あ、付き人君、いいところに!さっき、連絡がありましてね。これから、ビヤーダさんがいらして前回の話の続きをしてくれるそうなんですよ!
やったぁ。
待たせたね。
ええ、もう!一日千秋の思いで首がダルメルのようになるところでしたよ!
……う、うん。ええと……どこまで話してたんだっけ?
んもう、いけずだなぁ。皇宮に赴き、諸侯が固唾を飲んで見守る中、いよいよ、聖皇さまのおな~り~!……って、とこまでです!
えっ、そうだったっけ?まあ、いいや。それで、聖皇さまがね……
……ルガジーン。先の戦における、そなたの活躍わらわの耳にも入っておる……。
恐悦に存じます。
しばらく謹慎していたと聞いたが……?
ははっ……。
……すまぬことをした。
勿体無きお言葉……。
ルガジーン殿。貴公の活躍、なぜ陛下の御耳に入ったか分かるか?
恐れながら……。
貴公は兵に愛されているな。嘆願書が山のように届いたのだ。
おお、すごい。
……わらわも同感ぞ。そなたは皇都を……そして、ひいてはわらわを護った最大の……
陛下……。
………………。
それ以上は言うなと?
ルガジーン殿よ。勅命により、貴公を天蛇将軍に任命する。
!?
その名がなにを意味しているか、貴公なら、分かるな……?
……はっ。
皇祖ウルタラムにより、我が国存亡の危機に際してのみ設置を許された国防の全権を担う、名誉ある役目である。
国防の全権。
なるほど、だから敵地には行かずずっとアルザビ守ってるのね。
……皇国のため、そなたの命、捧げてほしい……。
身に余る光栄。我が身、朽ちるまで、全身全霊、御仕え致しまする。
たのもしい限りだ。
そこにある大剣は陛下からの贈り物。
勇者バルラーンが帯びていたと伝えられる国宝の霊剣である。……そなたこそ、その所有者に相応しかろう……。
私にアルゴルを?……ありがたき幸せ。
どうして大剣を立ててオートマトンが支えてんの!?
アヴゼンだ。
サムズアップした。
………!!
ああ、なるほど。
そしてあの幕の向こうには、アフマウが。
前世でちょっとやってて知ってたけど、ここで初めて示唆されるのね。
…ん?
ミッションで、幕の向こうで聖皇が喋ってる時、アフマウは無手の傀儡子としてこちら側にいたけど、誰が喋ってたんだろう。影武者?
さて、天蛇将よ。最初の任務を与える。
貴公も知っていよう。現在、我が国は東西に憂いを抱え古今未曾有の危機にある……。これからは、門閥や序列によらぬ、有能な将が必要となろう。
来るべき決戦に備え、貴公が人材を集めよ。
御意。……この足で探し、この目で見、アトルガン屈指の猛者、必ず揃えて御覧にいれまする。
天さんが他の五蛇将揃えたのかぁ。
元々将軍だった人たちじゃないのね。
そなたの働きに、期待しておるぞ……勇壮なる天蛇の騎士よ……。
こうして、ルガジーンさまは、我が国の守護神天蛇将となられた、というわけだ。
なるほど~。あの若さで重職についておられるのには、そんな物語があったんですね~。
それで?それで?他の五蛇将の方々とは、いつ出会われたんです?
うん。ルガジーンさまは、トロールとマムージャが、しばらくは戦力を回復できないことを確認すると、すぐに、東方の視察に赴かれた……。
長い間、皇国軍は西方の蛮族を見くびり、兵力のほとんどを膠着している東部戦線に張りつけていたからね。
そこで、ルガジーンさまは、あの御方と出会われたのだ……。
はは~ッ!死ねッ!死ねッ!死ねッ!
でっ、デター!!!
ガダラル!!!
……ガダラル将軍の旅団は、敵の謀略により潰走。兵を1人でも敵地から逃がそうと、将軍は敵を一手に引き受け、孤軍奮闘しておられた……。
敵が増えた!
はァ……はァ……畜生ッ!次から次へと、烏どもめッ!
そういえば、ヤグードだ。
昔ひんがしに移住したヤグードの子孫ね。
ということは、ここはひんがしとの戦の最前線。
クックックッ……いいだろう……まとめて、消し炭にしてやるッ!
ファ・イ・ガ~ッ!!!!!
デター!!!
はァ…はァ…はァ……雑魚がァ……はァ…はァ……てこずらせやがって……。
雑魚でも数が多いとそのうち押し負けてしまいそう。
MPが尽きたらやばいのでは。
……?
天さんだー!
……貴様ァ、なにもんだ?
一度も振り返らずに、気配だけでどんな人か察した?
味方だっ!報せを聞いて、助けにきた。私は西の皇都から……。
…………。
クククククッ……ハ~ハハハッハッ~!
……なんだ?
敵はなァ……。みんな、そう言うんだよッ!!
斬りかかったー!!
??? : ビヤーダ!!
はっ、はい!
こんなところで、油を売っている場合ではないぞ。マムージャの偵察兵が皇都に潜入したらしいのだ。
なんですって!
一大事じゃないですか!
ああ!!あなたが、あなたが、そのルガジーンさまっ!!想像していたよりも、ずっと凛々しく、それでいて気品も備えている!まったくもって、英雄と呼ぶに相応しい御方!
あなたの叙事詩、是非、わたくしに書かせてください。タイトルは、そう『天駆ける剣』!
な、なんだ、この者は?
いきなりこんなこと言われたら、そりゃびっくりするわ。
ビヤーダ。まさか、私の話を?
……も、申し訳ありません!
でも、この者の付き人が、ルガジーンさまの大切なものを……。
おお、君たちだったのか。これは失礼をした。お許し願いたい……。
いえい……
そんな、いいんですよ!敵の牙城ハルブーンの険しい断崖をよじ登ったり、小山のようなトロール兵を倒したり……些細なことです。ええ、ええ、礼には及びませんとも。
なんであんたが言うんじゃ!
……あの日、あの場所で教えられた、勇気と、そして慈愛の心……。このリボンは、殺伐とした戦いの日々の中、それを私に思い出させてくれる、大切なものなのだ……。
君、名を聞かせてもらえないか?
りぃでっす。
……よい名だ。
でへへ。
りぃ。感謝する……。
コホン……。
ああ、詩人どのにもな……。
まぁ、ファリワリが依頼しないと見つからなかったわけだからね。
単身、敵の都に乗り込むような勇敢な傭兵と、くつわを並べて戦えること、私は誇りに思うぞ。
アトルガン黄金貨を手にいれた!
皇国軍戦績が上がった!
天さんの話終わり!
続けて他の五蛇将もいくぞ~。