自然の王が、再び、おまえを遣わせたか…。
何かあったのかな?
今、罪人の娘の死を知る者がマウラの鍛冶ギルドにいるという知らせが入ったところだ。
おおっ。
罪狩りのミスラどのは、この知らせを聞いて、マウラへと旅立った。おまえもマウラへ向かい、その者に会ってもらいたい。
私が会うの?
頼んだぞ。おまえに風の祝福を。
はーい。
というわけでマウラ。
ああ、あなたは?
りぃでっす。ペリィ・ヴァシャイからの要請で…。
ウィンダスにお住みのペリィ・ヴァシャイ族長様の使いの方でしたか。
ん?
わざわざ外に出るって、あまり聞かれたくない話なのかな。
先ほど、本国から罪狩りのミスラ様がいらっしゃいました。20年前、この地で果てた、火の部族の長とその娘さんのことで…。
あなたは御存知でしょうか?南の大陸にあるミスラの部族「火の部族」のことを。30年ほど前になりますが、その部族の族長様が、同族殺しの罪を犯したのでございます。
えっ。
族長が殺したの!?
それは確かに大罪…。
そして10年の間、本国にて罪を償っておいででしたが…。こちらの大陸で戦争が起きた頃、牢から逃げ、娘さんを連れてこの地へ渡ってきたのです。
10年も経ってから逃げたの?
なにかよほどの事情があったのかなぁ。
30年前の事件で10年経ってから脱獄だから、20年前…丁度クリスタル戦争の時か。
私はその頃、ジュノとウィンダスを行き来し、物資や人を護送するという危険な仕事をしておりました。
おっ、これは20年前の様子ね。
…そんなある日、ウィンダスからジュノへと向かう一行にミスラの親子が混じりました。
これが、罪人の親子でした。しかし、私たちは彼女たちが罪人だとは気づかず、頼まれるがままにジュノ目指して旅立ったのです。
しかし、事件が起きました。私たち一行は、メリファトにてヤグードの部隊に見つかってしまったのです。
抵抗も適わず、私たちはオズトロヤ城へと連行され…そして、牢へ入れられました…。
えっ、大丈夫なの。
どうなるの。
ここは…
もしかして、落とし穴の扉落ちた、アジドマルジドが倒れてた所かな?
オズトロヤの牢は、それは恐ろしいところでした。凍てつく寒さに、私たちはただ、震えていました。
そのような中、時を置いて、1人、また1人と、ヤグードたちに連れ出されて行きました。
ひとりずつ連れていかれるの恐ろしすぎる…。
火の族長様もまた、娘さんを残したまま、ヤグードたちに連れ出され、それきりとなり…。
えっ…。
…。
その後、メリファトの地に駐屯していた、ペリィ・ヴァシャイ様率いる精鋭部隊によって、私たちは助かりました。
おおっ!
ペリィ・ヴァシャイがオズトロヤ城に攻め込んで救出したの?
凄すぎるっ。
私は、1人残された娘さんをジュノへと連れて帰ったのですが、娘さんは疲れと悲しみで、日に日に痩せ細っていきました。
ああ…。
…彼女のなきがらはエルディーム古墳に、戦で死んだ他の種族たちと共に葬られましたよ。
そっか…。
罪人の娘は、ミスラの地には葬れませんからね…。
そして、その話が本当かどうか。これから確かめに行くところです。火の族長ネヴ・ベフラティの娘シウ・ベフラティの死体を。
今、街の人に聞いたのですが、エルディーム古墳の奥は、とても強いモンスターが徘徊しているそうですね。
当時はひとりで行くところじゃなかったね。
1人ではとても進めないようなところだとか。けれども勿論、そのようなことで追求の手を緩めはしません。
さすがです。
そう、あなた、あなたは冒険者という人種だと言うことですね?冒険者とは、報酬を払えば、大抵の仕事を請け負うものだとか。
あ、うん…あれ、そうだっけ?
私は姿を隠して、あなたの後を追います。ですからあなたは、道を開きながら、エルディーム古墳の奥にある墓場へ向かいなさい。
ええっ。
…では、私は先に行っています。急いで来なさい。
拒否権などあろうはずもなかったのであったッ!!!ヒィー!