なんだい、あんた?私に何か用かい? ひょっとして、あんたもわが「ブリリオート舞踏団」の踊り子になりたいって言うんじゃないだろうね?
なりたい。
はぁ、やっぱりかい。
ブリリオート舞踏団のメンバーは、私がみずからスカウトした才気みなぎる踊り子ばかり。寄せあつめのバレリアーノ一座なんかとは、わけが違うんだ。
バレリアーノ一座って、コンクエスト1位の国に移動するあの火を噴いたり剣をジャグリングしたりしてる人たちじゃないですか。
だから、どこの誰ともわからないやつの入団は認めないよ。踊り子になりたいなら、他をあたっておくれ。
やだ。ブリリオート舞踏団がいい。
あきらめの悪いやつだねぇ。じゃあ、星くず石を持ってきたら、考えてやらないでもないよ。
星くず石?
どんな石かって?それは自分で調べるんだね。
ううむ?
メンバーの人なら知ってるかしら。
聞いてたわよ。あなた、踊り子になりたいんですって?うちの団長は厳しいから半端な気持ちじゃ、つとまらないわよ。
それでもなりたいっていうのなら、その星くず石って石のこと私が聞いてあげてもいいんだけど、どうしよっかなぁ~。
優しい。
星くず石のことは知らないのね。
……そうだ!サンドリアに『獅子の泉』っていうレストランがあるのを知ってる?
うん。
そこにある舞台で踊るくらいの度胸をみせてくれれば、あなたの情熱が本物だって認めてあげるわ。
えっ、踊るの?
踊りとか小学生の体育とか運動会とかでしかやった記憶ないし、何一つ覚えてないですが…。
レストラン『獅子の泉』へようこそ!なに、舞台で踊らせてくれないか、とな?
うん。
そういえば以前、ブリリオート舞踏団の踊り子たちにここで踊ってもらったことがあったな。あのときは盛りあがったもんだ。お客さんの拍手と歓声が、ひと晩鳴りやまなかった……。
そんなにすごいんだ。
お前さんも踊り子なのかい?あまり舞台慣れしているようには見えないが……。まぁ、別にいいだろう。久しぶりに楽しめそうだしな。どれ、お客を集めてこよう。
初舞台です…とは黙っておこう…。
ダンスで観客を感動させましょう。
えっ、どうしろと!?
ん?選択肢が3つ出た。
体を動かす。
変てこなダンスねぇ。
手を伸ばす。
おいおい、大丈夫か?
体を動かす。
変てこなダンスねぇ。
決めポーズ。
とても見れたものじゃないな……。
あああ解散していくぅ~!
帽子をかぶったエルのお姉さんだけ大笑いした後拍手してくれたぁ。
お前さんのダンスはざ……斬新だったな。たのむからもう二度と……いや、なんでもない……。
いえ、申し訳なかったです…。
でもこんなんでも舞台に立った根性だけは褒めて!!!
聞いたわよ。『獅子の泉』の舞台で踊ったんですって?あなた、なかなか度胸あるじゃない。
度胸だけしかなかったです…。
オッケー。私も約束を守らないとね。……って、例の石のこと、実はもう聞きだしてあるんだけど。
仕事が早いッ。
がっかりしないでね。星くず石を見つけるのは不可能なの。
えっ!?
星くず石はジャグナー森林のメシューム湖に沈んでいたらしいのだけど、それは20年前の話。星くず石は光を放つ、とても珍しい石なの。だから、みんなが持って帰ってしまって今はひとつも残ってないんですって。
そんなものを持ってこいだなんて、団長も人が悪いわ。最初から無理だってわかってるのに……。
目の前で苦言を呈しとる。
久しぶりに骨のありそうなヤツだから、あなたのこと気に入ったんだけど……力になれなくて、ごめんなさいね。
ううん。ありがと。
つまり、過去に行って取ってくればいいのね。