……よかった。全員欠けることなく、無事合流できたようだね。
ソロムグに集合したよ。
それでは今回の陽動作戦を説明するよ。我々が護るジュノ増援部隊巨蟹、双子の両戦闘魔導団は、ベフラギ街道沿いの荒れ地を踏破する、悪ルートを進軍中だ。
ソロムグの道、ベフラギ街道って名前なんだ。
それに対して、敵本隊の予想進軍ルートは……
あ、りぃも参加するんだ?今回もよろしくね。
作戦説明中なのに、喋ってないで聞いた方がいいのでは!?
ふっふっふ。やっぱりでっかい作戦は腕がなるよねぇ~!
ティルちゃんたらぁ出発前から、テンション高くてさぁ。ここまでの道中、うるさいのなんのってぇ~。
いいじゃない!なんてったって、レコさま指揮の作戦だよ?いいとこ見せるチャーンス!
そこ!ブリーフィング中だぞ。私語は慎め!
巻き添えくったぁ!!
……ここから、街道は見通しの悪い隘路に差しかかっている。
だから、その後方、約1マルム先を伏撃地点とし崖上に猟豹義勇団の鉄砲隊を潜ませる。
いいか?僕が合図するまで、十分に引き付けるんだ。ナホ、それまで誰にも撃たせるなよ。
任しときんさい。
いゃーん、お仕事中のレコさまも凛々しくてすてきぃ~。
もうぅ……ティルちゃん。まじめにやろうよぉ……。
それから、ロマー。君のコブラ傭兵には、突撃隊となってもらう。僕が合図したら、側面より傾れこみ、敵の退路を断つんだ。
承知。
しかし、報告によれば敵は大軍。逆に、我々が包囲される危険性も高い。もし、撤退号令をかけたら速やかに両団とも戦地より離脱すること。
はいっ!
了解でぇす~。
良い返事にニッコリ。
兄ちゃん!しんどい話はもう止めにせん?敵じゃったら全部、うちらがしごうしちゃるけ。
ふふふ。それは、頼もしいね。
きみたち、レディの底力、信じているよ。
は、はぁい!!
……。
(……ねえねえ、敵どこ?来ないじゃあん。)
(ふぁぁ。情報、ほんまに合うとるんね?うちらもう、くたびれたわ!)
来ないならそれに越したことはないけども。
(……ねぇ、ミル。敵軍の足音とか、聞こえない?私も、さっきから膝が痛くてさあ……)
(しぃ~!喋ってると怒られるよぉ~?)
(はよ来んさいや、どん亀が。まとめて鉄板焼にしちゃるんじゃけ!)
くんくんくん……。シッ!静かに。
……間違いない。奴らの臭いだ。来たよ!!
!!
硬そぉ~。
どうやらクゥダフの重装歩兵のようだね。
やけに行軍が速いな。攻城兵器を伴っていないのか……くそっ、こいつら、本隊ではない?
そう判断するのは早計だよ。だって、この足音はおそらく……
(そろそろ、頃合いじゃね。ええ?一斉射撃でぶっ潰すけぇね。)
あの鎧に銃効くのかな?
ヘッドショットとかしないと…。頭も固そうだけど。
間違いない、巨人だよ!!
……はあ!?なんねぇ、あれ!
ちょ、あんなん、聞いとらんよ……!
ロベルアクベルの情報で巨人もいるって言ってたのにこんなに驚くの、やっぱり見たこともなかったのかな。
……。
(まずいね……見える範囲でも、ギガースが1ダース……。この数で、反撃を防ぎきれるのか……?)
(やるしかない。もし、ここで我々が撤退したら、連中は確実に10マルム先で我が方の魔導団と遭遇する。強行軍で疲弊している味方に、まず勝ち目はない……。)
(しかし……!)
(しっ、僕を信じて……)
まだそんな寝転がってて大丈夫なんかい!?
(よし、いいぞ。あと少しだ……)
ナホ、まだ撃たせるなよ。
待て……待て……
よし!撃てえ!
よし、よくやった。
想像以上の火力だった!
次弾装填を急げ!敵にこちらの位置を特定させるな!
コブラ団!敵の側面を突いて攪乱する。次に猟豹団が撃ったら一気にこの崖を駆け降りるんだ!
了解!
撃てえ!
……総員、抜刀用意!!
深呼吸しろ。
……突貫!!
どこからともなくチョコボが!
臆するな!
レコ、見事な指揮だけどそういう仕事してたのかな。
あっ、ナホ!
ひいぃっ!!
それはいかーーーーん!!
逃げて!!
飛苦無!
面の隙間から命中した!
お見事!
うううぅぅ……
あんなに威勢振りまいてたのに!
まぁ、未知の敵の前には臆するよね。
……!?
怯むな!立て!さっきまでの威勢はどうした?
……。
あんとな敵、見たことないわ……アンティカも異なげじゃったけどあんな大きいのはおらんかった……
ガ・ナボ大王国の近くには砂漠があってアンティカがいるのよね。
見知らぬ土地だ。見知らぬ戦場に、見知らぬ敵。そんなの当然だろ。
いいか、ナホ。恐怖を感じたら、銃身が焼けるまで撃て。腕が痺れるまで剣を振れ!敵を倒し続けているかぎり、きみらは死なない。戦場で確かなことは、それだけだ。
……。
私らは再突撃をかける!あんたらの援護射撃が命綱だ。頼んだよ!
やったろうぜー!
……わ、わかった。