はあ?ばあちゃんからヤシンの形見の剣を届けるように言われた?
うん。これどうぞ。
まったく…人を門番門番っていっつもバカにして…。どうせこんな剣、たいしたものじゃないだろうに…。
うーん、おばあちゃんなりに心配してるんだよ。たぶん。
どうした、ナジ?
あ、アイアンイーター先輩。実はですね…。
ふむ…。おまえの父君…ヤシン殿の形見という訳か。もしかするとあの時の品かもしれんな。
へ?親父に会ったことあるんすか。
ああ、あれは30年以上昔、まだ私が子供だったころの話だ…。
ラオグリム様、お帰りなさい!今回はオークをやっつけたんですよね。
パグダコか。別にオークを征伐に行った訳ではない。奴らの調査が目的だ。
アイアンイーター先輩の本名、パグダコっていうのね。
ま、雇われ者の俺にとっちゃどっちでも同じだ。なかなかいい剣の材料も見つかって、いい遠征にはなったがな。
この時手に入れたのが片手剣のグリップ材だったのね。
それになんだか変わった連中にも会えたしな。なかなかのかわい子ちゃんだったな、あのモンクのいさましいお嬢ちゃん…。
モンクのいさましいお嬢ちゃん…って、コーネリアかなぁ。
ってか、かわい子ちゃんって!
時代!時代を感じる言い回し!!
…銃士の立場としても、個人としても、盗人のような行為には感心はしないが、おまえの腕前には助けてもらった。冒険者にしておくのは惜しい腕前だ。
よせやい、俺なんて銃士様になったところで門番させられるのが関の山だ。
門番!!
ナジ!!お父さんがここで超でっかいフラグ立ててんよ!!!
変わった男だ…。手に入れたその品を使って、知り合いの鍛冶屋に剣を仕立てさせよう。それが今回の報酬でいいだろう?
ああ、よろしく頼むぜ、銃士様。
ん?知り合いの鍛冶屋って、もしかしておばあちゃんのボーイフレンドの?
1日で剣を修理する速さだったのは、自分が仕立てた剣だったから。なのかな。
僕も将来ラオグリム様みたいな立派な銃士になるんだ!
銃士は、ただ外に出て戦うだけが仕事ではないぞ、パグダコ。内なる敵と戦わねばならぬこともある。それでも我慢できるのなら、信じる道を行くが良い。
これから起こる出来事を考えると、深いセリフだ…。
おそらくその剣は、その時のものだろう。ミスリル銃士であり、ガルカの語り部、ラオグリム様ゆかりの品でもある。大切に使うんだな。
へえ…あの親父がそんな偉い方と知り合いだったなんてな。それに先輩、そんな名前だったんすね。ハクダク…あれ、何でしたっけ?
おバカ…。
…。おまえの呼びやすいように呼べ。私は別に何と呼ばれるかに興味はない。自分自身がどうあるかだけだ。
今はアイアンイーターを名乗ってるわけだしね。
先輩にも色々あるんだろうなぁ。
ま、もってきてくれた剣は、ありがたく使わせてもらうとするさ。
お、よかった。おばあちゃん喜ぶよ。
おまえには代わりにこれをやろう。お下がりではあるが、なかなか使える品だぞ。
くっ…高給取りの大盤振る舞いとはいかなかったかっ!
ありがとっ。
レイザーアクスを手にいれた!