その名はシュルツII世 其の壱

アーリーン あら、りぃ。調子はどう?グリモアの扱いには慣れた?
りぃ う、うーん…。

フェイスが全部倒してくれるから、実際ほとんど使いこなしてない…。

アーリーン ふふ、なんてね。「知行合一」を目指すシュルツ流軍学の徒らしく、グリモア使いとして立派に成長しているようね!
りぃ えっ、ほんと?

よかった。

アーリーン あなたの成長ぶりをシュルツ先生に見せてあげたいのだけど……
りぃ なにかあったの?

アーリーン ……あっ、え?ああ、ごめんなさい。実は、ここ最近、先生と連絡がとれないのよ。
りぃ えっ。

アーリーン 敵軍の内部の動きを気にしてらしたから、たぶん敵情視察で戦場をわたり歩いてると思うんだけど……

強くなさそうな感じ出してたけど、そんなことして大丈夫なの?

アーリーン このあいだの定期会合にも出席なさらなかったから、ちょっと心配で。

本当に何かあったのでは。

アーリーン ねぇ、りぃ。あたしはいま、仕事でここから離れられないの。代わりにシュルツ先生を捜してもらえない?無事がわかればそれでいいから……
りぃ いいよ。

ウルブレヒト やぁ!えーっと、りぃだったかな?ちらっと先生の名前が聞こえたんだけどさ。
りぃ 探しに行ってくるよ。

ウルブレヒト なに、お使い?だったらちょうどいい!先生に会えたら、これを渡してくれないかな。
りぃ いいよ。

ウルブレヒト 君はタイミングだけは抜群だな!それじゃあ、よろしく。

ひと言多いなっ!

  

アーリーン ……はぁ。呆れてものも言えなかったわ。先生が行方不明だというのに心配のひとつもせず、おまけに関係のない言づてを頼むだなんて。
りぃ いつもおつかれ。

アーリーン ……ごめんなさい。だけど、あたしからも改めてお願いするわ。シュルツ先生を捜してほしいの。いま頼めるのは、あなたしかいないのよ。
りぃ うん。

アーリーン 実は前にも先生が行方不明になったことがあったのよね。

常習犯かい。

アーリーン そのときはニコラウスという門下生が、シュルツ先生を見つけたの。もしかして彼なら、なにかわかるかも……

アーリーン 彼は出世して、いまはバストゥークでミスリル銃士として務めているわ。大工房で会えるんじゃないかしら。

20年前はミスリル銃士に学者がいたんだ。

アーリーン 無理言って本当にごめんなさい。先生のこと、お願いね。

だいじなもの:ウルブレヒトの封書を手にいれた!

ジェントルタイガー Gentle Tiger ん?ミスリル銃士隊のニコラウスどのに用がある?
りぃ うん。

ニコラウス Nicolaus おつかれさまです、ジェントルタイガーさん。どうしたんですか?

なんてタイミングの良さだ。

ってか、ウルブレヒトと同じ顔じゃないですか。
せめて髪の色違うのにしようよ。

まさか、双子とかじゃないよね?

りぃ かくかくしかじか。
ニコラウス ふむ、アーリーンが……

ニコラウス そうですか、シュルツ先生がまた失踪なさいましたか。

日常茶飯事。

ニコラウス 先生は新しい術を試すのが好きなんですよ。以前にも「陣」を張って作り出した、奇妙な空間に入り込んでしまって……
りぃ えぇ。

ニコラウス で、その空間、どうも時の流れがこちらの世界とは違っていたようで……先生は、ほんの数刻入ってたつもりだったらしいんですけどこちらでは3週間も先生の姿が見えず、大騒ぎ。

あまり使い道のない術だなぁ。
未来に行きたいのならいいのかな。

ニコラウス 結局、その失踪事件はぼくが解決したんですけれど、実はぼくそのとき特になにもしてないんですよ。

何もせずに解決したとはこれいかに。

ニコラウス ただ、失踪の手がかりを捜して先生の自室を調べていたとき……

ニコラウス ふと壁に張られた陣を見て「先生は自分の部屋を出ていない」となんとなく確信しまして……

ニコラウス 「先生~っ!」と大声で呼びかけたら……

ニコラウス しばらくして眠そうな顔をした先生が、ひょっこり姿を現した……というわけなんです。
りぃ なんたる。

いやでも、術に気づいて破ったのは高い能力がないとできなかったのでは。

ニコラウス シュルツ先生について、アーリーンはほかになにか言ってましたか?
りぃ 偵察に行ってるかもって。

ニコラウス なるほど。血盟軍の敵情視察ですか……。あ、もしかして。クゥダフ兵団のアレかな?
りぃ アレ?

ニコラウス だとすると、デルフラント戦線に向かわれた公算が大きいですね。パシュハウ沼からロランベリー耕地……それからブンカール浦にかけての地域です。

クゥダフがそこで何かやろうとしてる情報を掴んでるのね。

ニコラウス ……あくまで推測ですけどね。「陣」で身を隠したまではよかったけれど敵に囲まれて動けなくなっているのかも。物陰に、魔法の「陣」などが張られていないか、注意して見てみるといいかもしれません。
りぃ わかった。