時計塔と青年

白タルの散歩道

りぃ 署名集めて提出してきたぞーい。

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ナリヒラ むっ!? お前さん…。時計塔保存の署名を集めとる若者がおると聞いたが、おぬしじゃったか…。
りぃ うんむ。エライでしょ。

ナリヒラ ガルムートはこんな友達をもって幸せなやつじゃ。して、あやつはどこへ?
りぃ さあ?いないの?

ナリヒラ まったく情けないやつじゃ!

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ガルムート ったくどいつもこいつもッ…!何もかも終わりだ!

また喧嘩でもしたのかな。

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ガルムート 爺さん?それにあんた…。一体どうしたんだ?
ナリヒラ どうしたもこうしたもないわいっ!あやつが時計塔保存願いの署名を集めてくれて、時計塔は残されることになったんじゃ!

ガルムート えっ、なんだって?ってことは時計塔は、あの鐘の音はこれからも…。
ナリヒラ そうじゃ、このバカもんがっ!今のお前さんは、止まった時計と同じじゃ。

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ナリヒラ 針の動かぬ時計に、何の意味がある?きれいな鐘の音も響かせられん。分かるか、わしの言っとることが?
ガルムート …爺さん。すまねぇ。

ナリヒラ フンッ、わしに謝ってもらってもしょうがないわい!お前が謝らなきゃならんのはあの時計を頼りにしておるこの街の人たちなんじゃッ!あの鐘がならんと困る人たちが…!

白タルの散歩道

えっ、倒れる!?

ガルムート 爺さんっ!!

ナリヒラ ウッ…、ゴホゴホッ!!

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ナリヒラ 大丈夫じゃ、お前がおらん間、久しぶりにあの時計塔をいじったもんでの…。体がなまっとったわい、ハハハ…。

無理してたのかぁ。

ガルムート …爺さん、ありがとう…。オレ、あんたみたいに心から叱ってくれる人がいてうれしいよ…。
ナリヒラ フッ、叱られて喜ぶなんてお前はホントにバカもんじゃ…。

白タルの散歩道

ナリヒラ それに礼ならこやつに言うんじゃな。こやつが署名を集めてくれなんだら、お前の時計塔は今頃…。
ガルムート オレは恥ずかしいよ…。一体あんたにどんな顔して礼を言ったらいいのやら…。
りぃ 署名してくれた人たちのおかげだよ。

白タルの散歩道

ガルムート ホントに…、ホントにありがとう。オレ、これからもあの時計を大切に守っていくよ。あの時計はオレとみんなをつないでくれる、かけがえのないものだから…。
りぃ がんばれ!

ナリヒラ ガルムート、お前なら大丈夫じゃ。今から、お前さんの本当の仕事が始まるんじゃ。

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りぃ 時計塔、壊されないってよ。よかったね。
Collet お~い、ガルムート兄ちゃ~ん!!

白タルの散歩道

おお、今整備してるんだね。

ガルムート おうっ、コレットか!悪いな、今ちょっと手が離せねぇんだ!隣にいるのはあの時助けてくれたあんたか?ありがとよ、おかげさんで目が覚めたぜ~!
りぃ 小さくて見えにくくてすまねぇ…。

Collet ガルムート兄ちゃん、すっかり元気になったわ!あたしも兄ちゃんみたいに元気出して、学校へ行ってみようかな…。

登校拒否してたの?

りぃ 行けそうなときに行ってみたらいいよ。無理はしないように、少しずつね。