偽ヴランスはここらしい。
えっ、トンベリ!?
余裕だけど、さすがに少し敵が強くなってきたなぁ。
ん?おまえは、あの時の冒険者だな?どうした、何故、ここを知っている?
む?
もしや、おまえが彼からの伝言を預かったのか?緊急の用だと聞いたが……。
あっ、本物。
……ん?私を呼びにきたのだと?
いや、偽物の方なんだけどね。
ちょっと待て。それは私ではなく、彼のこと……
バラしていいの!?
ルーヴランスさま!ここは罠でございます!
かの伯爵様が、ここでルーヴランスさまの息の根を止めようと張った罠でございます!
なに?
かの伯爵?
今ギルド桟橋を管理してるテュロム伯爵?
でもそれなら「かの」とか言うかな?
トンベリ使いが、凶暴なトンベリどもを放ったと聞きました。敷地内に賊が入ったという名目でございます。
その賊は、色鮮やかなブリガンダインとマスクを身に着けたエルヴァーンの男だとか……
偽ヴランスだな?
……。
そうか、やはり賊は賊。名を盗むだけでは物足りなくなったか。
ルーヴランスさま?
つまり…。
あのトンベリは偽ヴランスがルーヴランスを殺すための罠だった、と。
完全にルーヴランスに成り代わるために。
育ちの良さはひしひしと感じるし、真の目的が何かは分からないけど今はバハムートと対峙しようと協力してる。けど……結局極悪非道な盗賊団首領ってことなのね。
…ん?
ギルド桟橋にトンベリ。
まさか、20年前にタブナジア侯国の騎士団長を暗殺するためにトンベリを使ったのも偽ヴランス?
今の情報だけだと偽ヴランス主導なのか雇い主がいたのか分からないけど、ここでトンベリが出てきてたってことは関係がありそうね。
奴に会ったら伝えろ!騎士を名乗るつもりならば、騎士として誇りある戦いを挑めと!
さらばだ!
熱血ぅ…。
うーん、
さすがにルーヴランス暗殺はやりすぎ。
ある程度事が済んだら偽ヴランスをやめるんだろうとばかり思ってたけど。
ミスタル家の名前がそんなに便利だったのかな。
……りぃ殿。先ほどは失礼しました。もしや、あなたが私のために放たれたトンベリたちを倒してくださったのではありませんか?
え?
戻ってきた??
なんと気の利くお方だ。この礼はいつか必ずお返しいたします。
偽ヴランスじゃないか!!
え???
もしかして一連のやり取り見てて、辻褄合わせようとしてる?
ところで、シド殿が私のことをお呼びだとか。もう木材を集めずとも良いようですね。
あ、うん。
いよいよ「神都アル・タユ」への旅立ち、「世界の終わりに来る者」との戦いですか。まずはその戦いを終わらせましょう。騎士として歩むのならば、騎士のように正義を成す必要がある。
ルーヴランスが言ったことちゃんと聞いてた。
世界を救う、これ以上の正義はありませんからね……そうでしょう?ルーヴランス・ミスタル?