真紅のグリモア 其の壱

アーリーン 来てくれたのね、りぃ。その後、捜査は連合参謀本部預かりになって例の黒衣の男たちが、陣頭指揮をとっているの。犯人はあなたの証言どおり、ウルブレヒトと断定されたわ……。

アルマター機関か。

アーリーン あたしも連合参謀本部に出頭を求められて、こんなことを言われたの。

アーリーン 「戦乱の世である現在は軍学者の知恵と知識が入用だ。いわば、君らは必要悪だ。だが……」

アーリーン 「この戦乱が終息すれば、君ら軍学者はおそらく表舞台には立てなくなるだろう」って。

学者って悪なの?
どうして。

戦争のために働いてるから?
そんなわけないよね。他に理由が?

アーリーン 覚悟はしてたつもりだったけど……やっぱりショックかな。

アーリーン ……さて、と!感傷に浸るのは早かったわね。まだ、事件は終わってない。同門の過ちは同門が正さないと!

アーリーン あたしね。実は、彼の行方のカギはシュルツ先生が握っていると思うの。

シュルツの後を追ってる感じだったものね。

アーリーン りぃ、覚えてる?ほら、シュルツ先生が姿を消して、あなたが見つけてくれたときのこと。

アーリーン あのとき、あなたは先生から封書を預かり、それをウルブレヒトに渡した。それからしばらくして魔道士の連続失踪事件が始まった……きっと、先生ならなにかを知っている。……いいえ、知らなくても、見つけてくれるわ。

一体何が書いてあったんだ。

アーリーン でも……先生ったら、相変わらず旅の空なのよね。だから、りぃ。あなたにも先生を捜してほしいの!
りぃ うん。

アーリーン 今回はほら。以前にも先生を見つけたことがある例のニコラウスも、協力してくれるそうよ。

勘のいいあの人ですね。

アーリーン あ、そうそう。彼からあなたに言づてがあるんだった。「なんらかの意図をもって行動するとき、先生は必ずヒントを残しています。それを探してみてください」

アーリーン ……だそうよ。ほら、あなたが先生を見つけた場所。そこに、なにか先生はヒントを残しているかも。
りぃ パシュハウ沼の?

アーリーン まず、あなたはそこをあたってみて。あたしは別の心あたりを捜してみるから。
りぃ うん。わかった。

1通の封書が落ちている……。
だいじなもの:宛名のない封書を手にいれた!

ん?手紙だけ?
宛名のない…。誰に持って行けばいいんだろう。
中を見ていいのかな。

 密に魔を宿せし生血を糧とし
 真の戦術魔道大典は育まれん。

 其が名は…………

りぃ えぇ…?

これ、ウルブレヒトが貰った手紙と同じ内容なのかな。
これを見て魔道士の血を求めたと。

うーん、とりあえずアーリーンに渡そう。

アーリーン 封書が落ちてたですって?あたしにも見せて……。
  

アーリーン 間違いない、先生の手紙よ。わざわざ、文を鏡文字で書く人なんて先生しかいないもの。

鏡文字で書いてたんかい!
読まれにくくするためなら、あんまり効果ないよなぁ。

アーリーン でも、この文面……どういう意味かしら……?

「密に魔を宿せし生血を糧とし
 真の戦術魔道大典は育まれん。

 其が名は『真紅のグリモア』と云ふ。

白い本が赤くなってる!

 然れども、其が血
 塵界の魔に穢れしままなれば
 ただ大典を濡らし、徒に魔文字を滲ますのみ。

げっ。
血みたいなのが滴ってる。

  
 汝、真の大典を欲さんと
 願うならば『退魔の秘石』が溶け出でし
 源泉を見出し、其が穢れを濯ぐ要あり」

水に浸けて、血が滲みだしてきてる。

  
アーリーン ……真紅の……グリモア?……聞いたこともないわ。あたしたちが使ってるグリモアといったい、なにが違うというの?

アーリーンでさえ初耳なんだ。

アーリーン それに、この冒頭の密に魔を宿せし「生血」って……。

アーリーン ……まさか?ああ、そんな……。なぜ、どうして、先生はこんな手紙を……。

良いも悪いもなく、ただ知識を欲してたから与えただけなのかなぁ。

アーリーン なにを考えてるの、先生?いったいなにがしたいの、ウルブレヒト?あぁ、頭が……頭がどうにかなりそう……。

アーリーン …………。

アーリーン ……りぃ、聞いて。
りぃ うん?

  

アーリーン ひょっとしてこの手紙。あなたがウルブレヒトに届けた封書と同じ文面なんじゃないかしら。
りぃ そんな気がするね。

アーリーン これはあたしの憶測だけど彼が事件を起こした発端は、ひょっとして先生が……。

アーリーン ううん、まさか……ね。

いや、シュルツやべぇから。
変なのと一緒にいるし。

アーリーン それより、これ。ウルブレヒトに渡した封書と同じだと仮定すれば、彼を捜すヒントになりそうよ。ほら、ここ。「退魔の秘石」って書いてあるでしょ。これ「銀の原石」のことじゃないかしら?

銀の原石?

アーリーン ふふ……なぜって?むかし、ウルブレヒトが耳飾りをくれたとき教えてくれたの。銀には魔除けの効果があるって。

ウルブレヒトが耳飾りをくれた……だと……?

アーリーン そして「源泉」……銀の鉱脈があって、水が湧き出している所……。あたし、一ヶ所だけ知ってるわ。「ルホッツ銀山」よ。……ウルブレヒトは、そこにいるんじゃなくて?

この前の深い谷があったゴユの空洞とは別の所か。

  
アーリーン ねえ、りぃ。この手紙、あたしに預からせて。まだなにかヒントが隠されていそうな気がするのよ。
りぃ うん。もちろん。

アーリーン ……ん?早速だけど、この端っこの小さな文字……戦術魔道「式」じゃない。しかも、いままで見たこともないほど、複雑で難しい「式」。

すぐに気づくなんて流石です。

アーリーン ……あなたにはまだ、わからないだろうけど念のため、いま写しを渡しておくわね。
りぃ うん。

アーリーン それと……まだ問題が残ってるわね。

アーリーン あたしの知ってるルホッツ銀山の入り口は、グロウベルグ会戦の後安全のために閉鎖されたってことよ……。どうすれば……。

なんたる。

アーリーン そうだわ!式よ!さっきの戦術魔道式!座標らしき数値が含まれていたしおそらく、銀山への移送式なのよ。

アーリーン あたしの推論が正しければその式と呼応する戦術魔道式がグロウベルグのどこかに記されているはずよ!あなたは、その式を探して!きっと、ルホッツ銀山へと侵入できるはずよ。
りぃ うん。わかった。

アーリーン あたしは、急いでこのことを連合本部に伝えるわ。人手を出してくれるかもしれないから。

だいじなもの:移送魔道式の写しを手にいれた!