……。心配になってきたッペ……。
どうしたの?
あっ、あのときの冒険者の人!よく来てくれたッペ!
あれから、おいらはあの音叉を完成させて、あの罪狩りのミスラに渡したッペ。罪狩りのミスラはあれを持って、どっかに行っちゃったッペ。それでそのまま、帰ってこないッペ……。
む、どうしたんだろう。
もちろん、あの音叉は実験なんかしてないッペ。もしかしたら、あのミスラ、クリスタルの中から出られなくなっちゃったかもしれないッペ。あな恐ろしやだッペ。
うーむ、閉じ込められたら鎌ではどうにもならないだろうしなぁ。
ほっときたいところなんだけど、そうもいかないから、イルディゴルディさんに頼んだッペ。知ってるッペ?イルディゴルディさんは、鼻の院でいちばん強い人だッペ!頼りになる冒険者ッペ!
召喚AFで出てきた、夢想阿修羅拳を撃つタルタルだね。
あの人なら、罪狩りのミスラの乱暴にも、きっと太刀打ちできるッペ!
それに……同じ仮面仲間どうし、もしかしたら、なんとなく通じ合うものがあるかもしれないッペ!
そういう…ものなのか!?
仮面がなんだって?
あっ、イルディゴルディさん!罪狩りのミスラは見つかりました!?
それが妙なんだ。おまえの言う、闇の仮面をつけた罪狩りのミスラの目撃者はいたんだが……
それは、ボスディン氷河にいる鼻の院の冒険者たちでな。そのミスラはザルカバードの方へ向かっていたらしい。
ザルカバード?あっちの方には、巨大なクリスタルはないはずッペ。フェ・インと間違えたッペ?
……。そういえば、オレがまだ学生だった頃、イルクイル氏の論文を読んだことがある。
ミスラたちの間ではザルカバードの北に、闇のクリスタルがあるって言われているって。
ミスラは知っていた?
イルクイル氏は、カザムのミスラたちと親しかった。カザムのミスラに尋ねてみる必要があるかもしれないな。
そういえば、あの罪狩りのミスラはカザムから来たみたいだったッペ。
本国からカザムに来て、ロンタオンタを締め上げてここに来たんだね…。
よし。そこの冒険者、俺と一緒にカザムへ来てくれ。カザムの族長に尋ねれば、なにかわかることだろう。
うん。
って、私も?
気をつけるッペよ。南の大陸は、イルクイル氏が呪われて死んでしまった地だッペ。イルクイル氏は30年前、鼻の院の研究者だった人だッペ。合同調査隊の隊員だッペよ。
うん。ありがと。
ええ?罪狩りのミスラを探しているだって?
うん。
でもねえ罪狩りのミスラって言われてもね、今、おまえたちのいる大陸には、何人かの罪狩りが渡っているんだよ。
スカリーMと、XYZと…他にもいるのかな。
なんでかって、あたしたちの祖国では、大変なことが起きているのさ。
大変なの?
獣人との戦いも熾烈を極めているってのに、伝説の「虚ろなる闇」が現れるなんて……。
ああ、虚ろなる闇か…。
テンゼンが、ひんがしの国だけでなく西国、南国もって言ってたな。
まぁ、今のおまえには関係ない話かもね。
いえ、むっちゃ渦中も渦中のど真ん中です…。
それで?おまえが探してるのは、龍関係?それとも歌関係?神々関係?
え、そんなに?えっと、仮面の…。
なんか、核心を突くのばかりじゃないですか!
ミスラは何をどこまで知ってるのか?
黒い仮面のミスラ?ああ、スカリーYのことだね。よりにもよって、あの人と関係しちゃうとはねぇ。
罪狩りのミスラの中でもヤバい人なんだ。きっとそうだ。
ジャコ族長。あの罪狩りのミスラは、未完成の音叉を持って、ザルカバードの方へ行ったんだ。オレたちは彼女を探している。ミスラたちの伝説には、ザルカバードに「闇のクリスタル」があるというが、それはどこにあるんだ?
イルディゴルディ、そんなのあたしが知るわけないだろ?
2人は知り合いなんだ?
名乗らずとも名前知ってるね。
あたしは、新米の族長だからね。そういうのは、前の族長に聞きなよ。
ロマー・ミーゴか。オレたちタルタルは、いや、鼻の院は、ロマー・ミーゴには特に嫌われてる。
そうなんだ?
30年前の合同調査隊の件。ここカザムに悲劇がもたらされたのは、鼻の院のイルクイル氏が、ヨー・ラブンタを冒険者として雇ったからだと……。
ああ、なるほど。
それを言ったら、あたしだって同じことさ。彼女の娘ナナー・ミーゴの件がある。
名字からナナー・ミーゴの親がロマー・ミーゴってのは気づいてたけど…因縁が?
けれどロマー・ミーゴは、あたしの強さを認めて族長にしてくれた。あの人は、自分の感情で意地の悪いことはしないよ。
娘だからという理由だけで族長にはしなかった。ってこと?
ナナー・ミーゴがカザムの族長になる可能性があった…!?
そうなったらどうなるんだ!?
カザムにいる頃は泥棒とかせずに真面目にやってたのかしら。
…でも、あの性格は変わらなさそうな気もする。
それに、おまえたちは罪狩りのミスラを心配してくれてるんだろ?そのことを正直に言えば、力を貸してくれるさ。年を取って、まるくなったはずだしさ。
……わかった。ロマー・ミーゴのところへ行ってみよう。