
りぃ!大変よ!ヤーガウミガが大怪我をして病院に運び込まれたらしいの。
ええっ!?

クフィム島にいる強力なモンスターにやられたって噂を聞いたんだけど……。
どのモンスターだい!?私がひねりつぶしてやる!!!
とにかく、病院に見に行ってあげてちょうだい。

ヤーガウミガああああ!!

ヤーガウミガさんですか?ちょうどよかった。さっき治療が終わったところですよ。
大怪我したって…!
大怪我?いや、そんなにひどい怪我じゃありません。無茶さえしなければすぐによくなりますよ。
そうなの!?
あ、ヤーガウミガさん。りぃさんがお見舞いにいらっしゃいましたよ。

別にたいした怪我でもないのに、お見舞いなんて大げさだね。
あっ、本当に酷くなさそう。
よかったぁ。

そんなこと言わずに、せっかくだから送っていってもらえばいいじゃないですか。
大丈夫。1人で帰れるよ。
こっち見ないな。
どうしたんだろう。

随分そっけない方ですね。まあ、怪我の方は心配しなくて大丈夫ですよ。
いつもはあんな感じじゃないんだけど…。

あ、りぃ!ヤーガウミガの様子はどうだった?
無茶しなければすぐに治るって。
そう、怪我はそこまでひどくなかったのね。よかったわ。
うん。

何かあったのか?
ええ。わたしの知り合いが、病院に運ばれたのよ。
誰だろう。

そうそう、彼を紹介するわ。最近知り合ったフォクルマンさんよ。実は、クフィム島に棲むモンスターの話は彼から聞いたのよ。
はじめまして。りぃです。
それで、わたしがヤーガウミガに話したの。りぃと一緒に行ってきたら?って言ったんだけど、まさか1人で倒しに行くなんて……。
こんなことになってすまない……。

フォクルマンさんが責任を感じることはないわ。
いや、やはり話すべきではなかったのだ……。あのモンスターは、冒険者に災いを招くのかもしれん……。


昔、私がお前さんのような冒険者だった頃、私にも相棒がいてな……。
おじいさんが若いころに冒険者って、珍しかったのでは。

ある日、あいつは婚約者を私に紹介してくれた。ペラジアさんという、とても美しく優しい女性だった。
めっちゃ美人!!

彼らは数日後に結婚式を挙げる予定で、私は心からそれを喜んだよ。

……しかし、その数日後、あいつは大怪我をして病院に運びこまれた。
えっ。

街では、あいつが1人でクフィム島のモンスターを倒しに行き、やられたという噂が広がっていた。

だが、私が病院に行くと、なぜかそこにはぺラジアさんもいたんだ……。……病院に運ばれたとき、すでに手遅れだったらしい。私がかけつけたときにはペラジアさんはもう……。
えっ…亡くなった…!?

……!おい、……彼女にいったい何があったんだ……!?
………。

……お前はクフィム島に行ったのか?……彼女も一緒だったのか!?
……なぜ、あんなところに……!危険だとわかっていただろう!?

なあ、何とか言ったらどうなんだ!!
どうして何も言わないんだろう。

……どうして一言、俺に言ってくれなかったんだ……。
2人で行ってたら、きっとこんなことにはならなかったよね。

……私は何よりも、あいつが私に何も言ってくれないことが悔しかった。

……結局、あの事件のことは何ひとつわからずに、あいつとはそれきりになってしまったよ。
最悪な別れ方じゃないですか。
……相棒とは、所詮そんなものだ。
去っていった…。

……なんだか悲しいわね。あなたたちには、そうなってほしくないわ。

ヤーガウミガは今、どこにいるのかしら?ねぇりぃ、シグナルパールで連絡をとってみたらどう?
うん。


りぃ?どうしたんだい?え?今どこにいるかって?

……別にどこでもいいだろ。今忙しいから、じゃあね。

あっ、ヤーガウミガー。おーい。

ヤーガウミガと連絡はとれた?どこにいるの?
わかんない。
……そう、教えてくれなかったの。ヤーガウミガったら、もしかしてまたクフィム島に1人で行ったんじゃないかしら。

怪我したばかりなのに、ほんと無茶するわね。1人で行ったらきっとまたやられてしまうわ。りぃ、助けにいってあげてちょうだい。
無茶しなければ怪我は治るって言われたのに、無茶したら治らないじゃない!
すぐに行く!!