りぃ。パロメッタのこと、気にしてきてくれたのかしら?
うん。どんな感じ?
あの子、あれからずっと眠りつづけていて……。
ええっ!?
ふふっ。あなたたちって、行動も似てきてるみたいねぇ。ヤーガウミガが来たわ。
やぁ。ルト、りぃ。パロメッタの様子はどうだい?
……かんばしくないの。
ジュノに戻ってすぐに医者のもとへ行ったのよ。そうしたら……。
医学的な問題は見当たりません。これは、呪いの類でしょう。
うげぇ。呪い。
この種の呪いは、術者にしか解くことができないもの……。早急にその者を捜し、術を解いてもらうべきですね。
……それ以外に方法はないの?
……あとひとつだけ呪いを解く方法がありますが……。
ひとつだけ?……それはどういったものかしら?
……その術者が死ぬこと、です。
うーん、よくあるパターン。
厄介すぎる。
どちらにしろ、呪いが解けなければこの少女が目覚めることはないでしょう。
あいつしか呪いを解くことができないなんて、困った事態に陥ったものだわ……。
鏡の修復にこだわったせいで、こういう結果になろうとは、思ってもみなかったの……。あさはかだったわ。
そんなに自分を責めないで。
誰にも予想できなかったことだしね。
しかし、ルトはいつも心配してる素振りでも裏がある感じだったけど、今回は本当に後悔してるのかしら。
ジャグナー森林で、あの男が落としていったんだ。ルトが持っていてくれるかな。
…………?これは、冥闇の鏡じゃない!!
ルトから、冥闇の鏡をパロメッタに渡すといいよ。
……ありがとう。
パロメッタは、いま海神楼にいるわ。あの子の様子も見にいってあげてくれる?
いや待って、自分もヤーガウミガも自然とそっち行ってるけど、海神楼そっちじゃないよね。
なんなの。私だけじゃなくヤーガウミガも方向音痴なの?
ルトも止めて。
う~ん……。目の院に行って導きの鏡について調べてみようかしら……。
お見舞いに来たよ。
寝てる…。
今は、落ち着いてますけど、ときどきうなされていて……。
……ごめんね。こんなことになって……。
鏡が光った。
やっぱり、何も映らない……。手がかりもないし、いったい何をしてあげたらいいんだろう……。
りぃ。何か良い策はないかな?
うーーーーん…。
こういう類の問題は、ウィンダスの力を借りるしか?
やっぱりまだここにいたわね♪
「鏡の伝承」を返さなくてはならなくて、目の院に行ってみたのよ。そしたら……。
ムムム!もうこの本は読まないのかね?
本はじゅうぶん役にたったわ。おかげで、冥闇の鏡も修復できて……。ありがとう。
ムム。……そう、くねくねするでない……。
くねくねされるともじもじしちゃうの。
見つかったみたいね。
ディナー♪ ディナー♪ ディナー♪ ディナー♪ ディナー♪ ディナー♪ ディナー♪
ディナー?
(ヤーガウミガが言ってたとおりね! フルコースがこれほどものを言うとは思わなかったわぁ……。)
あのすごい量のフルコースを振舞ったのか!!
違うコースかもしれないけどっ。
これが「失われた鏡」よ。天光の鏡について知りたいのよね?
第1巻が「鏡の伝承」で主に冥闇の鏡について書かれてて、
「失われた鏡」が続刊で天光の鏡について書かれてるのね。
この本にはね、天光の鏡からその力が失われるまでの経緯が記されているわ。……著者はよっぽど、鏡にご執心だったみたい……。
……そう。鏡の守り手たちは、アトルガン皇国にあった天光の鏡から、その力を奪ったのだよ。
名前がTaliesin…タリアセンだ!
金髪の方がタリアセンで、手前のローブの人は誰だ?
ククク……。わかるか?鏡の守り手などと呼ばれているが、実際のところはそうではない。
奴らはアトルガン皇国に対する切り札の1つだった……。だからこそ、これほどまでに秘密とされていた……。
眼鏡かけてるし、服が違うし、パロメッタを襲った人とは別人かな。
タリアセンの本が書かれたのは結構昔だから、あの人はタリアセンの子孫なのかしら。
……突拍子もない考えだと思うか?
まぁ、いい。いずれ私が真実を見出し、その考えが、私の考えこそが正しかったと証明してみせよう!フハハハハハハハハハ!!
性格はそっくりだな!?
両方ともタリアセンなのかな。
そうだとしたら、すんごい長生き…。
うーん?
「冥闇の鏡は、この世のものならざる力をもたらす神具……」か。クク……。そういうことか。一見すると冥闇の鏡の威力を誇示する稚拙な一節……。だが、この一節こそが、冥闇の鏡の力の源を示している……。
「この世のものならざる力」。つまり、この世に存在しないはずの別の次元の力……。
別の次元?
別の次元といえば、真世界とか大いなるもののいる…
…
…黒い神って前に言ってたよね。
冥闇の鏡こそが黒き神の力を引き出すことのできる道具なのだ。とも。
プロマシアの呪縛をクリアした今なら分かる。
黒き神とは、闇のクリスタルに眠っていた大いなるもの。
冥闇の鏡は、闇の大いなるものの力を引き出し…一瞬で国が滅んだんだから、ちょっと力を借りるレベルじゃないよね。
あっ、昔一度目覚めたことがあるって。
この時の事か!!
そして今は完全に目覚めていて、北の国にいるという話だけど。
アトルガンと関係してくるのかな。
フフフフ……間違いない。冥闇の鏡を作った人間、いや、人間かどうかもわからぬが……、そいつも私に劣らぬ卓越した発想の持ち主だったはずだ。だとすれば、その力というのはおそらく……。
大いなるものの力を引き出す道具とかどうやって作るんよ。
クク……おもしろくなってきたぞ。フフフフフ……フハハハハハハハハハ!!
クックックックックッ……。やはり、やはりそうだ!!冥闇の鏡は、黒き神へと通じているっ……!?
闇のクリスタルがあったってことは、光のクリスタルもどこかにある?
そして、冥闇の鏡が闇の大いなるものに通ずるなら、対となる天光の鏡は光の大いなるものに通ずる?
どちらの大いなるものもどの召喚獣なのかまだ出てきてない。
光の大いなるものは存在すら出てきていない…。
きっとアトルガンの秘宝で関わってくるんだな?
……私の考えたとおりだ。後は如何にしてその力を手にするか……。
私の研究もこれからが本番といったところか……!フハハハハッ……!
この本「失われた鏡」は、タリアセンの友人が、彼の手記をまとめたものなの。探すのが大変だったわぁ。
タリアセンの友人。
あのローブの人かな。
……タリアセンは、この研究の志半ばにして、急な病気で死んじゃったんですって。
えっ。
きっと、も~のすごく心残りがあったに違いないと思うわぁ。あたしも研究者のはしくれだから、想像がつくの。彼の気持ち……。
察するに余りある…。
もしかして、未練が残ってて、おばけになってたりして!なぁんて♪
ありうる!
大いにありうる!!!
やっぱり今出てきてるアイツは、子孫じゃなくて本人のおばけ!?
そうそう、この「鏡の伝承」には、天光の鏡についての記述もいろいろと書いてあるわ。……美しい品だったのね。
……あのときね、まばゆい光が鏡から辺りに広がっていって、それで何もかもが真っ白に輝いたのよ。もしかするとあの光って……。
光の大いなるものの力だったのか!!
明らかに神聖魔法なエフェクトだったし。
その光って……。「失われた鏡」にある、天光の鏡の輝きの記述とそっくり!ボスディン氷河の北東にある「鏡の池」に力が封印されているらしいのに、いったいどういうことかしら……?
封印?
あっ、さっき、タリアセンが冥闇の鏡の守り手が天光の鏡から力を奪ったって言ってたね。
それをボスディン氷河に封印したのか。
…えっ、なんで封印されたのに力使えてるの?
その封印は、鏡の守り手の亡霊が守ってるという噂があるの。その池のほとりで霞のきらら、霧の香草、靄の香木を燃すと、亡霊の姿が見えるようになるって話よ。
そんなことまで本に書いてるの。
どれもつるはしや草刈鎌、まさかりなどを持っていれば簡単に手に入るものよ♪
…集めないといけないのですね。
研究で一度、「鏡の池」を訪れようとしたことがあるけど、道中が危険でたどり着くことができなかったわ。
……なるほど。
とゆうわけだから、鏡の守り手の亡霊に、導きの鏡について尋ねてみるのはどうかしら?
守り手の亡霊か……。
鏡が光ってる。
そうだね。やれることはやってみよう。りぃ、協力してくれるね?
はぁい。