玉冠の獣、ふたたび 其の壱

入場開始してる!

マヤコフ ……あら、またあんたなの。懲りないお嬢さんねぇ。

りぃ じゃじゃーん。
マヤコフ え?チケットを持ってきたですって?

マヤコフ ……フーン。
ギンダフ ……なんだか、ボロボロですね。

20年物ですからね…。

マヤコフ これ、ホンモノなの?
りぃ 本物だよぉ。

ギンダフ ここに我が舞踏団のシンボルメリュジーヌの印が、確かに捺してあります。団長、どうしましょう?

マヤコフ …………。

マヤコフ ……ダメダメ!おとといいらっしゃい!そうやって、さっきから偽チケットで入り込もうってヤツが後を絶たないのよ!

くっ…。
確かにボロボロのチケットは怪しすぎると思うッ。

??? : ちょいと、邪魔するよ。

ん?

マヤコフ ん?あら!これは、これは!鉄鷹騎士隊のラジュリーズ男爵さま!

揉み手してるぅ!!

マヤコフ お待ちしておりましたっ!特等席を用意しておきましたのよ!
ラジュリーズ Ragelise ほほう。そいつは、うれしいねえ。……おや?

鉄鷹騎士隊…てつおうきしたい。って読むんだって。

マヤコフ ああぁ、コイツはボロボロのチケットで店に入り込もうとしたふてえ野郎でございますよ。
りぃ ぐぬぬ。

マヤコフ おまえたち、畳んでロンフォールの森に放り出しておやり!
りぃ 本物なのに!

ラジュリーズ おいおい、オレのダチに随分な仕打ちだねえ。
マヤコフ ……は?ラジュリーズさまの、ダチ?

ダチ?
初めて会うよね?

ラジュリーズ そうさ。なあ?だからさ、大目に見てやってくれよ。
マヤコフ とてもそんな立派な騎士さまには……あら、失礼。

どうして庇ってくれてるんだろう。

マヤコフ ……まあ、いつも御贔屓にしていただいてる、ラジュリーズさまのお友達ってことなら……。……とんだ無礼をいたしました。お許しくださいませ。

マヤコフ さあ、おふたりともまもなく開演時間ですよ。お急ぎくださいな。

お得意様の男爵の力すごい!

  
ラジュリーズ ……はは、災難だったなあ?あの団長は悪いヤツじゃねえんだがちっとばかし、頑固つうかワガママでな。

ラジュリーズ きみ、みたところ、なかなか腕が立ちそうだ。どっかの騎士隊のモンだろう?
りぃ 冒険者……じゃなくて、ええっと、ウィンダスに所属してるよ。

ラジュリーズ へえ!ウィンダスのコブラ傭兵団の一員!?どうりで肝が据わった目をしているわけだ。豪傑ロマー・ミーゴの噂はここ、王都まで轟いているぞ。オレもいつかお目にかかりたいものだ。

結構気が合うかもしれない?

ラジュリーズ ま、この戦局だ。辺り一面、敵さんばかり。どこの軍隊にしろ息つく暇すらねえ……。だろ?だったら、非番のときぐれえ何もかも忘れて、気の置けねえ仲間とどんちゃん騒ぎでもしねぇと身がもたねえ。

ラジュリーズ そう思って、声かけさせてもらったのさ。
りぃ そうだったのね。ありがとう。

りぃ ところで、初めて会うよね?隊長って言われてたけど、サンドリアのこと詳しくなくて。
ラジュリーズ あ?オレが何者かって?まあ、んなこた、いいってことよ。

ラジュリーズ それより、ここの舞踏団はショーはピカイチだって評判だ。踊り子の質だって、オレが保証する。一緒に楽しもうぜ。

ざっくばらんな人だ。

ラジュリーズ ……お?

開演のブザーだ。
  

ラジュリーズ (……始まるぞ!)