憂国の使者 其の参

ティル・ミドゥーリ ……だーかーらー、あたしたちはウィンダスから先生を送ってきてー。先生はジュノでお仕事を……

Irwyn この先はカムラナート大公殿下の治めるジュノ大公国である。身元不詳の者は入国させぬよう仰せつかっている。そなたらの話を、証明できるものはあるか?

なんか揉めてるな。

コルモル ……ああ、君も来たのか。見てのとおりだよ。ここまで来たのはいいが、こうして立ち往生してるところなんだ。どうしたもんかね……。
りぃ 耳の院院長の指輪とか持ってないの?それじゃダメ?

Irwyn そこの者も止まれ。入国に際しては、わが国のしかるべき筋の身元保証人が必要である。

指輪じゃ駄目なのか。

??? : ……はいはい、ごめんなさいね。あ、やっぱり!コルモル先生!

あっ、彼女は…!

コルモル おお、きみがラススちゃん……!?(な、なんと可憐な……!)

恋多き男ー!

ラスス お手紙いただいてたから、そろそろ着くころじゃないかと思って迎えにきたの!
コルモル 着きましたぞ!ええ、このコルモル、ラススちゃんのためならたとえ万里の道もなんのその……

ラスス この方は高名な、ウィンダス耳の院のコルモル先生よ。私たちの研究所のお客さまです。
Irwyn そうでしたか、それは失礼しました。

入れそうでよかった。

ラスス ようこそ、コルモル先生!無事でなによりです。これから一緒に研究、がんばりましょうね!

ラスス あなた方が、先生を送ってくださったのね?どうもありがとう。私は、コルモルさんの……

コルモル ガ、ガールふれ……

ラスス 同僚になるラススです。よろしくね!

コルモル ……。

気が早すぎじゃ。

ラスス コルモル先生。さっそく研究所のみんなに紹介します。さ、こちらへ。

コルモル じゃあ、みなさん。ワシはここで。ウィンダスのこと、くれぐれもよろしく頼みます。

ミル・パコルマ はぁ~い。
りぃ 研究頑張ってね。

ティル・ミドゥーリ ……ちっ、あっさりだなあ。やりがいないよね。あたしはもっと派手な任務のほうがむいてると思うんだ。

ティル・ミドゥーリ 敵のアジトに発破かけたり潜入してトップを暗殺したりとかさ……。こう、ロマーお頭とか、ペリィ団長みたいに活躍したいわけよ。

それは、相当な強さと経験が必要よ…。

ミル・パコルマ ティルちゃん、ほんと派手好きよねぇ~。

ミル・パコルマ なんだっけ?夢は孤高の女剣士として戦ってるところを、敵国の王子さまにみそめられて禁断の愛の末、お姫さまになるんだっけぇ?
ティル・ミドゥーリ な、なによっ!いいじゃない別にっ!ゆ、夢なんだし!

良いと思う。

??? : ……す、すまない!どなたか! どなたかーっ!!
ティル・ミドゥーリ ……ん?

えーっ!?

突然、へっぴり腰のエルヴァーンが大サソリに襲われとるー!!

ティル・ミドゥーリ はっ、なにあれ!南じゃみかけない感じのイケメン……!

そういえばウィンダスにもいないな?

ティル・ミドゥーリ ほらっ、助けるよミル!りぃ!
ミル・パコルマ えぇぇ~?

戦闘するの?

あっ、ティルが閃光弾投げた!

逃げてったー!

ティルは工作員向きなのかな。

ラシュマス Rachemace ……はぁ。ありがとうございます……。おかげで助かりました。いやあ、みっともないとこ見せてしまって……
ティル・ミドゥーリ いえいえっ!ここらへんは危ないですもの。殿方でも油断は禁物ですわ。

ミル・パコルマ んもう……ティルちゃんたら……カッコいい男の子相手だといっつもこうなんですぅ。
りぃ 一貫してて清々しいのでは。

ティル・ミドゥーリ それにしても、こんなところにおひとりで、いったい、どうされたんですの?

ラシュマス ……実は僕、サンドリアから派遣された偵察部隊の一員なんです。

バラして大丈夫なの?
連合軍で手を組んでるからいいのか。

ラシュマス ヤグード教団軍の機密らしき縄の密書百八結節のキープスを、敵から首尾よく奪ったのですが、その後、追っ手の襲撃を受けて……キープは取り返され本隊ともはぐれ、その上、休んでいたところを今度は、さっきのスコーピオンに襲われてしまって……泣きっ面に蜂ですよ。
ティル・ミドゥーリ まぁぁぁぁ……それは災難でしたこと……

ラシュマス そのキープ、もし解読に成功すれば獣人軍との戦いを有利に進められるかも、と王都へ持ち帰る途中だったのですが……。
ティル・ミドゥーリ あの、もしよかったら、取り戻すの、手伝ってさしあげましょうか?

ラシュマス え、本当ですか!?

ミル・パコルマ ……え、ティルちゃん、でもぉ、任務が終わったら、道草はせずにカルゴナルゴに行けってお頭がぁ……
ティル・ミドゥーリ バカッ! イケメンを……じゃなくて困ってる人を見捨てるの?この人でなしっ!

本心が漏れてる。

ティル・ミドゥーリ (ここはクビ突っ込んでおくべきだと思うんだよね。ま、野性のカンってやつ?)

ミスラの勘は信じた方が良さそう。

ティル・ミドゥーリ (で、この情報を持ち帰ってあたしたちは、一気に傭兵隊長まで大出世ってわけよ!ふっふっふっふ……)
ミル・パコルマ (えぇ~、そっかなぁ~?勝手な行動してお頭に怒られないかなぁ?)

…本当に勘なのか?

ティル・ミドゥーリ ……コホン。かわりといっては何ですが、その情報、解読できた暁には、われわれにも共有させてくださらないかしら……?
ラシュマス もちろんです!共に連合軍として戦う身、拒む理由はありません。貴女の気高く美しい志に、心打たれました……。

ティル・ミドゥーリ あらやだ……そんな……。

ティル・ミドゥーリ ……さあ、ミル、りぃ、ひと働きしよう。手分けして百八結節のキープスを探すよっ!集合場所はこのゲートの前ね!

ソロムグか要塞のヤグードが落とすんだって。
持ってないから取りに行かなきゃ。

取ってきた。

ラシュマス ……ああ、それです!どうもありがとう!
ティル・ミドゥーリ でかしたね、りぃ!

ラシュマス ……ありがとうございます、みなさん!ウィンダスの方々の友情に、心から感謝いたします。
ティル・ミドゥーリ さあ、一刻も早くサンドリアへ……と、いいたいところですがこれ、どうやって解読するんですの?

ラシュマス ええ、実は王都には、獣人語の通訳と契約している僧がおりまして。持ち帰り、その通訳に解読してもらおうと……
ティル・ミドゥーリ なぁるほど。

ラシュマス 王都はあちらの方角です。さあ、参りましょう!