アラパゴに来たぞーい。
ムティーブ兄ちゃん!無事でよかった!
ワスード。お前、あんまり無茶するなよ。
あんたは……傭兵?冒険者か?なんで弟を助けた?
む…。危なっかしいから?
……いや、すまない。礼を言わなきゃならないな
すごいや!僕コルセアの人、初めて見たよ!想像よりずっとカッコいいなあ。
いいから早く家帰れよ。親父が心配するだろう。
あっ、センターにいた女の人が来た。
やだよ、僕もコルセアになる。
なんだって?
…………。ムティーブ、このガキは誰だ?
弟なんだ。
この怖そうなおばさんは?
バカ、おまえ!我が「海猫党」のナンバー2のズィーハさんだよ!
ヒイイイイイイ!!!
怖いもの知らずが過ぎる!!!
は、はじめまして!僕もコルセアにしてくださいっ!
ヒィ!詫びも無しに要求を伝えたぁ!!
いや、ワスードから見たらズィーハは間違いなくおばさんなのかもしれない。いや、それでも礼儀ってもんが…。
ねえねえ、ズィーハさん。街で壁を飛び越えてたの、あの、「疾風のクルタダ」ですよね?僕知ってるんだ!コルセア「海猫党」のキャプテン!
子ども怖い!!
あの最後の閃光弾?くー。しびれるよなあー。いまも目がキラキラしてるよー!
無言が怖い。
みんな、ご苦労だった。おかげで作戦は成功だよ。
子どもを無視したぁ!
ただひとつ、気になることが……。
どうした?
クルタダが気がかりなことを言っていた……。「不滅隊の奴ら、集まるのが早すぎだ」ってね。
私もまさかとは思うんだけど……
……内通者か?
なんと。
ズィーハ、不滅隊の主力はマムークへ出向いているらしいぞ。
ゴワム、確かなのか?
ああ。ムティーブを救出したとき、連中が話しているのを漏れ聞いた。「本隊が、蕃都で釘付けでなければ」ってな。間違いないだろう。
でかしたよ。私はクルタダに伝える。みな、出撃の準備をしておけ!
了解です!!
ひぇ。
そこで割り込むんかい!
お前らは帰れ。
ええええええぇぇぇー。
ガキなんか連れて行けるか!それに……。
お前は傭兵だろう?皇国に手を貸してるような犬じゃないか!
はっ!確かに敵対勢力…!!
この人は敵じゃないよー。だって僕を捜しに、白門まできてくれたんだ。ねぇー、「海猫党」に入れてよー。
冗談じゃない!クルタダに見つかる前にさっさと失せな。
私が海猫党でもこんな子ども入れるの嫌だわ。
危なくて仕方ない。
ちょっと、黙ってないでお姉さんもなにかいってくれよー。コルセアになりたいからここまできたんだろ?ちがうの~?
そういえば、それはそう。
……たまにいるんだ。あんた達みたいな物好きがさ。
やだ。ワスードとひとまとめにされてしまった。
いいか?コルセアには、言葉なんて必要ないんだよ。求めるものがあるなら、まず行動で示すことだね。
……私たちの先祖、「コルセア」滅亡の地に行き、自らの勇気と覚悟を証明できるような物を探してきな。……話はそれからだ。
危なっかしい子どもと敵対勢力に属してる冒険者相手なのに、コルセアになる可能性を示してくれるの優しすぎではないでしょうか。
……ワスード、お前、本当にコルセアになるのか?
うん!
また親父に怒られるなあ……。
……わかった。じゃあまずはズィーハさんの課題をクリアしてみろ。
兄ちゃんも甘いな!
「海猫党」は意志を問うが身分や種族は問わない自由な組織だ。お前の中の、勇気と覚悟を証明できればきっと仲間にしてもらえるさ。
コルセア滅亡の地、というのは、おそらく「タラッカ入江」のことだろう。お前達の試練だから、俺は助けることはできないけど……。
滅亡?
コルセアって滅亡したの?
この人たちは、残党ってこと?
がんばれよ、ワスード。
うん!