フッ……、やはりその程度のトラップは意味をなさなかったか。当然といえば当然だろうが、な。
むむっ?
だが私は剣術だけでなく、降霊術も会得しているのだ。一足先にラスト・ドラグーンの兜は手に入れてある。これを使えば、エルパラシオンは復活する。
降霊術!?
彼は私と同じように祖国サンドリアに裏切られた男。必ずや我が志に同調するだろう……!
ええー!?
えっ、本当に出てきた!?
半透明になってない!!
お前たちが再びこの世に生を受け自由に羽ばたく日が来るとは……。
Mikanたんに言ってる?
りぃ、私は貴公に感謝せねばならないようだ。
えっ、何を!?
ってか名前呼ばれたけど。
知り合いだったっけ??
何をしている、ドラグーン!私は副団長の座を追われ、お前はランペール王に追放されたのだ。
我々を裏切ったサンドリアへの恨みを晴らすのは、今しかあるまい!さぁ、小手調べにそいつを血祭りにあげよ!
フッ、サンドリアに感謝こそすれ、恨みを持つなど笑止千番。お前に同調するはずもあるまい……?
感謝?
真実は歴史家の見解とずいぶん違うっぽいわね。
ヒ、ヒィッ……!
えぇ…自分が呼び出した幽霊に迫られてビビって逃げ出すとかずいぶん小物だわね…。
あっ、ラーアル。
アンコレン・B・フラート、宮廷騒乱罪ならびに強盗容疑でお前を連行する。……闇討ちも甲冑の事件もお前の仕業だったとはな。
クッ……!
人が入っていない甲冑が動いたのは、降霊術で中に霊を入れて動かした。ってことなのかな。
私はお前を待っていた、いつか過ちに気づき戻ってくるだろうと。ゆえに副団長の座は今もって空席だった。こんなことになるとは、とても残念だ。……独房で自分の罪を償うがいい。
あっさりお縄についたわ。
ボストーニュ監獄の独房か…ひぇ…。
……!?その甲冑、まさか。あなたはもしや……!
私はエルパラシオン。貴公にはランペール陛下の墓前にてお会いしたことがある。ドラゴンスレイヤーだったとはな。さぞかし苦労をかけたことだろう。
あの時の……!まさか本物だったとは……。
えっ、あれ本物だったの!?
サンドリアミッションで龍王ランペールの真の墓に行ったときに出てきたんだよね。
何か伝えようとしてた途中で教皇の攻撃で追い払われちゃったけど。
死んでもなお王を守ってたんだね。
もし本当にあなたがラスト・ドラグーンなら、私はずっと聞きたいことがあった。なぜあの聡明なランペール王があなたに対して理不尽な命令をしたのです?
それには訳があるのだよ……。あれは我々が勝利を手にし、凱旋帰国をした夜のことだった……。
本人に直接歴史上の出来事の真実を聞けるなんてすごい。
エルパラシオンよ、ようやく終わったな、すべてが……。
それは違います、陛下。これからが始まりなのです。あなたがこの荒んだ国を建て直さねばならないのです。
そうか……、そうだな。もちろんお前も手を貸してくれるのだろうな?お前の力がなければあの騒乱を治めることも難しかっただろう……。
そのことですが……。
なんだ、エルパラシオン。まさかその歳で隠居するつもりではあるまい?お前にはまだまだ活躍してもらわねばな。
……残念ながら私はここにはおれませぬ。お許しください、陛下。
何を言う?わけを話してみよ。
ハッ……。実はこの長きに渡る戦乱で、我が飛竜に悪しき印が浮かんできたのです。戦とはいえ、私たちは罪なき人々をもこの手で殺めてきました。その報いでしょう。
なんと……!わしはドラゴンスレイヤーでありながらそのことには全く気づけなかった。許してくれ、エルパラシオンよ……。
竜が我々人の愚かさを教えてくれているのだと思います。私は姿を消し、飛竜が元の聖なる印を取り戻すよう、山に入り人知れず静かに余生を送りたいと思うのです……。
そうか……。それを止める権利はわしにはあるまい。わしにできることがあれば言ってくれ。
では陛下、私は何らかの形で死んだことにしていただきたいのです……。
何を申す、エルパラシオン?
私が生きていると知るや、戦いの日々に戻そうとする輩や、他国の暗殺者などが後を絶たないでしょう。私が血に染まった槍を捨てられるのは、自分が死ぬ時しかないのです。
もちろん陛下、あなたとももう二度と会うことはできぬでしょう。
!! なんということだ……。わしのいちばんの理解者であるお前を、ここで失わなければならぬとは……。
だが、わしのエゴでお前をここに留まらせるのはお前がもっとも望まぬことだろう。……お前には遠征を命じよう。その際に姿をくらますがよい。
そして、全国民がお前の国葬に参列するであろう。
我が王よ、心から感謝いたします……。
今宵は今生の別れだ、エルパラシオン。せめてグラスを傾け、2人だけで夜を徹して語り明かそうではないか。つきあってくれるな?
……御意。
こうして国王陛下の計らいにより、私は飛竜とともに山へ篭った。
歴史家の憶測本当に適当だったな!
幸いにも飛竜に浮かんだ悪しき印は薄れていったのだが、私は死ぬまで山を下りることはなかった。残りの生涯をかけて、新たな竜を誕生させようと考えたのだ。
結局その夢は果たせなかった……。だが、そなたたちのように私の意志を継いでくれるものたちがいた……。そのことこそが再び竜たちに生を与えたに違いない。
さぁ、私は再び永き眠りにつかせてもらおうか。最後に、この手でその竜を抱きしめさせてくれ。
思う存分どうぞ。
生きるんだ、力強く……。お前の生はお前だけのものじゃないのだから、これまで生を受けることができなかった仲間の命も、お前の中には宿っているのだから……。
Mikanたん嬉しそう。
消えた…。
ラスト・ドラグーン……。やはり、その名にふさわしい方だった。
戦争の毎日で子竜に悪しき印が浮かんできたって、冒険者の竜騎士も戦闘するほどやばいのでは…?
子竜を愛でつつのんびり暮らすのが一番ってことか!!
この度はご苦労だった。アンコレンは我々がサンドリアまで連行する。これでラスト・ドラグーンに関する流言は一掃されるはずだ。王立騎士団長としても感謝する。
どういたしまして。
ラスト・ドラグーンも言っていたように君と君の竜には重い使命があるのだ。それを忘れず、これからもあの竜を大切にするがいい。……では失礼。
ドラケンアーメットを手にいれた!
オレをコケにしたアンコレンって野郎をぶっ飛ばしに牢獄まで行ったけど、なんかバカバカしくなってやめちまった。……やつも悲しい男さ。
直接殴ったのは元副団長ではないけど…まぁいいか。
ラーアルのやつから聞いたぜ。いろいろ大変だったんだってな。でも、その大変なのこそが面白いと思わねぇか?
できればのんびり暮らしたい派です。
このところずっと、オレにとってこの仕事ってのはなんなのか考えてたんだが、正直よく分からねぇ。でも確実にいえるのはいつもなにかこう、ワクワクすることに出会えるってことだ。
それだけでもいいんじゃねぇか?答えなんてそのうち見つかるかもしれねぇし、見つからねぇかもしれねぇ。でも答えを探すために仕事をしてるんじゃねぇからな。
ちょっと大人になったね…ホロリ。
まぁ、そんなことはいいや。それよりお前ら、今回もしっかりノルマをこなせよ。じゃあな!
ノルマは続くのか。
頑張れ…。
箱開けぱっかん!
タル竜完成~!
当時珍しい色の装備で目立ったよねぇ。
まぁ、主役はMikanたんなんですけどね!