今、特に仕事はないな。ラテーヌ高原で、神殿騎士団主催の救助訓練が行われているが、行ってみてはどうだ?
神殿騎士団が外で?
トリオン王子の王立騎士団が「攻め」。敵陣に切り込む役目。
ピエージェ王子の神殿騎士団が「守り」。国を守る役目。
だけど、神殿騎士団が外で救助訓練…。
救助…あ、つまり、王立騎士団が軍隊で、神殿騎士団が自衛隊みたいなものってこと?
西門から森に出て、南西の方角に向かうと、やがてラテーヌ高原に抜けるはずだ。
ラテーヌ高原に出たなら、道なりに少し行くと、騎士団の者たちがいるからそれを目印に現地へ向かうといい。内容に関しては、以上だ。引き受けるか?
うん。
単なる訓練だから、いつもより気楽に行けるだろう。だが、訓練だからといって手を抜くなよ。
はーい。
テレポで一瞬だ~!
…そう、私はサポ白のシーフ。ふはは。
ちゃんとしたサポジョブはね、まぁ、そのうち。うん。
私の名はヴィコルパス。神殿騎士団の小隊長を務めている。
冒険者のりぃです。
本来なら、ここで救助訓練を行うはずだったのだが、ケガ人役の新兵が1人行方不明になってしまったのだ。すぐ捜索に参加してくれ。
えっ、大変。
新兵の名は、ルイヨンだ。無事でいてくれるといいのだが…
しかし、どこにいるのやら?
どうだ?まだ見つからないか?
おい!ちょっとこっち来てみろよ!早く!!
ん?
あそこは、オルデール鍾乳洞の入り口。
別のクエストが発生しちゃってごちゃ混ぜになるしミッションの方のセリフ聞けなくなっちゃったみたいでよく分かんないけど、つまりあの中にいるってことね。きっと。
まだランク2だし、きっとそんなに遠くにはいない。と、思う…。
冒険者か? 俺は神殿騎士団所属のルイヨンと言う。行きがかり上、剣を持たずにここへ来たが、魔物が多く困っていたところだ。
すぐいたわ。
怪我人の役だったから、入口の近くで倒れたふりをして、訓練の開始を待っていたが、運悪くそこへ魔物の大群が近づいてきた。
そういう星の元に生まれてしまった感じだわね。
役柄上、仲間に剣をあずけていた為、やむを得ず、見つからないよう隠れていたら動きが取れなくなってしまったのだ。
なるほど。
なんだ?まさか貴様、俺を助けに来たとでも言うのか?
うん。
断じてことわる!
なんでよ!?
騎士団の一員として、冒険者ごときに助け出された、とあっては、孫子の代まで笑い者になってしまうからな。
ああ…。
サンドリア人ならそうなのかも。
畜生…剣さえ持っていたら、あんな奴ら、俺1人でやっつけちまうのに…。
分かったよ。しょうがないなぁ。
…って訳でさぁ。
ルイヨンの剣?ああ、それなら俺が預かってるぞ。
それ貸して。持っていくから。
なに?ルイヨンが鍾乳洞の中で?しかし、助けを呼ばないでくれとは、いかにもあいつらしいな。ふふん。
普段からあんな感じなのね。
ふむ。お前の話に嘘はなさそうだ。ルイヨンのところに、これを持っていってくれ。他の騎士たちには内緒でな。
ありがとっ。
ブロンズソードを手にいれた!
俺の剣を持ってきてくれたのか!?ともかく助かったよ。礼を言うぞ。
どういたしまして。
俺の事なら大丈夫だ。小隊長殿にもそう伝えておいてくれ。
バッタバッタと敵をなぎ倒しながら脱出するのね。
俺はもう少し、ここで洞窟の様子を探ることにする。魔物に気を付けて行けよ。
戻らんのかい!!
…だそうです。
なに?ルイヨンが鍾乳洞にいた?自力で戻るから援軍はいらん、と言っていたか。新兵とは言え、さすが我が精鋭部隊の強者だ。
精鋭部隊だったんだ。
救助訓練は出来なかったが、新兵の捜索について多大な貢献をしてもらった。よってこの救助訓練修了証を渡すことにしよう。
やったー。
なに、救助訓練など、鍾乳洞の中へ入ることに比べれば、造作もないことだからな。その修了証は、ゲートハウスの者に渡してやれ。今回の任務は、それで無事完了だ。
はーい。
…いやまって。
私ひとりだけ救助訓練やったよね!?被救助者に救助拒否されたけどっ。
だいじなもの:救助訓練修了証を手にいれた!
無事に帰ってきたか。訓練のつもりが実戦になってしまったらしいな。まぁお前のような新米には実戦の方が良かろう。
妙な大変さでした。
なにはともあれ、御苦労だったな。また、次もよろしく頼むぞ。
はーい。
しかし、あの新米のルイヨン。
なんだか、ナジを思い出したよね…。