おお、無事に帰ってきたか。心配しておったぞ。
よく言うよ!!
うむ。わかっておる。話の続きを聞きに来たのじゃな?と、その前に1つ聞いておきたいことがある。
ワシのオートマトンになぜ勝利することができたか、その答えを直接聞かせてはくれぬか?
シャマルハーンがいなかったから。
ふむ。あたらずとも遠からず。概ねは理解しているといったところかの。
正解ではないのね。
ワシ、つまりオートマトンのマスターがいなかった。裏を返せば、オートマトンのマスターがいたほうが勝った、ということじゃな。
2対1の方が当たりだったのかな。
オートマトンは、マスターであるからくり士がいることで力を発揮するものじゃ。からくり士が力を引き出さねば、その真価を得ることはできん。
からくり士のいないオートマトンなど、マスクのないゴブリンのようなものよ。マスクをとったゴブリンは……
流石師弟…。
何?イルキワラキも同じようなことを言っておったじゃと!?あやつめ……まるでワシがそのネタをパクったようではないか!!
今マデ、ズット温メテキタ、「トッテオキ」ダッタノニネ!
別々に同じネタ考えてしまったんかい!
……まぁ、それは置いておこう。えーと……なんじゃったかな。
そう、オートマトンの力はからくり士によって引き出されるもの。じゃが、オートマトンの力をすべて引き出せるからくり士は、ほんの一握りしかおらん。
そうなんだ。
オートマトンの力を引き出すには、己のオートマトンをよく理解し、強く信頼することが必要なのじゃ。もう、わかったじゃろう。いったい何が、からくり士にとっていちばん大切なものなのか。
理解と信頼ね。
確かにイルキワラキにはもう十分備わってる。
ワシのオートマトンを倒せるかどうかは、オートマトンの力をどれほど引き出せるか見極めるためのテストだったのじゃよ。
合格ダヨ!トッテモ強インダネ!
シーフで殴ってすみません。
うむ。じゃが、からくり士が引き出す力というのは、何も戦う力に限ったことではない。オートマトンの成長もまた、からくり士が引き出す力によって成されるもの。オートマトンを見れば、からくり士の力量も計り知れるというものじゃ。
あのポンコツをあれほどのオートマトンに育てあげたイルキワラキじゃ。必ずや大切なものを持っておるじゃろう。
ポンコツだったの?
ははは、昔は奴のオートマトンも、そこらのオートマトンと変わらない……いや、それ以下のオートマトンだったのじゃよ。
おっちゃん!今日は、あの人形はいないの?
おぅガキンチョ。オマエも飽きずによく来るなぁ。
チビイルキワラキだ!
悪いが、ありゃ捨てちまったよ。
エーッ!?なんでー!?今日もロケットパンチ見せてよ~!
そうだよ!なんで捨てちゃったのさ~!どこに捨てたのさ~?
あんな危なっかしいもんは捨てちまったほうがいいんだよ。ラミアに首切られて動かなくなっちまったから、ひきずってくんのが面倒くさくて置いてきたのさ。
ラミアに?
あっ、さっきBFで戦ったあのオートマトンかな。
はくじょ~もの~!
かいしょ~なし~!
もう、あんなもんに興味を持つのはやめな。ロクなもんじゃねぇよ、ありゃ。
ロクでもないのは、おっちゃんのほうだろ~!
だろ~!
もういいよ!ボクが拾いにいってくる!
はいはい。頑張ってね。もし拾ってこれたらそいつはオマエにやるよ。
言ったな!よーし、絶対拾ってきてやる!
アラパゴまで行くの!?
危なすぎでしょ!
おっちゃん!おっちゃーん!
あー、どうしたガキンチョ。お人形さんは見つかったのかい?
ああ!バッチリだぜ!すぐ見せてやるよ!
何?アラパゴまで行ったというのか……?
マジで!?
(ナシュモは今疫病が流行っていて、一般人が渡航することなどできないはず……。)
ふぅ、持ってきたよ~。
これは……確かに……。
どうだ!これで、こいつはボクのものだね!
(しかしいったい……ん?こいつは……。)
(武装アタッチメントが一切ない……。同じなのは見た目だけか。)
おい、こいつはどこで拾ったんだ?
店先だよ。変なガルカのおっちゃんが店から出てきて捨ててったんだ。たぶん、あのおっちゃんが、おっちゃんの人形を拾ってきたんだよ。
アラパゴまで行ったんじゃなかったのね。よかった。
(店先……ガッサドの工房のことを言っているのか……?そういえば民間用のオートマトンを作っているという話を聞いたことがあるが……奴め、何を考えているんだ?)
この時期のオートマトンってことは、もしかしてオルドゥーム文明の遺物が使われてる?
店ん中、人形でいっぱいだったぜ。
へー。お店でも売ってるんだね~。
…………。
どうしたんだよ、おっちゃん。これ、もらっていいんだろ?
ん、ああ。しかしこれ、動くのか?捨てられるだけあって、かなりの欠陥品のようだが……。
わかんねーよ。捨てたのはおっちゃんだろー。
さぁ、立てっ!立つんだっ!
そんなんで動くか。何かスイッチとかないのか?
えーっと……ん、なんか変な棒が一緒についてきてるな。……これか?
おっ。
うぉっ!
む!?
わぁ!
すげー!立ったぞ!
かわいー!プリケツー!
おい、ボクの名前はイルキワラキだ。わかるか?
%@&$?
ちげーよ、何言ってんだよ!
あはは!かわいー!
おい、あまり不用意に近づくな。
武装アタッチメントが無くても、ラミア戦に投入されたオートマトンと同じ作りだったら子どもには危険な可能性が…。
あなたのお名前はなんていうの?
……&@%?
そう!エリザベスっていうのね!
そんな風に聞こえた!?
言ってねーよ!なんだよエリザベスって!
言ってなかった。よかった。
ウチで飼ってるリトルワームの名前!
何飼ってんだよオマエ……。
リトルワームって、飼うものなんですか…?
エ……リ……@$?
お?
おお?
む……?
エ……リ……ザベス?
すげー!ボクの名前はイルキワラキだ!わかるか?
イルキ……ワ……ラキ?
おおっ、やったー!覚えたよ!
…………
戦闘を目的としないオートマトンか……。これなら、あるいは……。
ん?「おーとまとん」ってなんだ?
ん、ああ。この、からくり人形のことだ。オートマトンっつーんだよ。
おーとまとん?
ちがうよねー?あなたのお名前は、エリザベスだよねー。いい名前でしょ、エリザベス?
キモい。
えっ!?
!?
…………。
…………。き、気のせいかにゃ?
もう自我が!?
エリザベス、最初からこうだったのかっ。
ふむ。オマエら、こいつがもっといろんなことをするのを見たくないか?
いろんなこと?
見たい見たい!
よし、それなら「からくり士」でもやってみるかな。
からくりし?
何をやるのさ?
ははは。そいつは見てのお楽しみさ。それじゃ、さっそくガッサドにかけあってみるわ。
あっ、どこ行くんだよ!
新しいオートマトン貰いに行ったのかな。
いいなー。かわいーなー。いろんなお洋服とか着せてみたいねー。
んなもん着れるかよ。さ、帰ろうぜ。エリザベス。
……いかんいかん。年をとると、昔の思い出に浸りがちになるな。
さぁ、イルキワラキの元へ行ってやってくれ。ワシの弟子のこと、頼んだぞ。
頼ンダゾ!