みんなはどこにおるんかいな。

いた。

りぃ！プリッシュの言ったとおりだ。飛空艇から落ちたのではなかったのだな？

いや、しっかり落ちてた…。

ケガ、ないか……？痛いところ……俺たちに……言う……。

ジャボスやさしいっ。

よく考える……。心の……ケガ……、気づきづらいぞ……。身体の……ケガより……、心の……ケガ……、ずっと……重いぞ……。
心の？

もし、ケガ……あったら……、「モブリンの……薬」、やるから……言え……。

心のケガに聞く薬があるの！？
す、すごい。

テンゼンも……いらない……言ったが……あいつも……きっと……薬……必要……。

ああ、テンゼンが傷ついているのか。
命に代えても守れと言われた鳳凰丸が…モノはあるけど中身がいなくなっちゃったもんな…。

……ところでおまえはあのとき、なにが起きたのかわかっているか？
バハムートが私を見て何故か怒って、メガフレアし始めたからテンゼンが剣を抜いて火がぶわーって。

おまえの言動で真龍の王バハムートが激昂したこと、わかっているだろうな？

言動というか、見て何かに気づいて怒ったような？

人と竜の確執は深い。まったく話し合いにもならなかった。眠れる神々の力さえ借りることができたなら、バハムートと互角に話すこともできようが……

そっか、ウルミアがもう全員起こせるのでは？

りぃ、シドの飛空艇が迎えにくる前に町へ戻るよう、テンゼンに伝えておいてくれ。迎えが来たらすぐに出発したい。頼んだぞ。
うん。

次は…と。

……！

ぬおー！走って出てきた！
礼拝堂で何してたんだ！？

りぃ殿、ずいぶんお元気そうで、なによりです。あなたの一言のおかげで、私たちはただならぬ目にあったわけですが、おかげさまで無事に帰還することができました。
嫌味がすごい。

ただ、もしも私が真龍の王バハムートでしたら、あのような目にあわせた者たちを許すことはできますまい。
激おこだった？

ここに暮らす人々のためにも、一刻も早く、ここから立ち去るべきだと思いますね。

居場所分かるのかな。

……ああ、そういえば、テンゼン殿をお見かけしませんでしたか？死闘にて刀の力を失ったその傷心ぶり痛ましく、ひとりタブナジアの町から去っていったという噂を聞きました。

なんと。

あの刀がどういったものかはよくは知りませんが、東の国では国宝に値するものに見受けられます。

さすがの目利き。

テンゼン殿は、その刀を投げうち、私たちの命を救ってくださった……。私たちは既に礼を申し上げましたが、あなたはまだ、顔をあわせてもいないのでしょう？

言葉がとげとげしいわ…。

飛空艇なき今、この島より出ることはできません。町にいらっしゃらないのならば、ミザレオ海岸にでも向かわれたのでしょうか？

激おこ偽ヴランス…。

プリッシュ、無事だったんだって？え？し、心配なんかしちゃいないよ！なんであたいがあんな子の……。

相変わらず素直じゃないなぁ。

よく帰ってきたな！おまえ、なかなか見込みあるし、いっそのこと、この町に住んだらどうだ？タブナジア自警団の一員としてよ！
うーん、今はちょっと…。

ん？まだいろいろやることがあるって？難儀なもんなんだな、冒険者ってのも。

早くタブナジアから出ないと、偽ヴランスにくびり殺されそう。

神を信じてみるものだな。実は、生まれて初めて神に祈ったのだ。誰ひとり欠けることなく、ここへ戻ってきてくれるようにと。

心配してくれてありがとう。

……これからは、暁の女神様を信じてみようかと思うよ。毎日とはいかないまでも、気が向いたら祈ってみるさ。

あたしも含めて、この町のみんなは、ずっと忘れられてたことから、素直になれないところもある……。でも今日は心から言えるよ……ありがとう……。

トレッシアは良い姉御。

プリッシュとウルミアさんなら、中にいるよ。飛空艇で大変な目にあったんだってね。

あれでよく飛空艇落ちなかったよね。
フェニックスのおかげで爆発が全部バハムートの方に行ったのかな。

プリッシュのこと、前にひどいこと言っちまったけど、竜と戦うなんて、そんな勇気はオレにはないよ。無事に帰ってきてくれて本当に良かったと思ってる。心からね。

りぃさん！お待ちしておりました！

あの爆発の後飛空艇にいなかったのに、無事に戻ってくると信じて疑われていない私凄くないですか。

あの後、私は気を失ってしまったので、なにが起きたのかよくわかりません。けれども、耳に残っています。あの恐ろしい雄たけびと、物悲しい囁き……。

あれは、霊獣フェニックスの最期の声だったそうですね。

最期に何を伝えたんだろう。

思えば、他の霊獣たちが私たちをほんろうする中で、霊獣フェニックスだけは、ずっと私たちの側にいてくださいました。

本当だ。確かに。

テンゼンさんと共に、私たちを助けてくださっていた……。私たちを導いてくださっていた……。

テンゼンさんは大丈夫でしょうか？仕方ないことだと笑ってはいらっしゃいましたがとても気になります。
俺も心配なんだけどよ、ござるのおっちゃん、心を閉ざしちまって、なに考えてるかよくわかんねぇんだよな。

心を閉ざす？

武士とかいう奴らは、そういうことができるから始末がわりぃぜ。ろくなことじゃなきゃいいけどよ。

あっ、プリッシュに心を読まれないように閉ざしてるってこと？
武士すげぇ…。

りぃさんも、どうかテンゼンさんに一言、お声をかけてさしあげてください。
頼んだぜ、りぃ。なんかイヤーな感じがすんだよな。ござるのおっちゃん、タブナジアにはいねぇみてぇだしよ。

うん。わかった。