タコが出てきたのであった。
あれ、これイカだったっけ?
あの化け物を倒してくれたのか!いらぬ手間をかけさせてしまったようだな、りぃ。
スカリーZの獲物だったの?
ここで鉱石探しをしていると、どこからともなく、あの化け物が現れてな。手合わせしたものの、逃がしてしまった。
どうもあの化け物には生理的な嫌悪感が先立ってしまう。おまえが倒してくれて助かったよ……
タコ苦手だったんだ。
……ん?もう鉱石は必要ないのか?そうか、私を呼び戻しにきたのだな?
うん。
いよいよ、男神の意志を継ぐという「世界の終わりに来る者」と戦うときがきたか。
男神のことは、私たちミスラの伝説には現れぬ。怖れなきミスラが敵の名を残さぬは、それほどに忌むべき相手だということか?それとも……
それとも…とても敵う相手ではないから、知らない方がいい。ってこと?
あらまァ!なんだか弱気な匂いがするわ!
姉さんらしくないよ!ボク、あれから猛特訓したし、ボクたち3人なら男神なんかに負けはしない!
スカリーY、スカリーX。
駄目だ。おまえたちの同行は許さん。
えぇっ!?
なんだって!?
私たちは、それぞれ3つの目的をもってこの地へ渡った。
世界を滅ぼす真龍討伐、虚ろなる闇を滅する力を持つ眠れる神々、その覚醒手段を知るミルドリオン……しかし、私たちはこの旅を通して知った。
それらはすべて「世界の終わりに来る者」に連なるもの、それは「男神プロマシア」という存在が引き起こした罪なのだと。
男神の罪。
……男神プロマシア。人、そして世界に争いの呪いをかけた神。争いというものが、戦うことだというのならば、私たちは誰よりもその意味を知っているはずだ。
私たちが戦う理由。それは、信頼、正義、勇気、希望……「人が人であるために必要なもの」のため……
人であるために必要なものを得るための、呪い?
それは……
……じゃあ、もしかして……
男神プロマシアの罪は、私たち人が在ることへの罪なのかもしれぬ。もしもそうならば、罪を狩ること自体もまた。
プロマシアの呪いから解放されたら、トンベリみたいになっちゃうから。
人間であるためには、プロマシアの呪いが必要。
ミスラの言うプロマシアの罪は、人間が人間であることを保つための呪いにしてしまったこと?
その罪を狩ったら、人間を否定してしまうことに?
私は、それを確かめてくる。彼らと共にある間、永く苦悩した私ならば、その罪を突きつけられた後にも耐えられるだろう。
いいか、おまえたちは私の苦悩を引き継ぐことは許さん。おまえたちの役目は、我らが本国を守ること。決して忘れてはならない。
その手立てを探り続けよ。眠れる神々のこと、真龍たちのこと、頼んだぞ。
長女だなぁ。
……。
姉貴は……昔っからそうなんだから……。オイシイとこ取りするのよネエ……。
……姉さん!なにもきかないから、戻ってきてよ……!姉さんを越える罪狩りになるまで、姉さんはボクの目標なんだから……!
……ああ、わかった。
約束したからね。
絶対に戻ってこないとね。
さて、りぃ。おまえにはひとつ、覚えておいてほしいことがある。
うん?
私の本当の名は、マグ。
えっ!?
私が罪狩りとしてではなく、ただのミスラとして死んだときのために覚えておいてくれ。
罪狩りのミスラが本名明かすなんて、死を覚悟したとか相当によっぽどの時じゃないの!?
でも、私のことをそこまで信用してくれたって事か…。
一足先に、シドのところへ戻っているぞ。