やがて海霧の夜に翔ぶ 其の壱

待ち合わせの場所に来たぞーい。

ズィーハ りぃ、こっちだ。

あれ、いつもと服が違う。

ズィーハ 私はここらじゃあ面が割れてるからね。変装してるんだ。

そのサングラスは怪しすぎるから、普通の眼鏡の方が良いと思う…。

ズィーハ さあ、出発するよ。準備はできてるだろうね?
りぃ うん。

ムティーブ 奴らの居場所は……?いくつか心当たりがありますが……。
アズナーフ ひとつひとつ当たってる時間はねえっす。

ズィーハ イムティラの性格は良く知ってる。あの執念深い女のこと、まず自分と同じ目にあわせようとするにちがいない。

ひぇ。

アズナーフ ってえと?

ズィーハ 決まってる。船から海に突き落とすのさ。

ムティーブ ……アラパゴに船着場があります。
ズィーハ 恐らくそこだろうね。間違いない。

ワスード お姉さん、お姉さん!
ズィーハ ああ、ワスードじゃないか。ちゃんとお手伝いしてる?

おばさん呼びじゃなくて、お姉さんになってる!!

ワスード ねえ、クルタダが「しょけい」されるってほんと?お客さんたちが喋ってるの聞いたんだ。

ズィーハ …………。

言うかどうか考えてる。

ズィーハ 大丈夫、任せておきなさい。あんたは、私たちが戻った時にゆっくりできるようにおいしいチャイを用意して待ってて。
ワスード ……うん。……わかった。

否定はしなかったけど、肯定もしなかった。
肯定したらショックで落ち込むか騒ぐかしちゃうだろうから、これが正解だろうね。ズィーハもうまいなぁ。

ズィーハ ……そうだ、あんたにこれを渡しておこう。船に乗るのに必要なんだ。
りぃ うん。ありがとう。

ズィーハ 万が一、なくしたらまた、ここまで取りに来るんだよ。予備はワスードに預けておくからね。

ワスードにもしっかり仕事があった。

ズィーハ さあ行くよ、りぃ。

だいじなもの:救命具を手にいれた!

救命具とか親切!
と思ったら、覚悟も問うものだったのか。なるほど…。

イムティラ 船長の威厳台無しね、クルタダ。
クルタダ …………。

超ピンチじゃないですか!

イムティラ そのままオロボン達のエサにでもなってしまえばいいわ。
ヤズクール 奴らは現れるのか?

イムティラ 来ます。間違いない。コルセアってのは無駄に仁義ばっかり厚いんですよ。まとめて袋にして叩き落としてやりましょう。

クルタダ おめでたい奴らだな。
ヤズクール なんだと。

クルタダ 言っただろう?うちのクルーはそんなにヤワじゃねえよ。

ヤズクール ぬかせ。貴様の戯言など知ったことか。……命乞いでもしたらどうだ。ヘラヘラしやがって。

クルタダ ……本当にわかってねえな。コルセアには、剣も銃もいらねえんだよ。伸るか反るかのきっぷの良さだけが、俺たちの武器だ。

クルタダ 絞首台の上でだって、笑ってやる。それがコルセアのやり方さ。

海賊かぁ。

ヤズクール ふざけやがって。

ヤズクール ……やるぞ。

クルタダ やれよ。

ちょっと後ずさったぞ?

銃声!!

クルタダ 遅いぞ!

この距離でその銃で当てるなんて、腕良すぎィ!!

煙幕投げて飛び降りた!

ズィーハ いいザマだったね。

クルタダ 色男は恨みを買いやすいんだ。
ズィーハ ふん、馬鹿じゃないの?

イムティラ クソ、なめやがって!

クルタダ 来な。犬ども。まとめて撃ち抜いてやる。

ヤズクール 今日の我々は少々本気だ。逃げ切れると思うなよ!祖先たちと同様このアラパゴの海に散るがいい。

ヤズクール 我々……、アトルガン皇国の手によってな!

イムティラ この世への遺言を考えるといいわ。

ヤズクール ……お前もな。

ヤズクール ご苦労。役目は終わりだ。ここで舞台から降りてもらおう。
イムティラ !!

あー、やっぱりそうなりますよねぇ。

ヤズクール ……皇国が本気で元コルセアなんぞとつるむと思ったか?あるいは……あのガルカのようになりたいというなら止めはせんよ。

ゴワム ……コル……セァ……。…グゥ…ゥ………

うわぁ…。喋らないなぁ。とは思ってたけど。
何かのモンスターの組織移植されて自分の意志殺されたんかな…。

あっ!

後ずさりして落ちちゃった!

Uki Pupakkuh ……おちたよ。
ズィーハ そうだな。

アズナーフ どうするっすか?
Uki Pupakkuh さあ……?

ズィーハ 見殺しにすると夢見が悪そうだね。
Uki Pupakkuh そういや、あいつ測深儀を持ってるんじゃん?

ヤズクール 他人の心配をしている暇はないぞ!

この人数差で勝つ自信があるほど強いのかしら?

クルタダ ……しょうがねえなあ。

クルタダ りぃ、そっちは任せたぞ!
りぃ えっ。

助けに飛び込んじゃったよ!

あーもー!
しょうがないなぁ!!