天狗の慧眼

う、うおおおお!

うおおおおおおおおお!!
すごい財宝!!!
こんなにあるとは!

あれ???

ゲッショー !?

りぃ ゲッショー何してんの?
ゲッショー ……山猫の傭兵がやってくると聞いてござったが……よもや、其がりぃ殿とは……残念至極でござる。

山猫の傭兵が来る?
不滅隊じゃなくて?

ゲッショー 同じ余所者同士、りぃ殿には初めて会うた時より、じっこんにしていただき申した。拙者、心より感謝してござる。
りぃ いえ、こちらこそ。

ゲッショー されど今、敵味方としてこの辺境の地にて相見えるは天命というほかござるまい……。

敵?
ゲッショー、皇国に雇われたの?

いや、それこそ敵なんだからそんなわけないよね。

ゲッショー いや、言葉が過ぎ申した……。もはや、是非もなし。

ゲッショー 月照、参る!!!

りぃ ええ~!?

BFだよ。

うわぁ!?
いっぱい出てきた!

超すごい空蝉?

りぃ ぶおわああああ!?

ああ、びっくりした。
微塵かぁ。

でも全員一気に倒れ…

うわああああ!!
めちゃくちゃ危なかったじゃないですか!!!

ゲッショー ……流石はりぃ殿。
りぃ ぜえはあ。

ゲッショー されど、この月照。故あって敗れるわけには参らぬ。……い、いま一度、尋常……に……。

ゲッショー うぅ……。拙者の完敗で……ござる……。されど、りぃ殿の如き達人に敗れたのでござる……。冥土にて何の恥じ入ることやある。

ゲッショー ……されば、りぃ殿、最後の頼みがござる。介錯をお願いでき申すか。

りぃ えっ、やだ。そんなことより聞きたいことがあるのよ。

ゲッショー 敗軍の将は兵を談ぜず。拙者、もはや語る口を持ち申さん。

うーん、介錯…?

ゲッショー ………………。

りぃ やっぱりやだ。
ゲッショー ふふふ。やはり、りぃ殿は、お強いが甘いのう。故もわからず拙者を斬れんのでござろう?いや、そこが貴殿の魅力でもござるが……。

ゲッショー 致し方なし。しからば拙者の譲れぬ理由、聞かせてしんぜよう。

ゲッショー ふふふ……驚きめさるなよ。実は拙者……

ゲッショー 東のさる国の間者に候ふ。

ゲッショー …………。

ゲッショー ……驚かれぬのか?

りぃ 知ってた。

ゲッショー いや、此は恥ずかしや。とうの昔に看破されておったとは……。拙者、忍びとして立つ瀬がござらん。

ゲッショー さて、今をさる一年と数ヶ月前がこと。拙者は帝直々の命を賜り東の島を出立し申した。

ゲッショー 目的は、膠着した戦線を打破する秘策を皇国軍が準備中との報の真偽を確かめ、真ならば其を阻止せんがため。また、敵の敵は味方……当地で皇国より蛮族として恐れらるる土豪や野伏せり共と盟を結ばんがためでござった。

秘策ってのがアレキサンダーかな。

ゲッショー されど、皇国の策については魔笛や人形が其の鍵であることこそ掴み申したものの、それ以上のことは分からず……期待しておった当地の豪族も噂どおり精強ではござったが、粗暴にて信を置くに足る者は数える程しかおらぬ。

ゲッショー それに敵地とは申せ、あるざびの罪なき民への連中の仕打ち見るに忍び難うござった……。

ひんがしは人間の方が多いだろうし、その中で育ったわけだから人間に対する感情が他の獣人とは全く違うんだろうね。

ん?そういえば、ゲッショーは幼少の頃に口減らしで奉公に出されたって言ってたよね。
それが帝の命を受けるほどになってるんだから、奉公先は皇室かその近辺だったのかな。

ゲッショー 其のような時でござった。かつて干戈を交えし物の怪の頭目、るざふ殿と再び、見ゆる機会がめぐって参ったのは。

昔戦ったことがある?
200年前?

いや、ルザフは留学から帰って来てすぐにアトルガンと戦い始めたんだから、ひんがしとやりあってる暇は無いよね。

ということは、ルザフが目覚めてゲッショーがアトルガンに来た1年数カ月前からこっちの話か。物の怪の頭目って言ってるし。

ゲッショー 腹を割って語りおうてみればるざふ殿は礼節を弁えた立派な御仁。貴殿同様、信を置ける者でござった。

ゲッショー いや、物の怪とは無礼でござったな。何しろ世が世ならいとやんごとなき御方でござれば。

ゲッショー 兎も角、るざふ殿は拙者の手を取り、斯様に申された。「先のことは水に流し、貴殿と共に今度は皇国兵と干戈を交えようぞ」と。

ゲッショー そして、先刻のこと。るざふ殿は、御家来のふりつと殿を通じ戦と天変地異にて荒廃せし、我が国への多額の資金援助まで申し出られ……。

なんと。この金銀財宝を?
イフラマド王国の再建に使う分が足りなくなってしまうのでは?

ゲッショー されど其も今は夢でござる……。

ゲッショー ふりつと殿との約定を守れず、いふらまどの御宝は今、こうして皇国に摂取されんとしているのでござるから……
りぃ 皇国?

ゲッショー ……いやいや、りぃ殿を怨んでいるわけではござらぬぞ。

ゲッショー 御主も、愛する御国のため、守りたき者のため死力を尽くしたに過ぎんのでござろう?
りぃ いや、違うよ。私は…

~ かくかくしかじかタイム ~

ゲッショー さてもさても、其は妙な話にござるな。一方では拙者に財宝を取りに行かせ、他方ではりぃ殿に財宝を護らせんとするとは……。

ゲッショー されど、るざふ殿の内に秘めたる情熱……。拙者が見るに決して演技ではござらぬ。となれば此度の件、御家来のふりつと殿の独断ではござるまいか……。
りぃ そういう事だろうね。

封印がかかってるここに入れる冥衆の護符を私はルザフから貰って、ゲッショーはフリットから渡されたんだな。

ゲッショー さりとて合点がゆかぬは御主を、るざふ殿から遠ざけたばかりか拙者に殺させんとまでした、その動機よ……。

単純に、邪魔だから。よね、きっと。

ゲッショー おお、そうでござる!!はざるむ試験場とやらにるざふ殿が向こうたのは、実はふりつと殿の思う壺なのではござるまいか?

なんとしても騎士の契約させたがってたよね。

ゲッショー そして、御主を遠ざけ、あわよくば葬らんとしたはあふまう殿を護る者がおっては邪魔であるからに相違あるまい。

アフマウを…殺すつもり!?

ゲッショー りぃ殿!蛇の道は蛇と申す。拙者も闇に生きし忍びの身ゆえ此の予測には自信がござる。 急がねば、御主が主君あふまう殿の御命、危ういと見た。

ゲッショー 拙者、天地神明に誓うてこの財宝には手をつけぬ所存。よって……一刻も早う、はざるむへ!あふまう殿が元へ馳せ参じられよ!

敵国の一番偉い人なのに、助けてあげろって言うのね。

色々と調べるうちに、むしろアフマウに軍部を何とかしてもらった方が良いと思ったのかな。

ゲッショーも強いけど甘いよねぇ。
ボロも出すし…うっかり傭兵会社に入ってしまうし…そこの社長にビビり散らしてるし………。

忍に向いていないのでは…?