これは、ジュノ下層のお互い素直になれない幼馴染、水晶玉の占いのクロウモロウと、タルットカード占いのチュルル。そしてジュノ上層の未亡人イルミダそれぞれの連続クエストの集大成。

ようこそ!わたくしは占い師のクロウモロウです。あなたがここへ立ち寄ったということは人生の岐路において迷っていらっしゃるということ……
そうだったのか…。

……ん?
どこぞのタルタルが。

やあ、チュルルさん。どうだい、調子は?
チュルルのお客さん?

ルンガコプンガさん!どうしたの?突然。
常連?

……ルンガコプンガ?
チェック入りましたッ。

この前の話考えてくれたかな、と思ってね。
あたし、うれしいけど……。

この前の話?
お客さん (私) が目の前にいるのにそれどころじゃない様子。

だったら、決まりだ。すぐに行こう!じっとしていたって何も変わりはしない。生まれ変わるんだ、新しい自分に!可能性を信じて。

(何の話だろう?生まれ変わるとか、どこか行くとか……。チュルルを連れていっちゃうのか?)
怪しい宗教じゃないよね!?

そうね。ずっとこのままでもつまらないし、思いきってみようかな?
よし。これで今までの自分とはお別れだ。チュルルさん、例の場所で待っているから。

(……まさか、駆け落ち?チュルルが? ど、どうしよう。このままじゃ行っちゃう……。と、止めないと!)
駆け落ち!?

(でも、どうやって?僕が何を言っても、チュルルは聞く耳持たないだろうし……。第一、断られでもしたら僕は。)
(だからって、みすみすこのまま駆け落ちさせるわけには……。)

……あの、もしもですよ?もし、あなたに好きな人がいて、その人がどこか遠くへ行っちゃうとしたら、どうします?自分の気持ち、言えますか?仮定の話ですけど。
選択肢が出た。
言える?
言える
言えない
言えるとか言えないとかじゃなくて、この状況言うしかないでしょ。
言うのだ。
……そうですか。僕にはその勇気がうらやましいです。

あわわわ、たとえばの話ですよ、そんな真剣にならないでください。僕には全然関係ありませんから。
バレバレやが。
(なんとかこの気持ちを……。でも、でも、そんなことできっこない。)

ハァ、どうしたらいいんだろう。後悔はしたくないし、でも、もし断られたら顔をあわせにくいし……。困ったなぁ……。

……あぁ、あたし、どうしたらいいのかしら。思い切って聞いてみたいけど、そんなことできやしないし……。
うーむ、一度素直になるしかないと思うけど、ここまで意地張ってきてるからなかなか難しいよなぁ。うーむ。

あら、いらっしゃい。時間があるのでしたら、お茶でもいかがです?わたしも、少しお話したいですし。
やったぁ。


この小箱、主人からのプレゼントなんですよ。
亡くなったご主人の…。
でもね、ほら。特別きれいなわけでもないし、カギがないから開けることもできないの。こんなものを、好きな人に贈るなんてねえ。……ふふふ。

プレゼントだって、これひとつだけなんですよ?それも、「ほらっ」てただ一言だけ。照れ屋で口下手で……。
不器用すぎる。

それでも、わたしには大事な宝物なんです。おかしいでしょう、女って?こんな箱を、ずっと大切に持っているんですもの。
これは……顔中ひげもじゃ?

失礼します。
あら、どなたかしら?
下層にて占い屋をしているクロウモロウと申します。突然の訪問、お許しください。
丁寧なあいさつ。

実は、お願いがあるのです。その小箱、譲ってはもらえないでしょうか?
えっ?
お客様から聞きました。イルミダさんが、随分古い小箱を持っているって。それはもしや、魔法の小箱なのでは?

口下手な神様が、意中の相手へ言葉にできない想いを伝えるために使ったといわれる……。
神様も口下手で困ってたりするのね。

……この箱が?
ご存知なかったのですか?

相手への想いが詰まった箱は月から落ちてくる月の雫で開けることができるんです。そのとき、奇跡が起こるといわれています。永遠の愛が約束される、と。

……まさか、知らずにずっと閉じたまま?
ええ。夫からの贈り物で……。
どうやっても開かなかったのかな。
でも、そんな箱とは思いもつかなかっただろうしね。

僕はチュルルに、いや、その幼なじみのやつに、どうしても伝えたいことがありまして……。だから、その箱に自分の想いを入れたいんです。

自分の口で、その子に伝えればいいんじゃないかしら?
ズバッと正論キタァ!!

言えませんよ、そんなこと!
まだ危機感が足りんなぁ!

もしかしたら、あの人……。いえ、そんなねぇ?あんなに気のまわらない人がそんな伝説を信じるなんて……。
ボヤーダ樹で月の雫を手に入れれば、箱を開けて確かめられるんですが……。それまでは、僕もその箱を譲ってもらうわけにはいかないですし。

ごめんなさい。またあなたに迷惑をかけてしまうけれど……。お願いできませんか?月の雫を。
僕からもお願いします!もし伝説が本当なら、きっとご主人の想いが入っているはずです。奇跡が起きるはずなんです!
いいよ。

ありがとうございます。こんなお婆さんの無理を聞いてくださって。でも、あの人の想いなら、やっぱり見てみたいの。

ホイッと。

だいじなもの:月の雫を手にいれた!