全部倒し終わったみたい。
鷲獅子騎士団初勝利だ!
ハァ……ハァ……。
あっ!
ヴェラニスさんッ!?
首長ぇ~~~!!
しっかりしてください!ヴェラニスさん!!
すみません。ヴェラニスさん。僕の不注意で……こんな……こんなことに……
泣いてる…。
でも、ラーアルのせいじゃなくて、毒ガスを受けた後の治療を拒んだ時点で望みは薄かったんだと思うよ。
他の人を毒ガスの被害にあわせないために、自分を犠牲にして…。
……私も毒ガス吸ったけど、この後治療受けるから大丈夫。
たぶん。
ラーアル……君はまるで、昔の私を見ているようだ……。
え?この僕が……?
ああ、私も駆け出しの従者だった頃は、少しでも手柄を立てたくてみなに一人前と認められたくて……ただがむしゃらに走り回りそして空回りばかりしていた……。
ヴェラニスさん……。
ラーアル……そんな顔するな。騎士とはみなの笑顔を護り……そして、笑顔で死ぬものだ……。
はははっ……。ラーアル……いい……笑顔……だ……。
ヴェラニスさん……?
ヴェラニスさぁぁぁん!!
ヴェラニス…。
あなたが育てたその子はね、とても立派な騎士になったんだよ。
どうぞ、安らかに…。
ロンジェルツ隊長!
……隊長?いつから我が隊はミジンコを隊士にした?
い、今は僕らはミジンコかもしれません……けど……けど、いつか、ヴェラニスさんみたいな騎士になりたいと思ってます!なんだってやります!僕らを鉄羊騎士隊の末席に加えてください!
ほほう……ミジンコのくせに……言うことだけは昔のヴェラニスのようだ……。
……続きは王都で聞こう。
おっ、ちょっと認めた!
臆せずオークに立ち向かって行って倒したところ見てたんだろうな。
やったな、団長!
兄じゃ。僕ら、騎士になれるんだね!
違う!きっと、それは違う!
けど、僕らは大切な一歩を踏み出したと思うんだ。そう、騎士になるための、大切な第一歩を……。
でも、まずは王都に帰りつかなきゃ。ロロンの首が長くなりすぎる前にね。
ははははは!
これ以上エルヴァーンの首が長くなるのは勘弁してあげてぇ~~~
ガルレージュ要塞での出来事、ラーアル団長からすべて聞いたであります。ヴェラニスさんの話聞いたであります。我輩、騎士になったら獣人どもに復讐してやるつもりであります!
拳握りこんで震えてる…。
心なしか顔つきが大人びたような。
あ、そろそろ作戦会議が始まる時間……もうしばらく、そこで待つであります。
みんな、聞いてくれ。
やっぱり僕らは、正式な鉄羊騎士隊の隊士としては認められなかった。
あ~あ。
くそっ、あの石頭め!
けど、その代わり騎士隊の訓練に自主参加する許可をもらった。
あら、すごいじゃない。
ひええ!泥沼と蛇穴と剣山コースで有名なあの鉄羊騎士隊の訓練でありますか?
めちゃくちゃ腰が引けとる!!
うぅ……嬉しいやら恐ろしいやらで膝がガクガクしてきたであります。
ははは。僕もだよ。けど、あの隊長に、鷲獅子騎士団の根性を見せてやるチャンスだとも思うんだ。
団長、僕はどうなるのでしょうか?
安心して、ビスティヨ。君には工兵隊で、戦車の開発に協力してもらいたいそうだ。見どころがあるってさ。
おお~!
開発!? 任せてください!日々の研究の成果を見せてやります!
それから、りぃ。これ、君にだって。隊長から言付かってきたんだ。
あら、ありがとう。
今日は解散。
訓練頑張れよぉ。子ども達。
ねぇ、りぃ。君と一度、ゆっくり話がしたかったんだ。
どうしたの?
君……ひょっとしてタブナジアに行ったことがあるんじゃない?
えっ!?
……あるいは、少なくとも彼の地について何かを知ってる……多分、僕らの知らない何かを……。
行ったことは…無い。けど…。
……いや、やっぱりなにも言わなくていいや!
僕、次にエグセニミルに会ったらうんと話したいことがあるんだ。
そして、きっともっと、わかりあえると思うんだ……きっと……。
うん、そうだね。
大丈夫だよ。
……会えるの20年後とかかもだけど。
帰ってくる前にどこかで会ってたりするのかな。
あら、エグセニミル。
どうした?エグセニミル。
……いえ、なんでもありません。
分かっているな?あの大軍が先に着けば、タブナジアは重囲されよう。この砂丘、何としても今夜中に突破するぞ。
……了解です。隊長。
……出発だ!
もうすぐタブナジアに到着するのか…。
プリッシュとか子どもウルミアとかいるよね。
もしかしてエグセニミルは会った事あるのかな。
フルメタルブレットを手にいれた!