「何もできない」だなんて言わせない 其の参

ヤファーブ イルキワラキさん!
イルキワラキ あれ……?キミは……。

ヤファーブ いったいいつまで待たせるつもりですか!もう私は心も体も限界です!今日は思い切ってオートマトンの目を盗んでここまでやってきたのです。

ヤファーブ もはや戻れば命の保証はないでしょう!もう、後戻りはできないのです!

そ、そこまで?

ヤファーブ さぁ、オートマトンを迎えに来ていただきますよ!

イルキワラキ でも……ボクは……。
ヤファーブ オートマトンを連れ戻す自信がないのですか?それなら大丈夫です!秘策があります!

イルキワラキ えっ?秘策?
ヤファーブ まずはナシュモの港まで来ていただきましょう。そこへ来ればすべてわかります。時間がありません。急いでください。

イルキワラキ …………。

どんな秘策なんだろう。
しばらくの間エリザベスといたわけだから、効きそうな戦法が思い浮かんだのかな。

ヤファーブ 来てくれましたね。オートマトンも、そろそろ私を探してここに来るでしょう。
イルキワラキ (エリーが……ここに……。)

連れて帰る気合よりも、不安が大きくなっちゃってるなぁ。

ヤファーブ 見てください。あのキキルンの群れを。
イルキワラキ え、うん……なんか集まってるね。

ヤファーブ 前もって、私が呼び集めておいたのです。これからあそこで、オートマトンが芸をすると言って。
イルキワラキ 芸?キキルンを相手に?

ヤファーブ そうです。貴方のオートマトンといえど、キキルン相手では、何が「ツボ」なのかわからないでしょう。そうして、オートマトンが困っているところに突きつけてやるのです。「お前の芸はその程度だ」と!

ヤファーブ そうすれば、自分の無力さを知り、イルキワラキさんのところへ帰る気になるでしょう。

イルキワラキ はぁ……。でも、ボクもキキルン相手に何すればいいかなんてわからないよ。
ヤファーブ まぁ、そこは構いません。これはあくまでも、オートマトンに1人ではやっていけないことを気づかせるための作戦ですから。

なるほど。
上手くいくかしら。

ヤファーブ そこに貴方が現れれば、オートマトンもきっと、迎えを断ることができないでしょう。

イルキワラキ はぁ……。そんな都合良くいくかな……。そもそもエリーがキキルンなんて相手にするだろうか……。
ヤファーブ 大丈夫です。前回、あれだけ大口を叩いたのですから、挑発されれば、たとえ相手がキキルンであろうとやらないわけにはいかないでしょう。

確かに。あの性格だと引っ込みつかないよね。

イルキワラキ (それでエリーが帰ってきたとして、本当にそれでいいんだろうか……?)

オートマトンの気持ち優先させてるなぁ。

ヤファーブ おっ、さっそく来ました!さぁ、もう後戻りはできませんよ!

エリザベス オゥ、コノヤロウ!いったいどこをほっつき歩いてやがった!

ますますお口が悪いようで。

エリザベス ん……。イルキワラキ、何しに来やがった?何度来たって、オレは帰らねぇからな!
イルキワラキ ボクは……。

ヤファーブ いやはや、今日は貴方の芸を拝見させていただこうと思いましてね、それで皆様にも集まっていただいたんですよ。
エリザベス アーン?何言ってんだ、テメー?

ヤファーブ いやだなぁ、このあいだ言ってたじゃないですか。「客はオレの芸を楽しみにしている」、「オレは1人でもやっていける」って。だから、その芸を見ればイルキワラキさんも納得するかなと思って、呼んできてあげたんじゃないですかぁ。
エリザベス とりあえずムカツクから殴っていいか?

今まで何度も殴られてるんだろうか…。

ヤファーブ ま、まぁまぁまぁ。こんなにお客さんもいるんですし、いいチャンスだと思いませんか?
エリザベス 客?オマエらくらいなもんじゃねーか。

ヤファーブ 何言ってるんですか。まわりをちゃんと見てくださいよ。

エリザベス まさか、このチンチクリンどものことか……?
ヤファーブ (人のこと言えるか……!)

心の声が聞こえた!

ヤファーブ ええ、もちろん。それとも、キキルンだと何か問題でも?

エリザベス そりゃ、キキルンなんか……。
ヤファーブ おやおや!あれだけ大口を叩いておきながら、お客を選ぶんですか?

ヤファーブ なるほど!たしかに人のいいお客であれば、どんな芸でも喜んでくれるでしょう!なるほどね!そういう意味でしたか!

ヤファーブ いやー、私としたことがお恥ずかしい勘違いを!ま・さ・か!そんな恥ずかしい言い訳だとは思ってもみなかったもので!

ヤファーブ 嗚呼、恥ずかしい!恥ずかしい!!恥ずかしいこと極まりない!!!

煽りが上手い!!

エリザベス テメー、命は惜しくないようだな?

死…?

エリザベス いいだろう。キキルンだろうがなんだろうが、みんなオレの芸の虜にしてやるよ。

乗ったァ!!

ヤファーブ みなさーん!聞きましたかー!今から、このオートマトンがここで芸を披露するそうですよー!
エリザベス テメー、タダで済むと思うなよ……。

イルキワラキ エリー……大丈夫かな……。

エリザベス よーし、オマエら、よく目に焼き付けておけよ!……って、近い! 近い!離れろオマエら!

ツツルン なんた、こいつ?
ジョジョルン からた、かたーい?
ブブルン おくち、どこ?どうやて、しゃべてるるの?

エリザベス ダーーーーッ!邪魔だッ!オマエら見る気あるのか!?
ツォツォルン だーーーっ!ツォツォルンも、できるの!
シシルン おめめ、どこ?どうやて、みてるるる?

芸を開始させてもらえない…。

ヤファーブ ……見事にグダグダですね。
イルキワラキ エリー……。

エリザベス ちょっ、触るな!何がしたいんだオマエら!

ツツルン なんた、このあたま?
ジョジョルン あたま、からっぽー?
ブブルン おてて、これ?どうやて、もてるるの?

エリザベス …………。

ヤファーブ おやおや、やっぱり無理ですかな?所詮、貴方の芸もその程度なのですよ。所詮貴方は、1人では何もできない、ただの思い上がったオートマトンにすぎないのです!

煽るねぇ。

エリザベス …………。

イルキワラキ ……違う。エリーは……そんなんじゃない。

ヤファーブ イルキワラキさん!?

イルキワラキ エリー、キミは……。
エリザベス やめろ。

エリザベス 確かにオレは何もできなかったかもしれない。だが、オマエに同情されるほど落ちぶれたつもりはない!

エリザベス オマエに何ができる?オレがどうであろうと、結局オマエが何もできないからくり士であることには変わりないんだよ!

イルキワラキ たしかにキミの言うとおり、ボクは何もできないかもしれない。

イルキワラキ けど、エリー。キミは違う。キミは立派なオートマトンだ。何もできないなんてことはない!

イルキワラキ 今までずっと見てきたんだ。キミが何でもできることは、ボクがいちばん知っている。キミはボクの自慢なんだ。キミがどんどん成長するのが嬉しくて、ボクはからくり士を続けてるんだ。

イルキワラキ だから、誰にもキミに「何もできない」だなんて言わせない。キミが立派なオートマトンであることは、ボクが保証する……!

イルキワラキ、ペットジョブマスターの鏡だよ。

エリザベス …………。

ヤファーブ イルキワラキさん……。

エリザベス ……だから、どうした。

ヤファーブ !!

エリザベス 結局、何もできねーんじゃねーか。

エリザベス 他のからくり士はみんな必死でストリンガーで命令したりいろいろやったりしているのに、オマエは何をやっている?

エリザベス オマエが一流のからくり士だなんて、笑わせるぜ。

りぃ まぁ、待ちなよ。

エリザベス ……どけよ。テメーもオレに何か言いたいことでもあるのか?

何を言う?
 イルキワラキが一流な理由
 からくり士にとって大切なものは何か
 エリザベスが立派になれた理由

師匠さんは、からくり士にとって大切なもののことを話していたから、2番目かな。

エリザベス 何だよ。言いたいことがあるなら、さっさと言え!
りぃ からく…

ヤファーブ ええ!言わせてもらいますとも!

ぬおお!?

ヤファーブ 貴方は大切なものが何も見えていない!

ヤファーブ イルキワラキさんは今まで貴方のことを見てきたというのに、貴方は今まで、いったいイルキワラキさんの何を見てきたのですか!?貴方がやっている芸も、貴方がしゃべっている言葉も、すべてイルキワラキさんが教えてくれたものじゃありませんか!

イルキワラキが教えたのにどうしてこんなにお口が悪くなったのかしら…。
あ、最初からだったな。持って生まれたものは変えがたい、と。

ヤファーブ 貴方が今、手にしている力はすべて貴方のマスターが与えてくれたもの。貴方の力は、すべてイルキワラキさんの力なんですよ!それなのに、どうして「何もできない」なんて言えるんですか!イルキワラキさんは、貴方をここまで「育ててきた」んじゃないですか!
エリザベス …………。

ヤファーブ からくり士にとって、オートマトンを使役することだけがすべてではありません。オートマトンと共に歩むものが、からくり士なんです!

ヤファーブ ストリンガーを使わないのがなんだっていうんですか。それは、命令しなくとも貴方が動いてくれると信頼していることの証じゃないですか。

ガチ説教の説得力がすごい。
女の子にオートマトンが欲しいと言われて相当勉強したんだな?

イルキワラキ エリー、もう一度やってみようよ。
エリザベス ……?

イルキワラキ 今度はボクにも手伝わせてくれ。もしキキルン達を楽しませることができたら、ボクのことを認めてほしいんだ。
エリザベス …………。

イルキワラキ お願いだよ、エリー。

エリザベス …………。

エリザベス ……わかったよ。そこまで言うなら、やってやるよ。

ヤファーブ よーし、キキルン達!今度こそ、オートマトンのショーを始めるぞー!

おおー!

オートマトンのダンスだ。

漫才みたいのやってる?

パチパチパチパチ!

ヤファーブ いやー、なんだか一瞬でしたね。それにしても、さすがはイルキワラキさん達ですね。まさか、今時こんな手法で来るとは、完全に予想外でしたよ。

往年の技だったのかしら。

ヤファーブ 貴方はどうでした?りぃさん。

どうだった?
 おもしろかった
 今のはないと思う
 ミスラのシーンが良かった

なんだか、普通に「おもしろかった」だとつまんないから…

りぃ ミスラのシーンが良かった。
ヤファーブ は?そんなシーンはありませんでしたよ?何が見えていたんですか?

やっぱり無かったですよね。
ミスラ好きだからもしかしてと思ったけど、すみませんでした。

イルキワラキ ふぅ。久々でちょっと緊張しちゃったよ。
エリザベス …………。

イルキワラキ ん、どうしたんだい?エリー。
エリザベス あ、いや……。オレもちょっと関節がギシギシしたわ。

イルキワラキ なんだよそれ。シャマルハーン師匠じゃあるまいし。
エリザベス ……んー、あー。

イルキワラキ
エリザベス ……まぁ、うん。

なんだか、思ってたのと違ってすごくいい感じだったとか、すごく楽しかったとかだったのかな。

イルキワラキ エリー。
エリザベス え、うん?

イルキワラキ アルザビへ帰ろう。
エリザベス ……………………ああ。

ヤファーブ ああっ、やったーーー!!ついにこの極悪オートマトンから解放されるッ!今まで陰でポンコツ野郎とか調子こいてるとか言いながら頑張ってきた日々が報われ……

イルキワラキ それじゃ、ボクらはそろそろ帰るよ。

!?
なんか今一瞬暗くなったけど…?

エリザベス またな。
りぃ またね。

イルキワラキ そうだ。アルザビに来ることがあったら、また立ち寄ってくれないかな。
りぃ うん。わかった。

あれ!?
ヤファーブがいなくなってる?

イルキワラキ 待ってるよ!

船乗り場入り口の所に倒れとる!!
エリザベスにぶっ飛ばされたんだな!?

ヒイイ!

イルキワラキ やあ。来てくれたね。
りぃ おまたせ。

イルキワラキ なんだかエリーがキミに用があるみたいだよ。

エリザベス オウ、なんだかイルキワラキがいろいろ迷惑かけたって聞いてな。
りぃ いえいえ。

エリザベス で、なんだ。詫びの1つも入れておかないといけないかと思ってな。こいつを受け取ってくれ。

エリザベス いつのまにか持っていたものなんだが、イルキワラキが言うにはからくり士用の服らしいんで、オマエが持っていたほうがいいかと思ってな。

いつの間にか持ってた?
何故!?

エリザベス しかし、なんでオートマトンのオレがそんなものを持っていたのか、イマイチ思い出せないんだよな……。

このことに関するお話がまた別にあるのかな。

エリザベス ま、それじゃ、なんつーか頑張ってくれよ。じゃあな!
イルキワラキ りぃ、本当にありがとう。感謝しているよ。また遊びにきてね。
りぃ うん。またね。

パペトリタージを手にいれた!

このお姉さんから残りのAFを作ってもらって、っと。

お姉さんの一族は代々、からくり士のルーツである傀儡師のころから人形繰りのための服を作りつづけてるんだって。

「本当は、あといくつか同じシリーズの部位があるんだけど、アタシが先代に作り方を教えてもらう前に先代いなくなっちゃってね。」
「ウチの一族でこの商売をしてるのも、アタシだけになっちゃったんで、もう新しく作ってあげることはできないのよ。」
「先代の技を全部継いだ子もいたんだけど、結局この道には進まなかったらしくてねぇ……。」

なんだって。

名前がDhima Polevhia。
回想で子どものイルキワラキの隣にいた子ミスラの名前がKuh Polevhiaで、同じ苗字なんだよね。

つまりあの子もからくり士の関係者だったんだね。
今は大人になって……もしかして、「先代の技を全部継いだ子」なのかしら。

あっ、もしかしてエリザベスがいつの間にか持ってた装備って、Kuh Polevhiaが作って持たせたとか!?

うーむ、真実はいかに。

というわけで。

からくりAF揃った~!

……帽子が微妙に似合いません。
前髪の形のせいだろうなぁ。

( ノД`)シクシク…