なに?ウィンダスの守護戦士を探している?…「しゅごせんし」とは何だ?
守護戦士って、ウィンダス国民以外には認知度低いのね。
白い服着て、緑の弓背負ったミスラだよ。
ああ、なんだと?ミスラの狩人か。そう言わないとわからん。
すまねぇ。
それらしい狩人となら話をしたぞ。このメシューム湖周辺で、満月の晩に怪しい影を見た話をしたんだ。
おまえにも教えてやろう。ちょっと前の満月の晩、俺は湖の南側の方で黒い影がゆらゆらと揺れているのを見たんだ。
ふむ。
皆は笑うが、あれはどう見てもモンスターには見えなかった。獣人とはまた違う。…なんて言ったらいいのか…。
幽霊とも違うしねぇ。
とにかく、そのミスラの狩人は俺の話を信じてくれたみたいでな、調査しに湖の南側へ行ってみると言ってくれた。
南側って、ここらへんだよね。
…おまえも俺の話を真剣に聞いてくれたから、詳しく教えてやろう。ちょうど湖に川が流れ込んでいる辺りだぞ。
ありがと。
ちょっと西の方か。
ほのかに光る粉がついている…。
どうやら、輝ける砂と同じもののようだ。
見つけた。
粉が付いてるって、ぶつかったのかな。
君は…?ここに、何か用事があるのかしら?
あっ、探したよー。
輝ける砂…。なるほど、ラングモント峠の騎士から預かったの?私にはよくわからないけれども、何らかの魔力を帯びているように感じるわ…。
アジドマルジドか神子さまに見せたら分かるのかな。
君、これを落とした黒い影の話も聞いたのね?
うん。
ここまでしてくれた君に礼は言うけれど、詳しく話すわけにはいかない。これは、ウィンダスの国家機密に関わること。
だよね。
とにかく、この輝ける砂を持って、一度、帰国しなければ。
あ、待って。それもだけど、これも預かってるのよ。
…?なに、それは?…双子石のピアス?ペリィ・ヴァシャイ族長が私に…?
うん。あまり時間が無いって言ってたけど…。
…まさか…!?
いや、私の双子石のピアスとは合わない…。
双子石のピアスって、貝合わせみたいなやつだよね。
2つに石を割るから、ピッタリ合うのはひとつしかない。
それを親子で分けて持つ。って。
…あれ?
合わないの?
これはどういう意味?何の意味があって、族長は私にこれを…?
そのピアスと、自分のピアスを交換しなさいということでは?
…!
何者っ!?
ウィンダスの天の塔へ仕える守護戦士セミ・ラフィーナ。それは、あなたのことで、間違いはありませんね?
スカリーM…!?
罪狩りのミスラ!
…そういうおまえは?
私は、罪狩りのミスラ。聞いたことはありませんか?海と海を越えてその向こうにあるミスラの祖国。
私は、その祖国から来ました。ウィンダスに住む部族の中に、罪人が隠まわれている可能性が高いとわかりまして。
罪人…?
20年前の大戦のときにある地方にいた部族の長が、大罪を犯しました。
その長は、この地まで逃げ延びましたが、ペリィ・ヴァシャイによって討伐されました。
討伐されるほどの大罪って、いったい何を…。
その時、長の娘も共に死したという知らせを、私たちは受けました。20年前、この地を訪れた罪狩りのミスラがその死を確認したと…。
しかし、彼女は、命のともし火消える間際に自らの罪を告白したのです。「娘は生きていた」と。
えぇっ、墓までもっていけばいいのに…。
でも、嘘をついたことにずっと苦しんでいて、懺悔したかったんだろうな。
…そこで私が来ました。その長の娘を探し出し、償われるべき罪を償わせるために。
…。
ん?
罪を犯したのは親だよね。どうして子どもが償うことに?
一緒にやったのかしら。
セミ・ラフィーナ。守護戦士とは、不思議なものだと思いませんか?
戦争の孤児はことごとく本国へと送られたのに、あなたたち数人だけが他種族へと預けられた…。それは、私たち罪狩りから逃れるためではないでしょうか?
他の孤児は本国に帰ってたんだ?
ミスラの孤児はみんな守護戦士になったのかと思ってた。
そして、天の塔にいる孤児の中で、親の記録がないのは唯一、あなただけ…。
えっ…。
あなたにその記憶がなくとも、狩られる罪は罪です。罪人が償いを終えない場合、その罪人の子が償わなくてはならない…。
あ、そういうシステム。
うーん、厳しいなぁ。
今更、ピアスを取り替えても無駄です。私たちはそのようなもので、罪人の子かどうか判断したりはしませんよ。
確かにいくらでも誤魔化せてしまうからね。
ひとつ教えてあげましょう。罪人には、罪人の匂いがついているのです。この虫にしかわからない、決して消えない、逃げることができない、永遠の匂いが。
そんな便利なものが!?
さぁ、行きなさい。王の涙虫よ…。
キラキラしたのが飛んできて………何もならなかった。
…!?あなたには、罪人の匂いがついていない…?
…。失礼しました。誤ってはならない私がどこかで誤りをおかしたようです。
間違いを素直に認め謝ることができる。潔い。
待ちなさい。私が誰の子かわからないというのは…?
それは、もはや私の問題ではありません。では。
…ウィンダスへ戻らなくては。…族長の元へ、出向いてみなければ…。