双対の力 其の壱

白タルの散歩道

ルト ちょうどよかった!お願いしたいことができたの。もちろん、手を貸してくれるわね?りぃ。
りぃ え?う、うん。

ルト ヤーガウミガと一緒に頼まれてほしいのよ。……来たみたいね。

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ルト いま、りぃにも話していたのだけど、ふたりには、ウィンダスまで行ってきてほしいの。
ヤーガウミガ うん。構わないよ。そこに行って、何をすればいいんだい?

ルト ふふ。そういってくれると、話が早くて助かるわ。

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ルト 鏡についての文献を借りてきてほしいの。図書館には、とても古い研究書も保管されていると聞くわ。見つけてほしいのは、割れてしまった、あの鏡の修復方法について書かれたものよ。
ヤーガウミガ あの鏡を直すつもりかい?あれは特別な力を持った鏡なんだろう?そんなことができるのかい?

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ヤーガウミガ それに、あんな恐ろしいものを直してどうするつもりだい?
ルト ……ふぅ。わかってないわねぇ。それから、そんな野暮なこと、言うものでないわ。

良からぬことを考えているのは確かなんだろうな。

ルト せっかく手に入った近東のお宝よ。元どおりにしてこそ、お宝としての価値が高まるというものじゃない。

白タルの散歩道

ルト もちろん恐ろしいものだとは思うけれど。それは、お宝としての価値のひとつだ、って考えるわ。
ヤーガウミガ そう……。気乗りはしないけど……わかったよ。

ヤーガウミガは人が良すぎるよ。

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ルト あの鏡は黒味を帯びためずらしい金属が使われているから、それを手がかりに探してもらえるかしら?どんなに些細なことでも知らせてほしいわ。頼んだわよ。

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トスカポリカ ……ムムム。黒味を帯びた金属でできている鏡について書かれた本……?しかも、その修復方法を探していると……?

さすがに院長でもこの膨大な本を全部は知らないよね。

トスカポリカ ムムム。ムムムムム。ムムムムムムム?……ム!

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ヤーガウミガ 少し奥を覗いてきたんだけど、あんなに量があったんじゃ、どこから手をつけていいかわからないね……。
りぃ だよねぇ。

トスカポリカ ム?ムムムムム!そうだ。そうだ、そうだ!

え、心当たりが!?

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トスカポリカ リトポポの探していた文献が、鏡に関するものだったよ。たしか、近東の鏡がどうとかこうとか……。

それに違いない。

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リトポポ ……よいしょっと。ようやく、見つけたわ!幻の本「鏡の伝承」!

まさしくそれなタイトル。

リトポポ ぱっと見、ただのおとぎ話のようだけど、ここに書いてあることは、事実かもしれない……。

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リトポポ と、あたしの勘がチリチリと働いているわ。研究生活20年のあたしの勘が!ふっふっふっ。

意外と年季が入ってた。

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リトポポ さて、と。探しものもひと段落ついたことだし、おいしいものでも食べにいこうかしらー?

美味しいもの食べるの大事。

リトポポ 最近、研究に没頭していて、適当なものばかり食べていたからな~。……ブレーツェルとか。喉につまるから、たいへんだったわ……。

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リトポポ ……ん?何かご用なの? 
りぃ えーっと、かくかくしかじかで。

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リトポポ えぇ!?やっぱり近東の鏡って本当にあるものなの!?あ、あたしの研究ってすごいのではないのかしら?どどどど、どうしよう!?

りぃ それでね…。

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リトポポ え?……。「鏡の伝承」を貸してほしいですって?
りぃ うん。

リトポポ それはちょっと聞けないお話ね。だって、あたしだって今見つけたばかりなのよ。それをホイホイ貸すようなこと、できるわけないじゃない?
りぃ だよねぇ。

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リトポポ ぐうううううううう。

どっからどう聞いてもすごい腹の虫が鳴ったぞ!?

リトポポ なっ……!

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リトポポ ……今のは気にしないでちょうだい。ともかく、あたしはぜったいに「鏡の伝承」は渡さないわ。

リトポポ ぐうううううううう。

リトポポ …………。

白タルの散歩道

リトポポ ぐううううううううううう。

リトポポ そうねぇ……、あのね、あたし……、院長さまに、贈りものがしたいかもしれないわ。

したいかもしれない??

リトポポ でも、じぶんから渡すのは恥ずかしいの……。だって……。

リトポポ ぐううううううううううう。

リトポポ ………………。

白タルの散歩道

リトポポ 以前、院長さまが呟いていたわ。大好きなフルコースがあるとかないとか……。

本当に?

リトポポ 白パン白身魚のシチューウィンダス風サラダバイソンステーキ、それから、……雪山のロランベリーかな……。さらに仕上げに、サンドリアティーとかなんとか。

すごい量!!

リトポポ それをね、ぜひ一度に食べてみたいって、言ってたわ。

白タルの散歩道

リトポポ あたし、今の研究で院長さまにはとてもお世話になってるから、院長さまの望みを叶えてあげたいの。でも、あたしに、そんな豪華なディナーは作れないから……。

本音と欲望が入り混じってきてないだろうか。

白タルの散歩道

リトポポ それを、すべて用意してくれるっていうなら、「鏡の伝承」を貸しても構わないわ……!
りぃ えっ、本当に?

リトポポ でも、すべて完璧に揃えられたときだけよ。貸してあげるのは。院長さまには、ディナーはリトポポからだって、別に言わなくてもいいわ。院長さまへ、そっくり渡して、驚かせてあげてね!
りぃ うん。わかった。

白タルの散歩道

ヤーガウミガ りぃ、覚えきれたかい?
りぃ いや、無理。

ヤーガウミガ 白パン、白身魚のシチュー、ウィンダス風サラダ、バイソンステーキ、それから、雪山のロランベリーだよ……。仕上げは、サンドリアティーか……。忘れないように、メモしておくべきだね。
りぃ す、すごい。

ヤーガウミガ ずいぶんと豪華な食事になりそうだね……。

食べきれるんだろうか。

白タルの散歩道

ヤーガウミガ あの院長のためを想ってとは、……思いにくいけどね。
りぃ 絶対自分で食べたいよね。

ヤーガウミガ まぁ、細かいことは気にしないでおこう。本を手に入れるためだしね。

さて、大量の料理、どうやって入手するか…。