Cavernous Mawを覆う深緑の蔦が、大きく揺れた気がした。
りぃはCavernous Mawに吸いこまれてしまった!
またここだ。
どこからともなく、金属質の声が近づいてくる……。
ん?
……マガーツ、ボシーのあるトコロー♪
あっ、私を弾き飛ばした猫!
アーカツキーのシンペイさんが、おりたちてー♪
あらン?……おりおちたー、だったかしら?
落ちるの??
最初のトコロはマガーツ、カミーの……だったような?
禍つ神?
穏やかじゃないですね。
あ、過去ウィンダスクエの時に言ってたよ。
「禍星、現るとき 暁の神兵、降り立ちて」って。
まぁ、こんな唄のことはアタクシ、どうでもいいのよね。それよりも、いま気になるのは……
ん?
こっち見た。
ああ……!信じたくないわ。見てませんわ、見てませんもの。
あっ、倒れた。
アタクシってばなんてドジ子さんなんでしょう……人の子がここに入り込んできてたことにちっとも気づかなかったなんて。
悲しくなってきちゃった……この気持ちは、まさに灰色のどん底ね……アータに、この気持ちが伝わるかしら?
えっ。
あまり深刻そうに見えないからあんまり…。
いや…?
あら!人の子だっていうのにおわかりにならないの?少しはおわかりになってもよいはずなのに……。
って、アラヤダどういうこと!?人の子の背中にアンナモノが見えるなんて!!!
背中?
どういうことなのかしら?
何もないよ??
あらあらン?……もしかしてアータが手にしてるその力は……アタクシと同じ力……?
おヒゲがピンピンするわっ。間違いないわっ。
おヒゲ触ってる可愛いっ。
教えてさしあげるけれどそれは「時を自在に舞う力」。祝福されし者だけがもつ力よ。
時を自在に舞う力?
最初に禁断の口から過去に行ったときに手に入れた「純白の羽根」のことかしら。
いつのまにか手に握っていた、
白銀色の煌きを放つ羽根。
不思議な力を感じる。
って書いてるのよね。
どうして手に入れたのか謎すぎる。
……でも、アータのそれじゃ、アタクシのと比べたら頼りなさすぎるみたいねえ……
ま、いいけれど。おかげでひとつ望みを見つけられたんですもの。
望み?
そういえば最初に会った時忙しそうにしてたなぁ。
Regal Felineは、りぃをじっと見つめた。
アタクシ、実はねこの戦争が、世界に深い深い傷を残す前に少しでも早く終わるようにってひそかにこっそり翔けまわってたの……
なんと!
戦争を終わらせようとしてるの!?
それなのにエルヴァーンの騎士の国は、思いあがった政策をかかげ獣人軍にやられっぱなし。
ヒューム族は他の民の痛みを知ろうとせず、ガルカの民は他者への憎しみを深めてばかり。
ミスラ族は仲間どうしの小競りあいに明け暮れタルタルたちは、おろおろする間に聖都にヤグードの侵入を許してしまった……
そのうえ、結成されたばかりのアルタナ連合軍は、まだよちよち歩き。四国どうしの不信から、崩壊しかねない状態よ。
人間どうしようもないなぁ!!
アタクシの手ひとつだとぜんぜん足りないってことに気づいちゃったわ。
…………。
ねえ、アタクシのおシゴトを手伝ってくださらない?このまま放ってしまったら、たくさんの悲しみを生むにちがいない戦渦がヴァナ・ディールに拡がってしまうわ。でも、アタクシはこの時代に流される嘆きの涙がすこしでも少なくなることを望んでるの。
どーお?まったくのボランティアになると思うけれどアタクシのお願い、聞いてくださるかしら?
うっ。
でも戦争終わらないと困るから、手伝うしかないじゃないですか。
手伝うよ。
あら、うれしい!快く引き受けてくださるなんて。
よろしく頼むわね。人の子の未来は、おもにアータの肩にかかっていますのよ!
えっ、主に私に??
それって手伝いですか!?
……あ!そうそう「暁の神兵」のことを言いわすれていたわ。
暁の神兵さんはいくさの時代にあらわれて、世界を危機から救う存在と伝えられているの。英雄かしら?聖女かしら?どんな方かは知らないけれど、この時代にあらわれてくれるのかしら?
へぇ~。
アタクシ、このおヒゲのアンテナでシンペイさんを探して歩きますわ。あー、忙しい忙しい……
アンテナにかかってないってことは、私は暁の神兵ではないのね。
あらン?アタクシ、自己紹介がまだだったわね?
アタクシの名前はケット・シー……。近いうちに、またここでお逢いすることになると思うわ。
それまでは、勝手によろしくやっててちょうだい♪以上よ。
手伝えって言ったくせに、要件が無くて勝手によろしくやっとくの!?
どうしろってんだー!!