海鳥は賽を振る 其の参

ワスード やった!お姉さん。みてみて、これ!

早速見つけとる!
もしかして才能アリなのか!?

ワスード 僕も、コルセアになったらまた兄ちゃんがいなくなっても1人で捜しに行って助けるんだ!

これは、コルセアの銃?

ワスード あれ、ちょっとまって……。

ワスード むこうから話し声が聞こえるけど……。
りぃ 声が?

耳もすごく良いのか!?

だいじなもの:古びたヘキサガンを手にいれた!

えっ、このでっかい岩で入り口を偽装してるっぽい中から声が聞こえた…?
あ、入る前だったのかしら。

いたわ。

全然隠れてない!!!!!

どうして!
既に見つかってるだろうこれ!!

ワスード ねえ……。あの大きな人、さっき会った「海猫党」のガルカとそっくりだね。
りぃ 本当だ。

ワスード 待って……一緒にいるのは……白門にいた軍の人だ!

あれ?
そういえばあのガルカ、白門でもあの軍の人と一緒にいたよね。

二重スパイ?

ワスード ねぇ、内通者って……。

あのガルカだろうね。

ワスード よし、お姉さん、2人を捕まえて、クルタダに……。

足!足ー!!

ヤズクール おや、小ネズミが話を聞いていたようだ……。

盛大な驚き。

ヤズクール お友達かね? ゴワム。
ゴワム ああ……、ガキはコルセアの身内、もう1人は冒険者らしい。

何されるか分からないからこの子を逃がさねば!

乱撃の音!

りぃ あっふ。

やられてしまった。強かったんかこの人…。

ん?乱撃?
コルセアじゃないのか!

ヤズクール 坊や、前途有望なアトルガン皇国の少年がコルセアなんかと、関わってはいけないよ。

そうだ、軍の人なんだから罪のない一般市民に害をなすことは無かったのでは?

ヤズクール まあ、どのみち……。

ヤズクール 見られた以上、生きて帰すわけにもいかんのだが。

なんてこった!!
子ども相手に!

ゴワム 無駄な抵抗はよせ。すぐ、また兄さんにも会えるんだ。

あの世でってことですね。

ゴワム 今頃、俺の偽情報に踊らされ、マムークの前で一網打尽だろうからな!

ワスード き、き、汚いぞ!おまえ、なんで裏切ったりするんだよ!
ゴワム 俺は元々バストア海の海賊だ。コルセアには何の恩も仁義もないんだよ。より得する方に、手のひらを返すだけさ。

ひえ。

ヤズクール おしゃべりはそのくらいにしろ。

あの銃!
めちゃくちゃ震えてるけど、すごい勇気だぞ!

ヤズクール じゃあな、坊主。恨むならコルセアを恨めよ。

トリガー引いてるけど弾が出ないっ!

ああーっ!

銃声!

ヤズクール な、なに!?

デター!!

クルタダ まったく。命知らずなガキ共だ。
ワスード クルタダだ!!

ヤズクール どういうことだ、ゴワム!
ゴワム な、なぜここに!?不滅隊を追っていったはずでは……!?

クルタダ 裏の裏をかくのはゲームの基本だぜ?

私たちをタラッカ入江に寄こしたのも、作戦のうちだった!?

クルタダ ゴワム、幾らで買われたか知らねえが金ごときで動くなんざ、バストアの海賊は安いもんだなあ、おい。
ゴワム くっ……!

クルタダ おっと、下手に動かない方がいい。お前達が得意気に高説をたれてる間に、周囲にトラップを仕掛けさせてもらった。俺があと数発、弾を撃てば、引火して、お前らの周りだけ……ドカンだ。

えっ、ほんとに!?
いつのまにそんな……インビジかけてやってたのかしら。

ヤズクール なっ、いつの間に……。
クルタダ さあ、どうする?

と、ともかく助かった。
ひぃぃ。

ヤズクール くそっ……。

ヤズクール ……コルセアども!決着はまた今度だ!
ゴワム 逃げるわけじゃないからな!

見事な捨て台詞!!

えっ。

結局撃つんかーい!

デジョンで逃げた。

めちゃくちゃ爆発しとる。
派手好きなんだな!?

ズィーハ ……逃がすのか?
クルタダ いいじゃないか。別に連中の首を取りにきた訳じゃない。

ズィーハ まったく、甘いな。ガキ連れてると、これだから嫌なんだ。

子どもがいるから戦闘シーン見せないように手加減したってこと?

ワスード あ……。えっと、あの、これ。見つけました!

クルタダ ムティーブの弟のワスード……だったか?それから冒険者のお前……。

クルタダ ふたりとも、なかなかいい働きだったぜ。

撹乱要因ですね…。

ワスード それじゃあ、あ、あの。ぼく。コ、コルセアにしてもらえますか?
クルタダ もちろんだとも。
ワスード やった!

えっ、本当に!?
危なすぎない!!?

クルタダ ……よし、ワスード。これより極秘司令を伝える!
ワスード イ、イエッサーッ!

クルタダ お前はアルザビに潜入、命令あるまで待機だ。

なんと。そうきたか。

ワスード えーーーー!つまんないですーー!僕も煙幕とか投げたいですーー!

まぁ、そりゃそうだよね。

クルタダ ちっちっ。わかってねえなあ。これほど重要な任務はないんだぜ?
ワスード えぇっ!?

クルタダ 俺達はなんていってもお尋ね者、日の下を堂々と歩けやしない。まして街中に滞在するなんて、命がいくつあっても足りないほどだ。

そんなに悪いことしてるの?
滅亡前のコルセアがすごいことやってたとか、目を付けられてるとかかしら。

クルタダ でも、お前がアルザビにいていつも街の様子を見ててくれたらどうだ?いざって時に、いつでも我が海猫党は、皇都の情報を得ることができるだろう?この任務はとても重要だ。お前にしかできないな。

説得の仕方がスマートすぎる!!

ワスード わ、わかりました!
クルタダ よし!それからコルセアはなんといっても日ごろの訓練が大事だ。

クルタダ ちゃんと親父さんの手伝いをして足腰を鍛えておくんだぞ。
ワスード はい!

子どもの扱いが上手すぎる!
7人兄弟の長男とかなの!?

大人相手でも扱い上手いんだろうな。
なるほどこれがコルセアのリーダー…。

クルタダ さて、後はお前さんだ……。中の国の冒険者で、いまは皇国の傭兵……。
りぃ うん。

クルタダ だが……。ふむ、他の連中とはちょっと違うようだな。
りぃ うん?

ズィーハ クルタダ、私は反対だよ。余所者はもうコリゴリだ。
クルタダ まあそう言うなよ。勝負師のカンってやつだ。おもしろいことになりそうな気がするぜ?

平穏に暮らしたいです。

クルタダ そうだな、これを……。受け取れよ。それがお前がコルセアである証だ。
りぃ ありがとっ。

クルタダ ただのダイスじゃねぇぜ。俺達コルセアは、時に運を天に任せ、こいつにすべてを託すんだ。そのコルセアのダイスってのは基本的に、てめえにしか意味のねえものだ。

クルタダ だが、他のダイスは違う。がんばって、手に入れるんだな。そうすりゃ、コルセアにとってもっとも大切なことが何か、お前にもわかるだろう。

ふむ。
よく分からんけど分かった。

クルタダ 登りつめてこい、高みまでな。楽しみにしてるぜ。

クルタダ さて、吉と出るか凶と出るか。ふふ、久々に熱くなれそうな賭けだ……。

コルセアのダイスを手にいれた!
コルセアにジョブチェンジできるようになった!

ラティーブ やあ、あんたか。ずいぶんとワスードが世話になったようだな。ありがとう。どういう訳か、あいつ、あれからワガママを言わなくなったんだ。

おおっ。

ラティーブ 店の手伝いもよくするようになったし……。

ラティーブ はは、何かいいことでもあったんだろうなあ。

すごい。
少年にはヒーローの言葉は絶大ね。

この調子なら、そのうち本当にコルセアになれるかも。
がんばれ。