キモいから名前で呼ぶな

イルキワラキ うん、完璧な作戦だ!

イルキワラキ おや、キミかい。また、いいタイミングで来たね。

作戦?

イルキワラキ あれからどうやってアイツを連れ戻しにいこうか考えてたんだよ。話し合いで解決すればそれでいいんだけど、向こうはボクのことを当然知っているだろうから、ボクを見た瞬間に逃げちゃうかもしれないんだよね。

戻りたがってる感じも無かったから、そうかも。

イルキワラキ せっかく居場所を突き止めたのに、ここで逃げられたら元も子もないから、確実に連れ戻せるように完璧な作戦を練ってたんだ。

イルキワラキ ……で、だね。その作戦にはキミの協力が必須なんだよ。もちろん、協力してくれるよね?
りぃ うん。

イルキワラキ よし、決まりだ!じゃあ、まずは準備をしないとね。

イルキワラキ さっそくだけどキミには昏睡薬とチャイを用意してほしいんだ。用意ができたら、ボクに渡してね。ボクもその間にいろいろと必要なものを揃えておくよ。

チャイと昏睡薬?

イルキワラキ 作戦は、用意ができてから説明するよ。それじゃ、よろしくね!

りぃ 持ってきたよ。
イルキワラキ 用意してきてくれたんだね。ありがとう!こっちも準備万端だよ!

イルキワラキ ところで確認なんだけど……キミは犯人と顔見知りなんだよね?
りぃ うん。

イルキワラキ だったら、なんとかして犯人をお茶に誘ってほしいんだ。
りぃ お茶に?

イルキワラキ 犯人はおそらく、ボクのオートマトンを常に目の届くところに置いてると思うんだ。そうなると、なかなか奪い返すタイミングがないだろ?そこでこの際、一服盛って眠らせて、その隙にオートマトンを奪い返そうって考えさ!

だから昏睡薬。
上手く行くかしら…。

イルキワラキ じゃあ、犯人を連れ出す役目は任せたよ。顔が割れてるボクにはできない役目だからね。

イルキワラキ ボクはナシュモの港に茶屋を作っておくよ。わざわざこの作戦のために大道具を準備しておいたんだ。取り寄せるのに一苦労したよ。

茶屋を作る!?
大道具ってことは、出店みたいな?

イルキワラキ よし、それじゃあ作戦スタートだ!うまく犯人を誘い出してね!

Dnegan なんだい、またあんたか。今日も、あのからくり士を探してるのかい?
りぃ うん。

Dnegan そいつならその道を……って、ちょうどおいでなすったみたいだな。

ヤファーブ 貴方は先日の……私に何かご用でしょうか?

選択肢だ。

何か用?
 オートマトンの話が聞きたい
 ナシュモを案内してほしい
 お茶でも飲みませんか?

いきなりお茶に誘うのもなんだか変だし、オートマトンの話…って言って警戒されたらいけないし。ナシュモに不慣れな感じで案内頼んでみようかな。

りぃ ナシュモを案内してほしいの。
ヤファーブ ええ、構いませんよ。先日のお礼も兼ねて、ご案内いたしましょう。

やった。

ヤファーブ ほほう、港を見たいのですか。はて、ナシュモに来る人は、たいてい港から入ってくるものですが……。
オートマトン イイからとっとと行こうぜ。暇なんだろ?

ヤファーブ ここが港です。ほとんど何もない……って、あれ?

ヤファーブ 何かありますね。何でしょうか、あれは……。
イルキワラキ へい、らっしぇーえい。

あからさまに不自然!!!

ヤファーブ ……なんだかあやしげな店ですね。

イルキワラキ 注文はお決まりですかぃ?ウチはチャイが自慢の店!オススメしますぜぃ!

選択肢が。

何を注文する?
 チャイ
 コーヒー
 自分は遠慮しておく

チャイひとつしか用意しなかったから、足りなくなったら大変。

りぃ コーヒーください。
イルキワラキ あいよっ!今日はいい豆を仕入れてあるよ!お連れさんはお決まりかい?

ヤファーブ じゃあ私も同じものを。

何ィ!

イルキワラキ いやいやいや。お客さん、ウチはチャイが自慢の店だよ?頼んでったらどうよ?

ヤファーブ いや、私はコーヒー党なんで……

計画ミスやんか!

イルキワラキ あっ!すみませんねお客さん!どうも豆をきらしてたみたいで!
ヤファーブ えっ、さっきは……

イルキワラキ しょうがないね!じゃあ、このチャイはサービスだ!まぁ、飲んでいってよ!

イルキワラキ ふんふ~ん♪おいし~い~チャイの~作り~方~♪まずは~ミ……はい、できあがり!

ミ?
なんなの。

ヤファーブ 「まずは」の続きはなんだったんですか?
イルキワラキ 企業秘密です。

ヤファーブ …………。
イルキワラキ さて、どうぞごゆっく……あれ?

イルキワラキ (……どっちが犯人用だっけ……?)

ええ!?

ヤファーブ どうかしましたか?
イルキワラキ いえ、冷めないうちにどうぞ!

イルキワラキ (……あとはキミの運に任せたぞ!りぃ!)

そんなバカな!!

右のチャイからは怪しげな湯気が立ち込めている。
左のチャイからは怪しげな臭気が立ち込めている。

ひいぃ!どっちも怪しげ!嫌だ!!

せめて臭くない方を選ぼう…。

りぃ み、右の方で。
ヤファーブ う~ん。チャイも意外といけますね。

ヤファーブ ああ、そうだ。先日は沼地の化け物を倒していただいてありがとうございました。
りぃ いえいえ。

オートマトン オイオイ。別にオマエのためにやってくれたわけじゃねぇだろ。ネエちゃん、アンタあんなところで何してたんだい?
ヤファーブ そういえば、あんなところに用があるだなんて、珍しいですね。

ヤファーブ それに、私を訪ねてくるというのも珍しい。今日は何か特別な用でも?
オートマトン ……フン。おおかた、用があるのはオレの方だろう。

オートマトン なあ。イルキワラキ。
イルキワラキ !!

バレてるやん!

ヤファーブ なっ!?うっ………!

ヤファーブ むにゃむにゃ……

鮮やかに昏睡した。
だがよく見ると目が開いている。

こわい…。

イルキワラキ 気づいていたのか……。さすがだね。会いたかったよ……エリザベス!

エリザベスとな。

エリザベス キモいから名前で呼ぶな。

辛辣!!

イルキワラキ …………。

イルキワラキ さぁ、迎えに来たよ。一緒に帰ろう。
エリザベス …………。

エリザベス イヤだね!
イルキワラキ あっ!

走って行っちゃった。

イルキワラキ まったく照れちゃってなぁ。エリーかわいいよかわいいよエリー……。

えぇ…。

イルキワラキ さて、犯人が起きないうちに、エリザベスを探しにいこうか。
ヤファーブ ん、んん~~。

イルキワラキ うっ、もう起きたのか!

レジったのか。

ヤファーブ あっ!貴方は……っ!イルキワラキさん!ああっ、ついにお会いできた!
イルキワラキ

ヤファーブ オートマトンを盗んだことは謝ります!ですから、どうか助けてください!
イルキワラキ ??

ヤファーブ もう、あのオートマトンの横暴には耐えられません!どうか、早く引き取ってください!何度もお返しに行こうとしたのですが、そのたびにオートマトンに力ずくで止められて……うう……。
イルキワラキ はぁ……。

イルキワラキ しかし、なんだってボクのオートマトンを盗んだりなんかしたんだい?
ヤファーブ 話すと長くなるのですが……。

ヤファーブ 半年前のことです。私はアルザビで道具屋を営んでいたのですが、その日は雨が強く、人通りも少なかったためアイテムがあまり売れなかったのです。

ヤファーブ そんなとき、小さなミスラの子が私の店に買い物に来たのです。そして、その子はこう言いました。「おーとまとん、売ってますか?」と……。

ヤファーブ もちろん、道具屋にオートマトンなどは置いていませんでした。ですが、雨の中わざわざ買い物に来てくれたその子をむげに扱いたくもなかったので、私は……。

ヤファーブ ……というわけで、ついにドラゴンを倒した私は、その子の元へ急いで帰りました。あの子の、からくり士になりたいという願いを叶える時がきたのです。

ヤファーブ しかし、まさかあのような悲劇が待ち受けているとは……。

ヤファーブ その悲劇とは……。
イルキワラキ 本当に長いね。

りぃ ( ˘ω˘)スヤァ

ヤファーブ 今、3分の1くらいでしょうか。続けてもよろしいですか?
イルキワラキ ……ボクらはオートマトンを探しにいきたいんで、このへんでいいかな?

ヤファーブ では、とうとうあの非情で凶悪なオートマトンを連れて帰ってくれるのですね!?
イルキワラキ もとよりそのつもりで来たしね。でも、どこへ行ったんだろう……。

ヤファーブ ここからは船にでも乗らない限りは、カダーバの浮沼にしか行けません。私もお手伝いしましょう!
イルキワラキ うん、お願いするよ。キミの無駄話を聞いてたせいで遅れちゃったしね。

ヤファーブ 無駄話!?

イルキワラキ りぃもあと少しだけ付き合ってくれるかな。
りぃ ん?おはよう。

イルキワラキ さて、それじゃあ行きますか!

こんな所まで来てるんかい。
めっちゃ危険…。

隠れてる。
けど見えてる。

イルキワラキ やっと見つけたよ。さぁ、一緒に帰ろう。
エリザベス イヤだね。

エリザベス せっかく、なんでも言うことを聞く下僕を手に入れたんだし、こっちで楽に暮らしてた方がイイね。

イルキワラキ 何を言ってるんだ。また一緒にからくり芸をしよう!オマエの芸を楽しみにしてる人がたくさんいるんだぞ?
エリザベス ああ、そうだな。けど、それはオレの芸を楽しみにしてるんであって、オマエの芸を楽しみにしてるんじゃない。

エリザベス オマエはいつも隣に立っているだけだ。最近じゃストリンガーすら触ってないようなオマエに、いったい何の意味がある?
イルキワラキ それは……。

エリザベス オレは1人でもやっていける。だから心配せずにとっとと帰りな。

そういえば、名前はエリザベスだけど一人称はオレなのね。

イルキワラキ 待って!そう言ってソロ活動を始めて、売れなかった芸人をボクはたくさん見ている!
エリザベス オレだって、「これ相方いる必要まったくないよな」って芸人をたくさん見てきたぜ。

他にも自分の意志で自由に動くオートマトンがたくさんいるの?
からくり士、よく分からん。

イルキワラキ う……。
エリザベス とにかく、オレに帰る気はない。まだしばらくは、ここでやっかいになるつもりだ。

イルキワラキ そ、そんな……。
ヤファーブ そ、そんな……。

おっさんもかい。

イルキワラキ ……わかったよ。
ヤファーブ えっ!?

イルキワラキ 今日は帰る。けど、また迎えに来るからね。
ヤファーブ えっ、えっ!?
エリザベス フン、とっとと帰りな。

ヤファーブ イルキワラキさん……。本当に帰ってしまわれるのですか?
イルキワラキ 今日はしょうがないよ。けど、必ず迎えに来る。

ヤファーブ 必ずですよ!絶対に、約束ですよ!
イルキワラキ あ、あぁ……うん。

今後の人生かかってるもんな…。

ヤファーブ そうだ。オートマトンを盗んでしまったお詫びと、必ず来るという約束のために、これを差し上げます。からくり士になりたいと言ったあの子が、最後に私に託したものです……。大事にしてくださいね。
イルキワラキ (あの子って誰だ……?)

あの長い話の続きの最後の出来事なんかな。

イルキワラキ あ、うん。これは、今回ボクを手助けしてくれたりぃに受け取ってもらうよ。

イルキワラキ じゃあ、帰るね……。

イルキワラキ …………。

イルキワラキ エリザベス!必ず迎えに来るからね!!
エリザベス キモいから名前で呼ぶな……。

イルキワラキ、無理矢理連れて行くことをせずにエリザベスの意思を尊重しててえらいなぁ。
マスターとオートマトンじゃなくて、信頼する相棒なんだろうね。

しかし、そんなにエリザベスって名前嫌なのかしら。

パペトリチュリダルを手にいれた!