心配ありません。急所は外れているようです。
回復魔法かけたのかな。
施療所に搬送できるか?
いえ、それは危険です。トンベリは、毒を使ったようです。解毒処置をして、しばらく安静にしてからでないと……。
……あの、隊長。ファイブムーンズは?
……彼は脱走した。
えぇ!?
な!?
……あのバカ野郎!!!じゃあ、ここで誣告罪が晴れても……。
ああ、そうだ。いま、ザイドが必死に捜索にあたっているが、まだ手がかりすらない。
ファイブムーンズ……。あのガルカの若者の話だね?
彼のおかげで、私はペイルイーグル君と和解できた。なんとか彼の罪が軽くなるよう、私からも働きかけてみよう。
ありがたいお言葉です。
ならば、なおさら憲兵より先に彼の身柄を確保しなければ……。どんな罪を追加で着せられるか、わかったものではない。
グロウベルグ……そうだ、グロウベルグかもしれない!
なに?
あの山に、ガルカ族がアンティカの乱の犠牲となった祖先を祀っている場所があります。ガルカの成人は大事をなさんとする時、必ずそこで祖霊に報告するのだ、とファイブムーンズが言っていたのを思い出したんです。
……なるほど。確かめてみる価値はありそうだ。
フォルカー、ここは私とニコラウスに任せて、すぐにグロウベルグへ!
ハッ!
りぃ、 君も一緒に来てくれ!
うん。
あら、ウェライとグンパ。
……残念だが私はその計画に賛同できん。われらが血を流すべき相手は、ヒュームではない。
老いられましたな、ウェライ。あなたを尊敬していましたが、そのような事なかれ主義では、世の中は変えられません。いま、時代を作るのは大義のために命を捨てられる者たちなのです。そう、あの「黒鉄の旋風」のように!
諸君、準備はいいか!?
おーっ!
待て、ファイブムーンズ!
フォルカー!?なぜ、ここが……。
ペイルイーグル氏の嫌疑が晴れるぞ。カルスト閣下が、尽力してくださるそうだ。
なに?罷免を要求していた、あのカルストがか?
ああ、お前に説教されたのが、相当効いたようだ。
俺の言葉が……。
やり方はともあれ、行動するって大事ね。
あとは、お前だ。とりあえず、銃士隊本部に戻ろう。なに、隊長がなんとかしてくれるさ。
首を横に振った。
……フォルカー。ペイルイーグル閣下の件は大きな事件の中のひとつにすぎない。政府も軍も銃士も、なにも変わっちゃあいない。
われわれはもう止まることはない……できないんだ。すでに、新しい旋風は吹き始めているのだから!
諸君、行くぞ!
ファイブムーンズ……!
くそっ!俺はどうすれば……。
……フォルカー君。彼らは密かに街に戻った後、虚をついて、国や軍の主要施設を封鎖し、一気に政権を奪取するつもりだ。
えぇ!?
そんなこと実行できるほど仲間がいるの?
なに!?
……だが、なぜ、その計画を私に?
ガルカ族とヒューム族。もし、どちらか一方の血が内乱で流れれば、国家百年の禍根となろう。頼む。首府に戻り、彼の計画を止めてくれ。
何かあったときのために、これを持っていくといい。
わかった。あなた方の協力、感謝する。
りぃ、急ごう!
うん。
若さゆえの過ちは元気があって良いけれど、大変なことになる前に大人が止めてやらないとね。
イカロスウィングを手にいれた!