淑女たちの饗宴 其の弐

レコ・ハボッカ ……よかった。全員欠けることなく、無事合流できたようだね。

ソロムグに集合したよ。

レコ・ハボッカ それでは今回の陽動作戦を説明するよ。我々が護るジュノ増援部隊巨蟹、双子の両戦闘魔導団は、ベフラギ街道沿いの荒れ地を踏破する、悪ルートを進軍中だ。

ソロムグの道、ベフラギ街道って名前なんだ。

レコ・ハボッカ それに対して、敵本隊の予想進軍ルートは……

ティル・ミドゥーリ あ、りぃも参加するんだ?今回もよろしくね。

作戦説明中なのに、喋ってないで聞いた方がいいのでは!?

ティル・ミドゥーリ ふっふっふ。やっぱりでっかい作戦は腕がなるよねぇ~!
ミル・パコルマ ティルちゃんたらぁ出発前から、テンション高くてさぁ。ここまでの道中、うるさいのなんのってぇ~。

ティル・ミドゥーリ いいじゃない!なんてったって、レコさま指揮の作戦だよ?いいとこ見せるチャーンス!

ロマー・ミーゴ そこ!ブリーフィング中だぞ。私語は慎め!

巻き添えくったぁ!!

レコ・ハボッカ ……ここから、街道は見通しの悪い隘路に差しかかっている。

レコ・ハボッカ だから、その後方、約1マルム先を伏撃地点とし崖上に猟豹義勇団の鉄砲隊を潜ませる。

レコ・ハボッカ いいか?僕が合図するまで、十分に引き付けるんだ。ナホ、それまで誰にも撃たせるなよ。
ナホ・ゴワンボ Naho 任しときんさい。

ティル・ミドゥーリ いゃーん、お仕事中のレコさまも凛々しくてすてきぃ~。
ミル・パコルマ もうぅ……ティルちゃん。まじめにやろうよぉ……。

レコ・ハボッカ それから、ロマー。君のコブラ傭兵には、突撃隊となってもらう。僕が合図したら、側面より傾れこみ、敵の退路を断つんだ。
ロマー・ミーゴ 承知。

レコ・ハボッカ しかし、報告によれば敵は大軍。逆に、我々が包囲される危険性も高い。もし、撤退号令をかけたら速やかに両団とも戦地より離脱すること。

ティル・ミドゥーリ はいっ!
ミル・パコルマ 了解でぇす~。

良い返事にニッコリ。

ナホ・ゴワンボ Naho 兄ちゃん!しんどい話はもう止めにせん?敵じゃったら全部、うちらがしごうしちゃるけ。
レコ・ハボッカ ふふふ。それは、頼もしいね。

レコ・ハボッカ きみたち、レディの底力、信じているよ。
ティル・ミドゥーリ は、はぁい!!

ティル・ミドゥーリ ……。

ティル・ミドゥーリ (……ねえねえ、敵どこ?来ないじゃあん。)

ナホ・ゴワンボ Naho (ふぁぁ。情報、ほんまに合うとるんね?うちらもう、くたびれたわ!)

来ないならそれに越したことはないけども。

ティル・ミドゥーリ (……ねぇ、ミル。敵軍の足音とか、聞こえない?私も、さっきから膝が痛くてさあ……)
ミル・パコルマ (しぃ~!喋ってると怒られるよぉ~?)

ナホ・ゴワンボ Naho (はよ来んさいや、どん亀が。まとめて鉄板焼にしちゃるんじゃけ!)

ロマー・ミーゴ くんくんくん……。シッ!静かに。

ロマー・ミーゴ ……間違いない。奴らの臭いだ。来たよ!!
レコ・ハボッカ !!

硬そぉ~。

ロマー・ミーゴ どうやらクゥダフの重装歩兵のようだね。
レコ・ハボッカ やけに行軍が速いな。攻城兵器を伴っていないのか……くそっ、こいつら、本隊ではない?

ロマー・ミーゴ そう判断するのは早計だよ。だって、この足音はおそらく……

ナホ・ゴワンボ Naho (そろそろ、頃合いじゃね。ええ?一斉射撃でぶっ潰すけぇね。)

あの鎧に銃効くのかな?
ヘッドショットとかしないと…。頭も固そうだけど。

ロマー・ミーゴ 間違いない、巨人だよ!!

ナホ・ゴワンボ Naho ……はあ!?なんねぇ、あれ!
Nzha Abaleenah ちょ、あんなん、聞いとらんよ……!

ロベルアクベルの情報で巨人もいるって言ってたのにこんなに驚くの、やっぱり見たこともなかったのかな。

レコ・ハボッカ ……。
ロマー・ミーゴ (まずいね……見える範囲でも、ギガースが1ダース……。この数で、反撃を防ぎきれるのか……?)

レコ・ハボッカ (やるしかない。もし、ここで我々が撤退したら、連中は確実に10マルム先で我が方の魔導団と遭遇する。強行軍で疲弊している味方に、まず勝ち目はない……。)
ロマー・ミーゴ (しかし……!)

レコ・ハボッカ (しっ、僕を信じて……)

まだそんな寝転がってて大丈夫なんかい!?

レコ・ハボッカ (よし、いいぞ。あと少しだ……)

レコ・ハボッカ ナホ、まだ撃たせるなよ。

レコ・ハボッカ 待て……待て……

レコ・ハボッカ よし!撃てえ!

レコ・ハボッカ よし、よくやった。

想像以上の火力だった!

レコ・ハボッカ 次弾装填を急げ!敵にこちらの位置を特定させるな!

レコ・ハボッカ コブラ団!敵の側面を突いて攪乱する。次に猟豹団が撃ったら一気にこの崖を駆け降りるんだ!

ロマー・ミーゴ 了解!

レコ・ハボッカ 撃てえ!

レコ・ハボッカ ……総員、抜刀用意!!

レコ・ハボッカ 深呼吸しろ。

レコ・ハボッカ ……突貫!!

どこからともなくチョコボが!

レコ・ハボッカ 臆するな!

レコ、見事な指揮だけどそういう仕事してたのかな。

あっ、ナホ!

ナホ・ゴワンボ Naho ひいぃっ!!

それはいかーーーーん!!
逃げて!!

飛苦無!

面の隙間から命中した!
お見事!

ナホ・ゴワンボ Naho うううぅぅ……

あんなに威勢振りまいてたのに!

まぁ、未知の敵の前には臆するよね。

ナホ・ゴワンボ Naho ……!?

レコ・ハボッカ 怯むな!立て!さっきまでの威勢はどうした?
ナホ・ゴワンボ Naho ……。

ナホ・ゴワンボ Naho あんとな敵、見たことないわ……アンティカも異なげじゃったけどあんな大きいのはおらんかった……

ガ・ナボ大王国の近くには砂漠があってアンティカがいるのよね。

レコ・ハボッカ 見知らぬ土地だ。見知らぬ戦場に、見知らぬ敵。そんなの当然だろ。

レコ・ハボッカ いいか、ナホ。恐怖を感じたら、銃身が焼けるまで撃て。腕が痺れるまで剣を振れ!敵を倒し続けているかぎり、きみらは死なない。戦場で確かなことは、それだけだ。
ナホ・ゴワンボ Naho ……。

ロマー・ミーゴ 私らは再突撃をかける!あんたらの援護射撃が命綱だ。頼んだよ!

りぃ やったろうぜー!

ナホ・ゴワンボ Naho ……わ、わかった。