アヤメとカエデ

白タルの散歩道

なんか、バストゥークのおじさんから奇妙な珊瑚取ってきてって言われてたから取りに来たよ。

りぃ 忘れてたなんて気のせい。

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サクッとな。

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りぃ 取ってきたよ。
エンセツ 奇妙な珊瑚を取ってきていただけましたか! しかし実は困ったことがありまして…。

りぃ え、また?
エンセツ カゲトラはもうその品はノーグに送ったのだから、自分で受け取りに行けと…。

天晶堂を通して何か売っちゃって、やっぱりそれを返してほしいとカゲトラに言ったら、奇妙な珊瑚持ってこいって言われたのよね。

りぃ ノーグに奇妙な珊瑚持っていけば返してもらえるんでしょ?大切なの売っちゃったの自分だし、取りに行くしかないのでは?

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エンセツ 私は故あって、ノーグに行くことはできないのです…。
りぃ え、なんでよ?

エンセツ 大変申し訳ないのですが、ノーグにいるリョウマに、奇妙な珊瑚を届けていただけますでしょうか?お礼は、必ず…。
りぃ (´゚д゚`)

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リョウマ …何?エンセツの野郎から、奇妙な珊瑚を…?
りぃ うん。取ってきたのも持ってきたのも私だけどね。

リョウマ ふん、自分で来ねえとは、相変わらず肝っ玉の小せえ野郎だ。あの面見たらぶっとばしてやるがよ。
りぃ ボッコボコにして根性入れなおしてやってよ。

…ん?
この人のことが怖いから、ノーグに来れないのかしら。

リョウマ まあ、あいつもようやくこの品の意味がわかったってことだな。これでヨミも浮かばれるだろうさ…。
りぃ ヨミさん?

誰だろう。

リョウマ だがな、ひとつだけ言っとくぞ。あのエンセツの野郎のために返してやるんじゃねえ。かわいい2人の姪っ子のためだからな。

姪っ子が2人もいるの?
もしかしてヨミさんがこのリョウマの…呼び捨てしてるところから多分妹で、もう亡くなっちゃってて、エンセツが義理の弟で、姪っ子…誰があの場にいたっけ?

りぃ 義理の弟には腹が立ってるけど、姪っ子にはメロメロなんやな。

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だいじなもの:抜けない短刀を手にいれた!

りぃ これなのね。ありがとっ。
リョウマ …失せな。

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りぃ おんどりゃ。持ってきたで。
エンセツ どうもありがとうございます。一度は生活のために売ってしまったのですが、どうやら娘のために必要になりそうで…。

稼ぎが少ないんかい!

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カエデ おとうちゃん!その刀なに!? やっぱりおねえちゃんのために新しい刀を…。

カエデだ。アヤメの妹の。
この男、アヤメの親だったのかい!

りぃ そうか、アヤメは反面教師であんなに立派になったのね…。

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エンセツ まだおまえはそんなことを言っているのか…!アヤメは私から刀を受け取ったりはしていない。アヤメの刀は自らの手でつかんだものだ。
カエデ だったらどうして!?

エンセツ 仕方がない…。いつかは教えねばならぬと思い、この品を取り戻したのだが…。

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エンセツ これは…おまえの母の形見の品だ。
カエデ え…?
りぃ え…!?

亡き奥さんの形見売ったの!?
子どもに伝えもせず?
馬鹿なの!!?

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カエデ この…抜けない刀が、おかあちゃんの形見?
エンセツ そうだ…。正確に言えば、忍者刀、だ。
カエデ 忍者?

エンセツ 私と、ヨミ…おまえの母は、昔、東方からの文化の伝来する地、ノーグにすんでいた…。

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エンセツ 私はただの海賊船の船員。ヨミは、父から忍の技を受け継いだ、男顔負けの生粋の戦闘員だった。

ノーグの人が「伝説のクノイチがいた」みたいなこと言ってたけど、それがヨミだったのかな。

エンセツ 強い女性だった。だからこそ、私のような平凡な男に、安らぎを求めたのかもしれない。

えぇ…この人は平凡じゃなくてダメ男だと思うけどなぁ。

エンセツ そして彼女は、子供を…、そう、おまえの姉、アヤメをみごもった。そのとき、迷うことなく、私と一緒にノーグを去り、平凡な生活を送ることを決意した。

ヨミ、周りの人全員から反対されてたのでは…。

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エンセツ その時ヨミは、こう言った。決して自分の歩んできた道を否定するつもりはない。自分の人生は忍びの道から外れるのではない。忍びの道の先に新しい何かを見つけただけ。

あっ、アヤメ…!
ここら辺から聞いてますように!
父親が自分の甲斐性無しのせいで生活費に困り、母親の形見を内緒で売っちゃってたとか聞いてませんように!!!

エンセツ 苦しい忍びの道に耐えることのできた私だからこそ、強い母になってみせる…と。もしかすると、その時から自分の体は長くは生きられぬと悟っていたのかもしれない。

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エンセツ それでもこの地で10年近い時を過ごし、自らの命と引き換えに、2人目の子供、おまえを残した。

いやあんた、言い方!
カエデって多分10歳なったかなってないかくらいよね?

りぃ オラこの男に我慢ならなくなってきたぞ。

カエデ そ、それじゃあ…。

エンセツ 本当はおまえたち姉妹に刀を握ってもらいたくはなかった。アヤメがノーグに修行に行くと聞いたときも反対したが、侍の道を選んだときは胸をなでおろした。影に生きる忍びの道を歩んでもらいたくはなかったのだ。

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アヤメ去って行っちゃったけど、やっぱり母親は立派で父親はろくでもないって再確認しただけなんじゃ…。

エンセツ それに…アヤメよりおまえの方が母に似ている。
カエデ あたいが、おかあちゃんに?

エンセツ ああ、だから余計に心配だった。けれど、私は間違っていたのかもしれない。忍者とは、東方の言葉で、忍ぶ者、という意味だ。刀をただ振り回し、耐え忍ぶ心を持たぬものに、忍者刀は抜けぬ。

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エンセツ ヨミは、おまえの母は、そのことを常に心に強く銘じるために、その忍者刀に封をした。そしてきっと、その意味を伝えるためにこの刀を遺した。

りぃ どうしてその刀を売ったし!?

エンセツ おまえの道はおまえが決めろ。それがどのような道でいかに苦しくとも、その刀を遺した母の心を忘れるな…。
カエデ …おかあちゃん!

あ゛あ゛あ゛あ゛!!

テメェが何のお手本にもならない腑抜けだからって、10歳前後の子どもに人生の選択丸投げして突き放してんじゃねえよ!!!!!!一緒に考えていこうくらい言え!

りぃ はっ、いっけなーい☆お口が悪くなっちゃったわん♪

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エンセツ あなたには本当にお世話になりました。これも妻の形見になってしまうのですが、どうぞ、この書を受け取ってください。
りぃ ハァ!?形見はアヤメとカエデにあげなさい!!!

エンセツ カエデに将来必要にならないのか、と?いえ、あの子に必要だったのは母の遺した意志です。忍びの道を選ぶかどうかはあの子次第です。
りぃ ハァ!!

エンセツ それに…きっとあの子もそのうち、ノーグに行きたいと言い出すでしょう。自分の道を、見つけるために。

忍者にジョブチェンジできるようになった!

りぃ 忍者ジョブ取得クエストだったの!?

こっ…あ、もう、あ゛あ゛!!
何言っても言葉が汚くなるだけになりそうだからもう何も言わない。

りぃ 私がこういう男が苦手だということが分かったわ…。

いや、誰でもそうか…。

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カエデ あたい、あの刀、大事にするんだ。おかあちゃんの形見、おかあちゃんの、のこしたきもち。…刀を抜かない強さ、だよね。
りぃ 形見が戻ってよかった。本当によかった…。

カエデ 今思うと、おねえちゃんも昔、そんなこと言ってたような気がする…。おねえちゃんは自分で答えを見つけたのかな…。やっぱりおねえちゃんはすごいや!

くっ…。姉妹揃って反面教師で育たないといけないなんて。

りぃ 今すぐリョウマおじさんの所に行かない?私がギルガメッシュに口利きして何不自由なく暮らせるようにしてもらうからさ…。