リーダー、親父さんのことで気落ちしてなけりゃいいんだが……。
あ、噂をすれば。
この度はご愁傷様でした。
いてて、くそォ……。
どうしたんです、リーダー?
葬式の後、親父の形見をもらったんだが、不覚にもそいつを盗まれちまった。後ろからやられてな。通りがかりの娘が介抱してくれて、ようやく意識が戻った。
殴り倒されて盗まれたの!?
体の方は大丈夫です?しかも、そんな大切なものを……!
いや、中身は古めかしいブレーだったからオレにとっちゃ何の価値もねぇ。
あのお嬢さんはお父さんの形見の品をあんなに大切にしていたのに、対照的ね。
だがな、商会のお得意さんがそいつを高額で買い取ってもいい、って言ってんだ。金づるをみすみす見逃しちまうわけにはいかねぇ。
形見の品を躊躇なく売るって、割り切った性格してるんだなぁ。
…逆に、形見だから手元に置いておきたくないとかあるのかな。
こいつは商会の人間じゃ手が負えねぇ、あんたみたいな冒険者の力が必要だ。報酬は売値の2割だ。ぜひ取り返してくれねぇか?よろしく頼むぜ!
高く売ってよね。
いつもながらリーダーは強引だ。相手の都合なんて聞いちゃいないや……。ま、相手が悪いと思ってやるしかないな、この仕事は。
あの強引さが無いと、この商売の社長はできないのかもね。
きっとリーダーを襲ったやつはずっと後をつけてたんだろうな。目撃者でもいればいいんだが。
目撃者…。
このクエストで心当たりがあるのはひとりしか。
ランシュリョームさんのお葬式、私も出席させていただきました。修理のお礼も兼ねて……。
形見の修理が最後の仕事になったのかぁ。
ところで……。その時に、なんだか怪しげな女性がいたんです。
気になったので後をつけてみたんですが……。
怪しげな女性の名前が ??? になってる。
途中で見失ってしまいました。
深追いしたら危ないから、見失って良かったよ。
その後もしばらく捜してたんですが、喪主だった方が倒れていたんで、あわてて介抱しました。
あなただったのか。
幸いにもすぐに気がついたんで安心しましたが、その側にこれが落ちていたんです。
片方のピアスなんですが、もしかしたらなんか関係があるのかと思って。
犯人が落としていったのかな。
詰めが甘いなぁ。
私の思い過ごしだといいんですが、ちょっと気になったもので。これ、私が持っていてもしょうがないですし、あなたに預けておきますね。
だいじなもの:片方のピアスを手にいれた!
なに、リーダーを介抱してくれた女性がその片方のピアスを拾ったって?フーン、事件に関係あるのかないのか……。
確実にあるでしょうね。
もっとも、そんなハンパな品じゃ何の価値もないがな。なかなかよさそうなものだから彫金ギルドでもう片方を作ってもらえば価値が出るかもしれない。……なんて、職業病だなこりゃ。
ふむ、彫金ギルドに行けということね。
ピアスを見てほしい?では……。
お願いします。
あら、これは不思議なこともあるもの。このピアスは先日来たお客様が持ち込んだものと一緒なものです。なんでも片方なくしてしまったから同じものを作ってほしいって。
よほどお気に入りなのかな。
確かお客様の名前はエスカさんといったでしょうか。うちでは同じものを作るのは無理でしたから、それを彼女に届けてあげると喜ぶと思いますよ。
お客さんの個人情報!と思ったけど、親切心で名前教えてくれたのよね。
エスカさんってどこにいるんですか用語辞典先生。
西ロンフォール(F-6)にいる”Esca”に話す。
アンタ、何か用?え、このピアスに見覚えはないかって?
あっ、この人は!
シーフAFにも出てきた、アタルフォーネ盗賊団を知らなかった若手のシーフ!
……!どうしてアンタがこれを持ってるのさ?そうか、あの時に落としちまったのか。あちゃー、ドジったな!
致命的なドジだわね。
ばれちまったらしょうがないねぇ、ブルゲールからブツを奪ったのはアタシさ。盗賊といえども女、いつも華麗に仕事をしたいのさ。ところでアンタ、あれが何か分かってんのかい?
ううん。知らない。
あきれたねぇ。知らないのに追ってたのかい?あれはね、ラスト・ドラグーンが使ってたといわれる幻のブレーなのさ。
えぇ!?
ブルゲールは知ってるのかな。
知ってたらもっとオークションとかかけて値段釣りあげそうな気もするけど…。
いろんなヤツがそれを欲しがってるんだけど、アタシの依頼主もその1人ってわけ。
知る人ぞ知る有名なお宝…ってことかな。
え、依頼主の名前?不思議なことにアタシも知らないのさ。アタシはある場所にそれを埋めておくように言われただけさ、代金と引き換えにね。
えぇ…。
そんな依頼の仕方って、お金は捨てるつもりで、本当に手に入れられたらラッキー。くらいの、ものだよね。
どこの金持ちだ?
もうお金はもらっちゃったから場所は教えてもいいよ。でもブルゲールにはアタシがやったってことは内緒だよ。アイツに睨まれたら仕事がやりにくくてしょうがない。
教えてくれるんかい!
ドライだわね。
その場所はね、エルディーム古墳を抜けた先にある孤島だよ。もっとも、モンスターを見張りに立たせてあるから、ちょっとやそっとじゃ取れやしないと思うけどね。
遠いー!
さ、そのピアスを返して。それはアタシの勝負ピアスなんだから。
はい、どうぞ。