリーン …………。事件は表向き、集団脱走事件として処理されるそうよ。戦時ですもの。確認する術はないでしょうから。
りぃ そっか。

表沙汰にするわけにもいかないしね。

アーリーン それから、もし戦争が無事終結したら、すべてのグリモアは禁書として没収される予定……ですって。
りぃ えぇ!?

それはちょっと横暴では。

でもまた同じことが起こる可能性もあるわけだから仕方ないのかなぁ。

アーリーン ……そうだわ。ねえ、りぃ。先生に代わり、あなたにこれを授与しなきゃ。あなたが、シュルツ流軍学エルディーム塾、最後の卒業生よ。おめでとう、りぃ!
りぃ ありがとう。

最後の卒業生か…。

アーリーン 辛い事件があったけれど戦争はまだ終わってはいないわ……。あたしたちにはやるべきことが山ほどあるわよ!さあ、「知行合一」。勉学に、実戦に、軍学者の底力を見せてやりましょう!

スカラーボードを手にいれた!

この後、他の部位のAFも入手して…。

学者完成~!
可愛い~~~!

だけど髪も全部茶色だから地味~~~。

…なんだか、見れば見るほど、幼稚園生の制服に見えてきたぞ?
そういえばタルタルは女の子でもズボンなのね。
ちょっと納得いきませんー!