断ち切らん、その鎖を 其の伍

白タルの散歩道

セミ・ラフィーナ 娘…!?娘は、20年前に病で死んだのでは?
シウ・ベフラティ ペリィ・ヴァシャイ様が手を尽くし、私を逃がしてくれたのよ。この地まで逃げ延びれば、罪狩りのミスラは追ってこれないと。

北方調査団のヨー・ラブンタが、この土地はちっとも鼻がきかないって言ってたから、追跡できないんだろうね。

シウ・ベフラティ さぁ、中に入って。ここでの立ち話ほど危険なことはないわ…。
りぃ おじゃましまーす。

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シウ・ベフラティ …そう、話はわかったわ。では、まずは光の弓の話をしましょうか…。

ついに謎が解ける!

シウ・ベフラティ 「光の弓」は、その力で名前こそ有名だけれど、元々は火の部族の「族長の弓矢」ではないの。

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シウ・ベフラティ 30年前、この地を訪れた火の部族の民、ヨー・ラブンタが持ち帰ったもの。…いえ、ヨー・ラブンタが持ち帰ったのは、光の弓にはめられる大きな石。

北方調査中に見つけたのね。

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シウ・ベフラティ ヨー・ラブンタは、その石で「光の弓」を作ったわ。その弓は、族長の弓「炎の弓」よりも強力なものだった。

ふむふむ。

シウ・ベフラティ けれど、光の弓がもたらしたのは光ではなかった。それは、皆の光を失わせる弓…。

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シウ・ベフラティ 族長である母は、その弓を元の地へ戻すように主張した。恵みの約束を交わしてもいない、呪われた大地の弓を使うなんて、許されないことだから。

確かに自然との調和を大切にするミスラにとって、呪われた地の道具って邪道だろうなぁ。

シウ・ベフラティ けれども、その時には、既に民の心は、2つに分かれていたわ。

2つに?
光の弓は呪われてるから壊そう派と、強いから使おうぜ派かな?

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シウ・ベフラティ そんな時、恐ろしいことが起こったの。ヨー・ラブンタの元へ、恐ろしい魔物が現われた。彼女が持ち帰ったあの石に呼ばれたかのように。

イルクイルの日記に、フランマージュが亡くなって、その後ヨー・ラブンタが亡くなった。って書いてた。きっとその後に、ウガレピ寺院にいたイルクイルが死亡…。

確か闇の王が来たはずだから、光の弓の石とは関係は無かっただろうけど、ね。

シウ・ベフラティ その魔物に、彼女は殺され…。族長である母は、この悲劇を止められなかった罪を負ったわ。
りぃ えっ!?

ネヴ・ベフラティが直接同族を殺してしまったから10年も服役してるのかと思ってた。
魔物に殺されたのを防げなかったから!?
そんな無茶な。

何も悪くないんじゃない!!

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セミ・ラフィーナ 30年前…。ヨー・ラブンタ…。それは確か、この地へ派遣された調査団の1人ね?
シウ・ベフラティ そう、そのヨー・ラブンタを殺したのが「闇の王」なる魔物だとわかったのは、母が牢に入ってから10年近くも経った後のことよ。

あ、やっぱり来たのは闇の王だったのね。

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シウ・ベフラティ それを知った母は、火の部族の族長として、民の仇を討つために、牢から逃げてこの地を目指したわ。

なるほど、そういう理由で脱獄を。

セミ・ラフィーナ …。そしてその途中で、ヤグードに捕まったのか…。
シウ・ベフラティ …ええ。でも、私がその意志を継いだの。

自分の意志でここに来たのね。

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シウ・ベフラティ ヨー・ラブンタが持ち帰った石…「魔晶石」をこの地へ戻し、この呪われた地を浄化するために。

魔晶石だったんかい!

ダボイ、ベドー、オズトロヤだけじゃなくてザルカバードにもあったのか。

セミ・ラフィーナ …。…あなた1人では、到底、無理な話だわ。
シウ・ベフラティ …そうね。けれども、あなたもミスラならばわかるでしょう?私たちは自然の一部。だからこそ、自然の助けを求める声に応えなければならない。

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シウ・ベフラティ 私は、何百年も前に、ミスラが見捨てられ、見捨てたこの地で生きて死ぬ決心をしたの。
セミ・ラフィーナ …。

シウ・ベフラティ 私のことは心配しないで。ここに20年も暮らしてきた身…。

凄すぎる…。
きっと、物資を持ってきてくれる人とか連絡係とかいるんだろうけど。

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シウ・ベフラティ それよりも、あなたの事が心配だった。私を逃がしたペリィ・ヴァシャイ様が罪を問われたとき、あなたも罪に問われる…。

ミスラの罪の償いシステム変更した方がいいと思うの!

シウ・ベフラティ けれども、本国から来た罪狩りのミスラは、そこまでは暴かなかったようね?
セミ・ラフィーナ 私が…?今、なんと?

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シウ・ベフラティ これを持っていって。魔晶石を外した「光の弓」。罪狩りのミスラにこれを渡せば、おそらくすべて解決するでしょう。

おおっ。
光の弓が無いと納得できないって言ってたものね。

シウ・ベフラティ それと、この双子石のピアス。それは、私が罪人の娘だとわからぬようにと、ペリィ・ヴァシャイ様がくださったもの。

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シウ・ベフラティ あなたの本来の双子石のピアスとあわしてみればわかるはず。
セミ・ラフィーナ …これは!

コゥ・レンバララコが、セミ・ラフィーナのお母さんが罪人の娘に自分のピアスを渡した。って言ってた。

つまり、罪人の娘…シウ・ベフラティのこのピアスと、セミ・ラフィーナの本当のピアスがぴったり合えば、セミ・ラフィーナのお母さんがペリィ・ヴァシャイだという証拠に。

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シウ・ベフラティ あなたとあなたの母親に、私と私の母から、永久の感謝を。さようなら、セミ・ラフィーナ。

この2人が協力したらめちゃくちゃ強そうだけどなぁ。
シウ・ベフラティは死んでるはずの人だから、そういう訳にはいかないのが残念。

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セミ・ラフィーナは帰ったけど、私はまだ用事があるのだった。

りぃ ごめんくださーい。
シウ・ベフラティ (…?まだ何か、私に用事が?)

りぃ うん。お届け物だよ。

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シウ・ベフラティ コゥ・レンバララコさんから手紙を預かっていると!?ああ、なんて懐かしい名前…

20年間会ってないんだろうなぁ。

シウ・ベフラティ ありがとう、冒険者。あなたには、これをあげるわ。
りぃ あら、ありがとう。

もしかしたらあのゴールドピアス、加工して手紙に入れたりしてるのかな。

氷の矢を99本手にいれた!