双翼は朝凪に舞う

あっ、ズィーハだ。

ズィーハ 何者だい?ここを知ったからには覚悟してもらうよ。

ズィーハ ん?……りぃかい?久しぶりじゃないか。
りぃ 久しぶり~。

ズィーハ 最近、見かけないし尻尾巻いて、中の国に逃げ帰ったのかと思ってたよ。

ナジャ社長にこき使われてました…。

アズナーフ ……うそうそ。りぃが、あれっきり顔みせねぇもんだから、ズィーハさんそりゃあ、ご心配でヤキモキしてらしたんだぜ。

あらっ。

ズィーハ アズナーフ、サメのディナーになりたいのか?

アズナーフ す、すんません!!
ズィーハ 海猫党じゃ、無駄口は御法度だ。りぃも覚えときな。

りぃ は、はい。

ズィーハ ふんふん……。にしても、それなりの面構えになってきたじゃないか?クルタダの人物眼が正しかったってことかね……。

ムティーブ なあ、りぃ。そろそろ潮の香りも体に馴染んできたことだし宣誓をしてみたらどうだ?

宣誓?

りぃ 宣誓ってなに?
Uki Pupakkuh なんですって?あんた、そんなことも知らないでいっぱしにコルセア気どってたの?

すっ、すみません。

クルタダ 同じ船、つまり運命共同体の一員として、船長への服従と仲間への忠誠、そして……

アズナーフ おう、クルタダ船長!
クルタダ どんな嵐にも臆さぬ勇気を誓う儀式のことさ。女神さまにな。

女神さま?
アルタナとは違う女神なんだろうな。
海のとか?

クルタダ 誓いを立ててない奴がいると、女神が怒って天候が荒れるっていわれてるのさ。

ええ…。

Uki Pupakkuh ということよ。危険な海上では、船長への服従と仲間との連携は何よりも重要。コルセアにとって、宣誓は不可欠なのよ!

ズィーハ ……ちょっと待ちな。りぃの格好をごらんよ。コルセアの宣誓を行うにしちゃあ、なんともサマになってないじゃないか。

えっ、これでもマシな方…Tシャツじゃないしっ。

あっ、ロックスタイルじゃない素の装備はチョコボシャツのままです。すみませんでした。

アズナーフ そいつぁ、仕方ねぇっす。コルセアの装備つっても、店に売ってるわけじゃねぇですし……。てめぇで作ろうにも、ホイールロック点火装置が手に入らねぇことには……。
クルタダ おいおい、アズナーフ。お前はかわいい後輩に、まずあきらめることを教えるつもりか?

クルタダ さっさと諦めるなんざ、海の女の風上にもおけねえ。どんな困難にも活路はある。必ずな。そいつを見つけるために、まず全力を尽くすんだ。

クルタダ なあ、りぃ。確か、お前は中の国から来たんだったな?
りぃ うん。

クルタダ ジュノと競売が一本化された、とはいえだ。こっちじゃゴミ同然のモノが、お前の故国じゃお宝、あるいはその逆も……なんてことが、今でもあるんじゃないか?
りぃ あった。

青魔道士取得クエで、セイレーンの涙とかが珍しくて欲しいって言われたのよね。

ズィーハ ……なるほど。中の国なら、ひょっとして、手に入るかもしれないね。
クルタダ あっちじゃ、お前の人脈だって活かせるだろう。心当たりを当たってみたらどうだ?

ホイールロック点火装置ってのを探せってこと?

アズナーフ おっと、そういや!
ズィーハ なんだい?ヤブから棒に。

アズナーフ いえね、ミンダルシア大陸のどこぞに、その昔ミスラ海賊が身を潜めていた、隠れ家があったって話を思い出したもんで。
クルタダ ふむ。それなら、ホイールロック点火装置が残ってたって不思議じゃないな。で、それはどこなんだ?

アズナーフ それが……洞窟っぽい所だったってことだけは、はっきり覚えてるんすが……。
りぃ シャクラミにあるよ。

ブブリム側だよね。

アズナーフ あっ、そうそう、それそれ!なんせ、その筋から得た情報だ。当たってみる価値はあると思うぜ。
クルタダ 上出来だ、アズナーフ。

クルタダ よし、りぃ。手始めに、そこを当たってみるんだ。ちぃとばかし、遠いがな。
りぃ おまかせっ。

ズィーハ いやに張り切ってるねえ。ヘマをやらかさなきゃいいんだけど……
クルタダ 物足りなくなってきたのさ。昔は、俺たちだってそうだっただろ?意味もなく先を急ぎ、何かを探していた。

ズィーハ フフフフフ。そういえば、あいつ、まるで昔のあんたを見ているようだよ。
クルタダ よせ。昔とは違う。なにもかも……。

クルタダ だが、りぃのおかげで、楽しみが増えそうなことは確かだな。

あった。これこれ。

敵が出るんかい!

なんとか装置あるかなぁ。

イムティラ ……いやぁ、すごい。すごい。

ん?

イムティラ 思わず、見とれちゃったよ。お姉さん、いい腕してるねぇ。アイツのせいで戻るに戻れなくて困ってたんだ。助かったよ。
りぃ 閉じ込められてたの?

餓死する前に来れてよかった。

イムティラ ところでお姉さん、こんなところへ何をしに……?
りぃ えーっと、なんとか点火装置を…。

イムティラ え、ホイールロック点火装置を探しにだって?
りぃ それ!

イムティラ あらあら、それは骨折りだったねぇ。ホイールロック点火装置なら、もう私が……。

えっ、余ってないの?

イムティラ でも……。妙だね。コイツをほしがるなんてあんた、もしかすると、ひょっとして……
りぃ 海猫党員です。

イムティラ ふぅん……。やっぱりね……。

イムティラ いまどきこれをほしがるのなんてよほどのもの好きか、海猫党くらい。だから、ちょっとカマかけてみたのよ。

誤魔化した方が良かったのかしら。

イムティラ まさかこんな西の大陸で海猫党縁の者に会うなんて思いもしなかったけどね……。

イムティラ 船長クルタダやズィーハ副長、それにクルーの皆は、お元気?
りぃ 知り合いなの?

イムティラ え、なんで海猫党に詳しいのかって?ふふふ、それは、まぁいろいろとね。

匂わせですか。

イムティラ ……なるほど。彼らは活動を再開しているのね……。

イムティラ ……そうね。苦労して見つけたけど、お礼よ。このホイールロック点火装置、あんたにあげるわ。海猫党には昔のよしみもあるし……
りぃ あら、ありがとう。

イムティラ ……ついでに、「親友のイムティラがよろしく言ってた」って船長クルタダに伝えてくれない?
りぃ うん。わかった。

ん?
親友?

イムティラ それじゃあね。縁があったら、また会うこともあるかもしれないけど……。

ヤズクール 里心がついたか。
イムティラ 馬鹿な。いいシッポを見つけたと思ったまでのことです。

あれっ?
皇国軍の人だ。

ヤズクール ほう。

イムティラ シッポの動向を追えば、じきにアタマも見つけられるはず……。そうすれば、後は訳ないことでしょう。
ヤズクール どうかな。お前みたいな悪党に限って、昔の仲間にコロっと寝返ったりするもんだ。

イムティラ 人聞きの悪いことをおっしゃらないでいただきたいわ。

ヤズクール あの女の顔……、見覚えがある。もしやタラッカ入江で会った奴では……?
イムティラ お知り合いですか?

ヤズクール まあ、な……。お前も覚えておろう、なぁ、ゴワム?

あれっ?
この人、バストア海賊の人じゃない?
青魔道士になったの?

ヤズクール ふん。海賊など哀れなものだな。
イムティラ ええ、本当に……。

だいじなもの:ホイールロック点火装置を手にいれた!

クルタダ よう。無事だったか。
りぃ シャクラミだしね~。

クルタダ その顔は……どうやらアレを手に入れたようだな。
りぃ うん。

クルタダ さすがだな、りぃ。お前なら、やると思ってたぜ。

クルタダ ん、どうした?
りぃ イムティラって人が、よろしくって。

クルタダ イムティラ……。そいつはイムティラと名乗ったのか?確かなんだな?
りぃ うん。

クルタダ いや……。なんでもない。気にするな。

クルタダ おっと、そんなことよりお前の銃だ。早速、このホイールロック点火装置をアルザビの鉄砲鍛冶に持ち込んでみよう。安心しろ。飛び切りの腕利きにコネがある。

さすが。

クルタダ そうだな……完成したら、シャララトに届けさせよう。チャイでも飲んで気長に待っていてくれ。
りぃ わかった。ありがとう。

ラティーブ やあ、お客さん。いつぞやはお世話になったね。
りぃ こんにちは~。

ラティーブ そうそう、なんでもうちの息子があんたに話があるんだってさ。さっきからずっと待ってるよ。

ワスード あ、お姉さん!こっちこっち!

ワスード 誰も見てないな……。よし。

秘密なんだな!?

ワスード 変装した海猫党の人が来てこのかっこいい銃を置いてったよ。「お姉さんが来たら渡せ」って。

ワスード えと……「加工代は気にするな。クルタダからの贈り物だ」だって。
りぃ わかった。ありがとう。

ワスード ちぇっ、いいなあー。 何をしたのか知らないけどクルタダに武器をもらえるなんてずるいよ!

ワスード ……いいもん。僕には誰よりも重大な任務が与えられてるんだ。お姉さんなんかより、ずっと信頼されてるんだからね!

でも本当に、ここで修行という名のお手伝いを続けてるのが近道だよね。
飲食店は足腰使うし。鍛わるよ。

がんばれ。

トランプガンを手にいれた!