少年たちの贈り物 其の壱

Louxiard ルクシアル ここは番犬横丁。オークの捕虜を見物に訪れたのか?
りぃ オークの捕虜?

ルクシアル あれがそうだ。王立騎士団が捕らえてきた。あのように牢に入れ、見せしめにするのだ。

見せしめに…。

ルクシアル そういえばあのオーク、妙に人間の言葉が巧いと評判だ。希望するなら見物を許すが?
りぃ いいの?

残って敬礼した人が話してるや。

ダルヴィーユ Darvylle (チッ、人か……)

えっ。舌打ち?

Orcish Captive オ、オイッ、待ちやがれ!話は終わってねぇぞ、ダルヴィーユ!

明らかに聞かれたらまずいこと話してましたね?

Orcish Captive おッ……?そっ、そこの優しそうな方!オレサマの……いや、ワタクシの話を聞いてもらいたい。

Orcish Captive 突然、こんなこと 話したところで、信じてもらえぬのは覚悟の上だが……ワタクシの本当の姿はエルヴァーン……オルシャー家ゆかりの者だ。
りぃ えぇ…?

オルシャー家?

Orcish Captive ……ある魔女に呪いをかけられ、こんな醜い姿へと変えられてしまった。
りぃ 魔女ぉ?

Orcish Captive これを見てくれ。誇り高きわが血筋、オルシャー家の紋章の入った指輪だ。わが家系を証明する唯一の証……。

指輪に、一角獣の紋章が刻まれている。

オルシャー家の家紋が何なのか知らないから判別できないなぁ。

Orcish Captive さきほどの神殿騎士、慈悲ぶかきダルヴィーユ様はワタクシの話を信じてくださった。そしてこともあろうか牢の鍵束を、ワタクシに預けてくださったのだ。
りぃ えぇ!?

Orcish Captive みずからのお立場も顧みず、せめてひと目、家族の顔を見ることを許しましょうと……。

ってか、流暢に話すなぁ。
元人間って本当…?

Orcish Captive ワタクシはダルヴィーユ様の慈悲に応えんがため、牢を出ることを決意した。そして牢の鍵を開けるべく格子の外の鍵穴に、手を伸ばしたのだが……

Orcish Captive 忌々しきオークの腕のなんたる太いこと!鍵穴に手が届かぬではないかっ!
りぃ なんたることたる。

Orcish Captive ううっ……。決して逃げたりなどしない……。ワタクシの代わりに、貴方がこの鍵で牢を開けてくれないか?

半信半疑だけど、開けないと進めないから開けちゃうよっ。

チラッ…。

コソコソ。

Orcish Captive ……感謝する!

Orcish Captive 牢の鍵束はワタクシが返しておこう。貴方が持っていれば脱走を手伝ったと誤解されるかもしれぬ。
りぃ うん。

Orcish Captive では、ワタクシは騒ぎが起こる前に、ここを去ることにしよう。

Orcish Captive おお、アルタナの子よ!かなうことなら元の姿で貴方に会いたかった……!

プリズムパウダー持ってるんかい!

さっきのダルヴィーユがカギと一緒に渡したのかな。

ルクシアル 珍しいオークだっただろう。人間さまの言葉を、いったいどこで覚えたのか……。

ば、バレテナイ!