なんだ、私に何か用か?
現代のアイアンイーターにヒント貰うんだって。
なに、むかしウェライに剣術を教わっていたかだと?
うん。
ああ、そのとおりだ。師匠の教えのひとつひとつが、現在の私の血となり、肉となっている。師匠はよく言っていた。「川の支流は数あれど、流れる先は同じ海だ」と。
おお…。
深い。
あのときの私にその言葉の意味はわからなかった。だが、いくつもの試練を乗り越え、おぼろげに意味がわかるようになった……。
どうした?師匠が特別好んだ場所がないかだと?
うん。
そういえば、当時師匠はグンパと、よくグロウベルグに行っていたな……。あの山には何があったのだろう?
グロウベルグかぁ。
その前に報告ね。
どうだ、なにか情報はつかめたか?
かくかくしかじか。
なに、ウェライとグンパはよくグロウベルグに赴いているだと?
なるほど、グロウベルグか。あの山には洞窟がいくつもあるから、武器の隠し場所には事欠かないな。
俺はベルナー軍務大臣に報告しておこう。お前は現地に行って、実際に武器があるかどうか確かめてきてくれ。
ここかぁ。
地面が不自然に盛り上がっている……。
地面の下に隠された武器を見つけた……!
えっ、本当にあった!
でもこれだけじゃクーデターの証拠にはならないよなぁ。
そこで何をしている。
その武器に触れるな!
また君か。まさか、この場所まで来るとはな……。
あたりまえのように見つかってしまった。
何てことだ。密告が本当だったとは……。
なんだ、お前たちは?
われわれは憲兵隊だ。内乱罪の嫌疑で、あなた方を逮捕させてもらう。おとなしくご同行願おう。
ウェライ、私たちはどうやら彼らに追跡されていたようだ。
さっぱり話が見えんが……これはいったい、何の真似だ?
内乱の噂など、この目で見るまでは半信半疑だったが……これほど大量の武器を隠し持っているとあってはもはや弁解の余地はない。話は首府で聞こう。
そんなにいっぱいあるの。
……ここは黙って従ったほうがよさそうだな。
ああ。そうしよう、ウェライ。
情報提供者だそうだな。話は聞いている。ご苦労だった。
うーん。
ガルカだからって、ありもしない罪で酷い事されたりしないかなぁ…。
おい、大変なことになったぞ!!ベ、ベ、ベルナー軍務大臣が……大工房で暗殺されたらしい……!
えぇ!?
い、いや……まだはっきりとはわからん。賊が侵入しただけだという噂もある。確かめたいが大工房は厳戒態勢で近寄れないのだ……。
急転直下すぎる!
ベルナー軍務大臣がご無事だといいのだが……。
現在、第一級の厳戒態勢が敷かれている。部外者の立ち入りは禁止だ!
いま戻ったぞ!ベルナー軍務大臣は!?
はい、この中に……。……そちらは?
第二共和軍団の憲兵隊だ。私は別の事件で、彼らのもとに赴いていたが……彼ら共和軍団の長である軍務大臣が襲撃されたと聞いて、彼らも現場に立ちあいたいというので、ともに駆けつけたのだ。
そういうわけだ。
……ん?お前はあのときの……
知り合いか?
ウェライ逮捕の情報提供者です。
そうか。とにかく様子を見させてもらおう。
高身長にまぎれてササッと…
……ん?お前はちょっと待て!
ササーッ!