戦乱の兆し 其の壱

あれ?アブクーバがいない。

アブクーバ ……それで、ドゥザフの指名手配は急きょ……

アブクーバ (ヒソヒソヒソヒソ……ヒソヒソヒソ……ヒソ……ヒソヒソヒソヒソ……。)

いた。

ナジャ・サラヒム ……んなっ……!?!?
アブクーバ ……その、残念ながら懸賞首はもちろん情報買取までも……

アブクーバ (ヒソヒソ……ヒソヒソヒソ……ヒソヒソ……ヒソ……ヒソヒソヒソヒソ……。)

(アブクーバがトゲトゲ装備しちゃってるけど、この後に起こる出来事のためで、非表示にし忘れちゃってるだけだろうから気にしないでおこうな!)

ナジャ・サラヒム !!

ナジャ・サラヒム ……あ、あたいの……

ダンッ!

ナジャ・サラヒム 腹黒な金蛇勲章がもらった御用達な一攫千金で見つけたプロジェクトが聖皇さまなんだよッ!!!!

ん?????

アブクーバ な、ナジャ社長っ!?

ナジャ・サラヒム アハハハハ、世界へ羽ばたく、あたいの翼が……

トゲトゲが!

ナジャ・サラヒム ほら!あたいの……あたいの……アトルガン黄金貨2000枚が飛んでくよ!

フラフラしてるぅ!!

アブクーバ お、お気を確かに……。

なんとか正気に戻ったようだ。

ナジャ・サラヒム ダァ~ッ!

トゲトゲ振り回すー!

ナジャ・サラヒム だいたい、なんだい!あのスットコドッコイは今の今までなにをしてるんだい、なにをッ!

まさか私のことじゃないですよね…?

ナジャ・サラヒム あたいの推理が当たってたにせよ、外れてたにせよ、すぐに連絡をよこすのが社員のスジってもんだろ?

アブクーバ お、おっしゃるとおりです~。

アブクーバ (ああ……。僕にお鉢がまわる前に早くこの場から立ち去りたいですー。ふひー!)

ナジャ・サラヒム ったく、いまいましいったら……!

まだ振り回してるぅ。

アブクーバ

ナジャ・サラヒム ありゃしないネェ!!!

トゲトゲがすっぽ抜けた!

アブクーバ あぁっ!

アブクーバ 危ない!

アブクーバ!!

取れんのかーーーーい!!!

ドゴオオオオオン!!

りぃ あっふ…。
アブクーバ りぃさん!?

アブクーバ ああ、そんな……。

アブクーバ しっかり!しっかりしてください……!りぃさ~~~ん……。

おおっ、合体した!
  

ラズファード 900年だ……。

ラズファード 900年もの長きにわたり歴代聖皇は、各地に散らばった鉄巨人の骸をこうして接ぐことを夢見てきた。そのために、失われた魔笛を求め内に外に無益な争いを繰り広げてきた……。
ガッサド 恐れながら、壮大な回り道でしたな。

ひんがしと交戦してるのも、魔笛を探すためだったのか。

ラズファード ああ……。だが、父上は違った。
ガッサド 御意。偉大なるジャルザーン様は、鉄巨人を、そして魔笛を御自分で作ろうと思い立たれました。

ラズファード 「……必ず道はある。もし無ければ作るまで……。」……父上の口癖だった。
ガッサド そしてラズファード様は、その御遺業を立派に引き継がれておられます。

ラズファード 言うな。父はきっかけに過ぎん。私には、私の理想がありやっているだけのことだ。
ガッサド 失礼致しました。

ラズファード ……アレキサンダーはこの巨大な「アルザダールの鉄巨人」のように、あの「機関巨人」を「よりしろ」として選ばれるだろうか?
ガッサド 弱気は禁物ですぞ。アレキサンダー様は、この世でもっとも強きものを愛されると云います。

アルザダールの遺跡使うんじゃなくて、ロボット自体も別に作ったんだ?

ガッサド 計算では、機関巨人はアルザダールの鉄巨人を数倍上まわる絶大な火力を発揮できる筈なのです。

えっ、すごい。

どこにも目立ったロボット見当たらないから、きっと建物ほどは大きくないよね?

ガッサド それに、私には確信があるのです。アレキサンダー様はご降臨の日を待ちわびておられる……。私は、その御意志に従ったに過ぎぬ、と。
ラズファード そうだな……。

ラズファードは力が欲しいため、ガッサドは力を試したいがために見境が無くなってる感じかね…。

ラズファード だが、我々が感傷に浸る暇などない。ゴルディオスを紐解くまでは。

ガッサド はい。……それにしても皮肉なものです。まさか私の設計したオートマトンに、彼女がそのような小細工を施していたとは……。
ラズファード 無理もない。ナシュメラの母ジュブリールは、変わっていたが頭の切れる女だった。

ガッサド そうでしたな……。

ガッサド 私が還俗させて弟子にする前は、難解なワラーラ文書の読破で知られた学僧でした。

ガッサドが寺院から引き抜いたの。

ラズファード 幼き頃、あの女の余興につきあい私も人形操作の手ほどきを受けたが……。

ラズファード 彼女が取り付けた行動パターンを覚えさせる装置のおかげで初心者の私にも、まるで生きているようにメネジンを動かすことができた。
ガッサド プログラミングですな。あれを見たときは正直、私も舌を巻きました。

ラズファード 彼女がそのとき、何気なく語った言葉に真実が隠されていたとはな……。

ラズファード 「すべてはゴルディオスの賜物」か……。

アフマウのお母さん、ゴルディオス解読したの!?

ラズファード ナシュメラは?
アミナフ いまだ、寝室に引き篭もられたままでございます……。

ラズファード 困ったやつだ。
アミナフ いかがいたしますか?

ラズファード ナシュメラに伝えろ。おとなしく協力し、人形のプログラムを開放するならばルザフの処遇、考えてやってもよい。

ラズファード 開放せぬならば、メネジンとアヴゼンをばらしガッサドに解析させるしかない、とな。
アミナフ 御意。

ラウバーン この間のような失態なきよう、監視を怠るな。
アミナフ ははっ。

この前の失態って、リシュフィーがアフマウを連れて行ったときのことかな。

ガッサド ……ルザフの件、まことですかな?
ラズファード フッ、まさか。

うわぁ。

ラズファード だが、機関巨人が完成に近づいたとき、やつもまた蘇った。……偶然ではあるまい。
ガッサド 神々の御意志が介在していると……?

ラズファード あるいは……な。

ラズファード だから、巨人との因果関係がはっきりするまでやつは生かしておくつもりだ。
ガッサド しかし、それでは……。

ラズファード 安心しろ。冥界の連中が望む最終決戦ラグナロクとやらは起こさせぬ。審判の日の鍵は、すべて我が手中にあるのだ。

ルザフを閉じ込めておいて、アレキサンダーに会わせなければラグナロクは起きない。のかな?

ラズファード 私は御してみせる。それが神であろうとな……。

前聖皇が、後継者にラズファードじゃなくてアフマウを選んだのは、ラズファードに魔物の血が入ったって理由だけじゃないんじゃないかなぁ。