やっと見つけた。
ここかぁ。
櫓の上に見張りがいて、その下…。
ちょっと待って!
丸見えじゃないですかね!!?!?
……オーク軍の小隊か?
がっつり見えてる!
いいのかこれで!?
あっ、りぃ!あれ見て!
あっ!
アルテニア!
後ろ手で縛られてる。
突き飛ばされたっ。
こいつ…。
おい、ダルヴィーユ。ブッチズボッチ様は気がみじけぇんだ。さっさと済ませろ。
……ついに正体を現したわね。神殿大騎士ダルヴィーユ。
前から怪しいと思っていたけれど……。
……お前がいつから疑念を抱いていたのかなど、興味はない。深入りしたのが運のつきだったな。
王を裏切り、まして宿敵のオークどもに味方を売るなんて……。
答えなさい!あなたの目的は何なの!?
そう、それよ。
勘違いするな。私はただ、サンドリアを本来あるべき姿へと導いているに過ぎん。
本来あるべき姿?
……?どういうこと?
現国王……いや僭主デスティン・R・ドラギーユは我が同志らの手によって殺害される。
……そう。10年前、先の国王グランテュールがオークの襲撃で死んだようにな。くくく……。
な、なんですって?
10年前の国王殺害もダルヴィーユが関わってる?
??? : グウォォォォォオオオ!
ん?
向こうの櫓の上で雄叫び上げてるオークが。
お、おい、ダルヴィーユ!ブッチズボッチ様が痺れをきらしちまうぞッ!トバッチリは小隊長のオレサマにまわってくるんだ。早くしやがれッ!
オーク社会も中間管理職はつらいのね。
くそ!助けたいけど、敵の数が多すぎるよ。
今出ても返り討ちにあうだけ。
何かきっかけがあれば。
それにしてもエグセニミルはどこに行ったんだろう……
……余話が過ぎたな。そろそろ終わりにしよう。
この状況で相手を睨みつけて目を逸らさない。
アルテニア、強い。
ま、まずい!
ん?
誰か走ってる。
あっ!
蹴りが顔面にクリーンヒットー!!!
崖を落ち叫び声と共に水没……これは痛い!!
……エグセニミル!どうしてここに!?
すごい!
ヒーローだよ!
グッ……貴様はッ!!
いやでもこの状況はあまりに無謀っ。
エ、エグセニミル!?……りぃ。今だ、アルテニアを!
うん。
まさかお前から会いに来てくれるとは……
オレサマは嬉しいぞ、エグセニミル!
ふんッ!お前の顔を見るために、わざわざ走ってきたんじゃねーよ!ゾッグボッグ!!
ちょっと待ったぁ~。
ラーアル!りぃさんまで!
また会ったな!お前ら!グフフフフッ!飛んで火にいる夏の虫とはこのことだァ!!
(クロッグクラックブレック!!)
げッ!ブッチズボッチ様!
お怒り?
(ドヌックヴェックズックグレッグ!)
…………。ヴォックブロックグレッグ!!
……どうする?ブッチズボッチ様はいま、とてつもなく機嫌が悪いようだぞ?
……ちょっと、なんかスゴそうなのが出てきたよ!
…………。
おい、りぃ。あのデカいのはお前に任せる。やれるだろ?
信頼されたものね。
残りのオークはオレとラーアルで何とかする。もしもドジ踏んでみろ。あとで領地のゴミ拾いだからな。
わかった。
た、頼んだよ。りぃ!
ラーアルもしっかりね。
グゥォォォォオオ!!