ところで、呪術の杖って言ってたけど、聞き覚えがあるなぁ。と思ったら、なぜかもう持ってたのよね。
というわけで、即解決だ!
あァ!これはァ!あのオークを倒してくれたのは君なのォ!?…ってことは、ボクの悩みも解決ゥ!?
解決したことに気づいてなかったほど大したことない呪いだったんかい!?
だけど、もいちど言っとくけど!ボクは帰ることはできないヨ。だって、ボクはここで、サンドリアからの援軍を待ってる身なんだってば!
ボクがいなくなったら、サンドリアの人は困っちゃうヨ!魔法学校のモレノトエノに、そう言っておいてヨ。
わかったよ。でも先生たち困ってたよ。なんでいなくなっちゃったのよ。
…え?なんでボクが耳の院から逃げ出したかって?そりゃ、とってもいいにくいんだけど…。
きっと言わないと、無理やり連れ戻されちゃうんだろうなァ…。…うーん。モレノトエノ以外には内緒だよ。
うん。
君も知ってるかもしれないけどコルモル博士って、モジジちゃんって子と手紙のやりとりしてるのヨ。だけど、あれ実はボクなんだよネ…。
なんたる。
コルモルがとってもデレデレになってるあの文通相手の女の子よね。
男だったんかい!
コルモル校長が耳の院の予算を何年分も使い込んで、どうしても返してくれないからさァ、モジジちゃんを名乗ってファンレター書いてみたのヨ。
どこからつっこめばいいの。
その効き目は、もうそりゃすごくて、手紙を出すたびにちょっとずつ返してくれるようになったんだけどさァ、なんとなくウソをついてるのが心苦しくなっちゃってさァ。
え…?
コルモル、モジジちゃんに貢いでるってこと…?
いつの間にか、コルモル博士を見かけると、おなかが痛くなるようになっちゃったんだヨ。こりゃ、深刻な職業病というわけだネ。
あぁ…。なるほど…。
そういうわけで、ちょっとだけ耳の院を抜け出して、静養旅行に出たのはいいんだけど、ここでこういうことになっちゃったってワケ。
え、まさか、サンドリアの援軍3年近く来てないの?
封印してくれてるの幸いに、戦力削ぎたくないから放置してるんだな!?
なんてこったい!!
まぁ、もう戻りたくなかったから見つからないのを良いことに黙ってたんだけどサ。
真面目なんだか不真面目なんだか分からない人だな!
サ、これだけ喋ればいいダロ?君は、耳の院に帰りなヨ。
とりあえずそう報告するけどさ、ずっとここにいるつもりなの?
サンドリアから援軍が来たら、ちゃんと帰るヨ。博士もそろそろモジジちゃんのことを忘れてるだろ?
ううん。セーダルゴジャルが書いてるんでしょう?
ここならコルモルを見かけることもないし、予算返してもらうために。
え?手紙はまだ来てる?なんでだろ。ボクはもう書いてないのに。
書いてないの?え、なんでだろう?
うーん、考えても分からないから、とりあえず耳の院に報告するかぁ。
おお!セーダルゴジャル氏を発見したというのですか!?
うん。かくかくしかじかといういきさつで…。
…そうですか…。そういう理由で、セーダルゴジャル氏は耳の院の院長の座を投げ出して逃げたというわけですか。
もちろん、納得はいきませんよ!けれども反省の色はあるようですし、今の場所から動けないのならば仕方ないといえば仕方ありません。
サンドリアのせいにしないところに、タルタルのおおらかさが出てるなぁ。
では、その魔法人形を返してください。
はい。セーダルゴジャルが止めちゃったけど。
そういえば、みつけるくん、最初違う場所に案内したんだけど、どうしてかな。
…え?この魔法人形が一度だけ誤作動をしたっていうんですか?
うん。
おかしいですね。あなたに渡す前に、きちんとテストはしたのです。考えられるとしたら、指輪よりも強い星月の力があって、それに反応したのでしょうか…。
指輪よりも強い星月の力?
黒き使者が?
星月の力って、初代神子さまが満月の泉で得た力よね。
神子さまとか、院長の指輪とかにしか無い力よね。
何故?
最後にモジジちゃんの件ですが…モジジちゃんの手紙がこなくなり、コルモル博士は見るも無残なほどに落胆し、その顔色やナスビ色になった時期がありました。
な、ナスビ色…!!
コルモルぅ!
そのとき、奇しくも我々もセーダルゴジャル氏と同じことを考えたと説明するにとどめましょう…。
あ、なるほど…。
コルモルを立ち直らせるためと、予算回収のための2つの目的で、かな?
今のモジジちゃんは、モレノトエノだったのね。
というか、我々って言ってるからここの先生3人グルだな…!
コルモルぅ!