紐解ける理 其の弐


  
??? : ……おかげでプログラムのシールドをなんとか突破することができたようです。
??? : しかし、だいじょうぶですかな?意識がモウロウとしておられる御様子……。

??? : ……心配ない。私の「慧眼」が目的の記憶を読むとき、その近辺の本人が封じていた記憶も同時に引き出してしまうことがままある。その記憶が起こした一種の記憶退行状態だ……じきに治る。

慧眼ってことは???のひとりはラウバーンね。

あっ、またこの見てるやつ。

あら、ゴルディオスをここに持ってきたのね。

……はっ!!

この見てるやつ、いつもアルザダール海底遺跡群かワラーラ寺院のゴルディオス前で起こってたよね?
犯人はアレキサンダーだったのか!

ラズファード 始めよ。

あら?アフマウの様子がおかしい。
ラウバーンが言ってた記憶退行状態?

アフマウがアヴゼンとメネジンのプログラム動かすの拒否したから、慧眼使って無理矢理やったんだな!?

アヴゼンとメネジンの胸のあたりが光った!

浮いたぁ。

これでゴルディオスが起動してしまう!!

メネジン 『……ほっほぉ~。ついに、この日を迎えたのか。』
ラズファード この声は!?

ラズファード お前のわけがない……か。

ああ、アフマウ…。

メネジン 『誰かは知らぬが、アルザダールを完成させゴルディオスの結び目を断ち切ったわけだ。おめでとう!とりあえず、そう言っておこう。ウルグーム最強の「光の力」を手に入れるんだからね。』

ラズファード 父上……なのか!?

えっ、本当に前聖皇が入ってたの?

アヴゼン 『けれど、アレキサンダーの力は諸刃の剣……』
ラズファード 今度は、ジュブリールか!?

アフマウのお母さんね。

アヴゼン 『その無限の星気……一歩使い道を誤れば、身を滅ぼすことを伝説が、そして遺跡が物語っています。今なら、まだ間にあう。心あるならば、すぐにプログラムを停止させなさい。貴方が賢明な判断を下さんことを……。』
ラズファード ふっ……小賢しい女よ。最後まで小細工をろうしおって……。

ナシュメラ ……。

おおっ?

うわぁ!?

ラズファード

ああっ!?

これが、アレキサンダーの設計図?

ラズファード 見るがよい!これがアレキサンダーの御意思だ。

ラズファード 私は伝説など恐れぬ。運命とは自らの剣で切り拓くものだ!

ん?
アヴゼンとメネジンがビリビリしてガクガクしてる!

ああっ!?

な、なんてこと…!

ナシュメラ …………?

正気に戻った…。

ああ、めちゃくちゃ震えてる…。

ナシュメラ ……ア……アヴ……ゼン?

ナシュメラ メ、メネジン……!?

ナシュメラ い……

ナシュメラ いやああああああああっ……!!

アフマウの心が…死んでしまわないか……ああ………。

トリオン …………。

トリオン よく、話してくれた、りぃ。お前の口から直に聞くと重みが違う。それに宰相の言葉……。残念だが、彼の国との戦は避けられぬようだな。
ウォルフガング 同感です……。

シャントット さてさて、どうやらこれで決まりのようですわね。
フォルカー 我が国の艦隊は、すでに出港準備を終えている。早速、ググリュー洋に展開させ制海権を押さえさせる。よろしいですな?

シャントット オホホ。すでに我が軍は水陸両用カーディアンの先遣隊をワジャーム樹林に潜伏させてありますことよ。
フォルカー なに?それは抜け駆けではないか……。

アヤメ …………。

アヤメ、何か言いたいの我慢してる?

ナジ ま、待ってくれよっ!
フォルカー !!

ナジ オレ、りぃの話を聞いてて思ったんだけどさ。そのルザフってやつは、ラグナロクを望んではいないんじゃないかって……。

な、ナジ…!

アヤメ ナジ!立場をわきまえなさいっ!

ナジ そして、アトルガンの聖皇もルザフと同じ考え……そうなんだろう?りぃ。
りぃ うん。

ナジ だったら、正正堂堂、大国アトルガンとやり合う必要なんてないじゃないか。

ナジ ルザフを秘密裏に救出すれば少なくとも、そのラグナロクって現象は防げる。聖皇を復権させるチャンスだって生まれるかもしれない。

ナジ それにアトルガンで、オレやアヤメ、りぃは見てきたんだ……。あの国で暮らす人の生活、笑顔そして涙を……。

ナジ あの国で生きる人たちだってオレたちと同じ、血の通った人間だ。戦うのは、手を尽くした後でもいいと思うんだ。

アヤメ ナジ……。

立場を気にして言えなかったアヤメだけど、そんなのぶっちぎってナジが言ってくれたね。

シャントット オーホホホホッ。これは、バストゥークの坊やに一本とられましたわね。

シャントット あなた、その作戦……ご自分でできますの?
ナジ え?あ……はい!もちろんですっ!

本当に!?!?

シャントット よござんす!わたくし、その作戦に最新鋭のカーディアンを貸与いたしますわ。
ナジ シャントット卿!

トリオン いいだろう。我が国は歴戦の王立騎士を2名つけよう。きっと、役に立つはずだ。
ウォルフガング でしたら、足には我が国の高速飛空艇をお使いください。腕利きの操舵手もつけますよ。

ナジ トリオン卿、ウォルフガング卿……。

フォルカー …………。……仕方あるまい。プレジデントには私から断っておこう。
ナジ 隊長!それじゃあ……。

フォルカー ただし!りぃが同行することが条件だ。頼まれてくれるな?
りぃ うん。

ってか大丈夫なのナジ!?
絶対作戦とか考えてないでしょ!

こんな重要な任務、アヤメを長にしてナジを副にした方が……。

…重要だけど、失敗する確率の方が高いからその時に備えて準備が必要。
だから各国の優秀な人物を多く割くことはできない。

ナジと、冒険者と、カーディアンと騎士2名なら国の戦力に響かないし試してみるのに異論はない。ってことか。

フォルカー すまない……厄介な任務だがこいつをサポートしてやってくれ。

ナジ あらためてよろしく頼むぜ、りぃ!
りぃ よろしくね。

ウォルフガング 決まりですね。では、私は早速フェリモシエルに高速飛空艇の出港準備を命じておきます。

ウォルフガング さて、みなさま準備もあるでしょう。これにて一時、閉会といたします。……それでは、作戦成功を祈って!

しかしまさかポッと出のナジが世界大戦を阻止することになろうとは!!!
あんた、気づいてないだろうけど英雄だよ。