火事だぁ!!
あっ!建物の中に女の子が!
あふまうヨ……きイタトオリダナ、アレヲみヨ!
……そうね。逃げ遅れたみたい……。
アヴゼン……?
ウム。あふまう、つイテくルガヨイ!
アヴゼン頼もしい!
おい、きみ待ちなさい!
危ない!下がれ!!
無視して行ったァ!
!!
あっ、敵が。
くそっ!!
燃え広がってる!
うおー!
アヴゼンすごいぞ!
そんな細腕で力持ちなのね。
おい!
……。
彼女は……?
…………。
力尽きちゃった!
!!
倒れてる!!
……ん……。
おねがい。おねえちゃん、目を覚まして……。
心配ない。気を失っているだけだ。
怪我が無くて良かった。
……ンッ…………ケホッ…ケホッ……。
もう、安心だ。しっかりしろ。
ぶじ……だった……の?……よかった……。
あなた……が、わたくしを?
ああ。
……ありがとう……。
アヴゼンはまだ動いてないな。
大丈夫かな。
……無謀だ。命を粗末にするな!
……だが、見上げた勇気だ……。
……おねがい。……もう、行って……。
なんだ?
……わたくしは大丈夫ですから……。もう……行ってちょうだい。
……街では、あなたを必要としてる人が、まだまだいるはず……。だから……はやく行って、助けてあげて……。
しかし、ここに子供2人、残すわけには……。
子ども2人。
あ、2年前だから。
…アフマウって何歳なんだろう。
今のアフマウがゲームのヒロインにありがちな16歳くらいとしたら、この時14歳くらい?
あっ!アフマウ様!
アヴゼンが動き出したー!
ご、ご無事でございますか?どこか?どこか、お怪我は!?
……だいじょうぶよ。
よかった……。
じゃなくて!御身になにかあったら、どうするんですか?ご自重ください!!
ご、ごめんなさい……。
(りしゅふぃーハしんぱいガ、すギルトおもウゾ。)
……アフマウ様、あの者は?
彼は、わたくしのために……
待って!
その腕……ケガをしているの……?
ん?ああ、たいしたことはない。
結構痛そうだが!?
いたいたシイゾ!ヤセがまんスルナ。
そうだそうだ。
……。
これ……。
あっ、頭のリボンを取って…。
縛った。
すまない……。
あんな細いのひと巻きで効果あるんかな!?
あっ、もしかしたら何か魔法がかかってるのかもしれない。
あ、あの…………お名前は……?
ルガジーン。……皇国軍の兵士です。
ルガジーンの大切なもの、このリボンだったのね。
……それから、再び戦場に戻られたルガジーンさまは、散り散りになっていた他隊の兵士までまとめあげられ、獅子奮迅のご活躍……ついに、トロール傭兵団とマムージャ蕃国軍を撃退し、見事、皇都を護られたのだ。
その少女の言葉が、ルガジーンさまに本来以上の勇気を与えたのですね!
そうかもしれぬ。
それで、それで、ルガジーンさまは?さぞかしすばらしい恩賞を授かったんでしょうね?
それが、ルガジーンさまの行動は非常事態とはいえ、越権行為があったのは事実。軍では、それを問題視する向きがあってね。
あらぁ。
なんですって?まさか、あのミッサードとかいう元帥が、よからぬことを吹き込んだのでは?
さぁ、それは分からぬ。ただ、下された謹慎命令に、ルガジーンさまは一言も反論せず、唯々諾々と従い、営舎で軟禁生活を送られることに……。
おお、なんたること!天道、是か?非か?
しかし、ある日のこと。ルガジーンさまのもとに使者が来られ、皇宮への召喚命令が伝えられたのだ。
ほほおおう!ま、まさか、聖皇さまに謁見されたのでは?
そ、それで、それでルガジーンさまは!?
……あ、っと。いけない。もう、休憩時間が終わる。持ち場に戻らねば……。
ええええーーー??
ええー!
悪いが、続きはまた今度な。
ちょっと、ビヤーダさん!そんなあああ。これじゃあ、文字どおり、蛇の生殺しですよ~。
軍の規則は厳しいだろうし、仕方ないね。