取ってきたよ。
これは…。11セットの工具?初期開拓者の名前が書いてある…。
最後の1人の名前は…Vigilant Owl?これはもしかしてガルカの名前では?
だよねぇ。
パルブロ鉱山はヒュームの開発になるものと言われていたのに…
ん?この工具の裏に何か…Babenn??別の名前が?
バベン?聞き覚えがあるな。
ってか、鉱山区に普通に住んでなかったっけ?
あ!魔晶石を奪えのミッションの時、エルキのひいおじいさんと一緒にチラッと出てたのバベンじゃない!
これはどういうことでしょうか?私の方でも調べてみますが、何かわかったら教えてください。
おっけい。
何だね?こんな老いたガルカのところに用はないだろう…?
それが、あるのですよ。Vigilant Owlって名前に心当たりないですか?
ヴィジレントアウル?そんな者は知らんな…
ほら、この工具にね、ヴィジレントアウルとバベンの名前両方書いてあって。
そんな古い工具箱を持ってきたところで、私から得られる情報など何もない。
なあるほどね、そういうことだったのか。
あれ?グンパが何故ここに。
バベンが昔のことを話したがらないのにはそういう訳があったんだ。でもバベン、もう150年前の話でしょ?もう隠すのはやめたらどう?
グンパ…何の用だ?
冒険者なら聞いたことあるんじゃない?バストゥークのガルカには2種類の名前があるんだ。
うん。
1つは生まれてからの名前。もう1つは…その名前が呼びにくいと、ヒュームたちがつけた名前…。
ヒュムが付けた名前の方が長いし呼びにくいと思うのは私だけでしょうか。
でもこれは口実で、ヒュムは自分たちの方が優位にあると言いたかっただけなんだろうな。
ヴィジレントアウル。それがバベンの昔の名前…でしょ?以前に話してくれたの、忘れてないよ。
余計なことをしゃべるガキだ。もう150年も前の話など忘れたよ。どうして今ごろそんな名前で私を…
昔はヒュムが付けた通り名の方を使ってたのね。
…ん?そこにいるのは誰だ?
曽祖父は忘れていませんでしたよ、ヴィジレントアウル…いや、バベンさん。
まさか…オムラン?いや、そんなはずは…ヒュームの寿命は100年にも満たないはずだ。
やっぱり滅茶苦茶似てるのね。
オムランは私の曽祖父です。幼い私に詳しいことは教えてくれませんでしたが、10人の開拓者の話をする時、いつも悲しげでした。
私にこう言ったこともあります。「運良く自分が何かを成したとしたら、それは自分が出会いに恵まれたからに過ぎない」と…。
そうか、オムランがそんなことを…
覚えておけ、オムランのひ孫よ。当時のヒュームたちには誇りが必要だった。自分たちの力で鉱山を開拓したという名目の…。そのためには彼らには不必要なものがありそれが私だったというだけのことだ。
ヒュム「だけ」でやったことにしたかったのね。
自分たちに自信を持つために。
サンドリアやウィンダスに対抗するために。
でも結局そういうところは、弱さよね。
何かが見えることを能力とするなら、何かが見えないことも能力かもしれない。発展や名声という名のもとの犠牲だ。
それは違います!曽祖父は、名声などを欲した訳ではない!
バベンは将来を見据えて、自分の栄光よりも国が発展するであろう方を選んだのね。
もう良い、それ以上言うな。我らガルカとヒュームは同じ時を生きられぬ。我らの目にうつる世界も別のものだ。
…。
だが、私は信じているのだよ。あの時、無心にミスリルを求めた我々は同じ時を生き、同じ世界を見つめていた。それで十分なのだ。他の者がなんと言おうと関係はない。彼らがこの世を去っても、私はそのことを知っている。信じている。
オムランのひ孫よ。我々の過去の絆を確かめるより、今同じ時代を生き、同じ世界を見つめられる絆を確かめることだ。
…わかりました。お体にお気をつけて…。
エルキはちょっと辛いかなぁ。
ヒュムが功績をあげたガルカをいないものとしていた…。
でも、バベンはひいおじいさんのことを仲間と思い、信頼している。ってのが分かったのが救いかな。
むっずかしいことを言っておっぱらったもんだねえ…。
ふん、おまえがややこしくしたのだ。どうせ奴を連れてきたのもおまえだろう?
箱を取ってきたのは私ってのは黙っておこう…。
だいたい、いつおまえに昔話なぞした?そんな覚えはないぞ。
あ、あれ?そうだっけ?多分ウェライに昔聞いたんだよ。
あー、過去の記憶持ってたよね。そっちの方で知ってたってわけか。
さ、ボクももう行かなくっちゃ!じゃ、またね~~。
おぬしにもいろいろと迷惑をかけたようだな。
ううん。大丈夫だよ。
バストゥークがここまで発展したのは、バベンが黙して語らなかったからってのも結構大きそうね。
でも、オムランが覚えててくれて、エルキが探し出してくれて、よかったね。あんなにそっけなく追い払っちゃったけど、バベンも救われたよね。
長生きしてね。