静かなる警鐘 其の弐

アイアンイーター なんだ、私に何か用か?

現代のアイアンイーターにヒント貰うんだって。

アイアンイーター なに、むかしウェライに剣術を教わっていたかだと?
りぃ うん。

アイアンイーター ああ、そのとおりだ。師匠の教えのひとつひとつが、現在の私の血となり、肉となっている。師匠はよく言っていた。「川の支流は数あれど、流れる先は同じ海だ」と。

おお…。
深い。

アイアンイーター あのときの私にその言葉の意味はわからなかった。だが、いくつもの試練を乗り越え、おぼろげに意味がわかるようになった……。

アイアンイーター どうした?師匠が特別好んだ場所がないかだと?
りぃ うん。

アイアンイーター そういえば、当時師匠はグンパと、よくグロウベルグに行っていたな……。あの山には何があったのだろう?

グロウベルグかぁ。
その前に報告ね。

エンゲルハルト どうだ、なにか情報はつかめたか?
りぃ かくかくしかじか。

エンゲルハルト なに、ウェライとグンパはよくグロウベルグに赴いているだと?

エンゲルハルト なるほど、グロウベルグか。あの山には洞窟がいくつもあるから、武器の隠し場所には事欠かないな。

エンゲルハルト 俺はベルナー軍務大臣に報告しておこう。お前は現地に行って、実際に武器があるかどうか確かめてきてくれ。

ここかぁ。

地面が不自然に盛り上がっている……。
地面の下に隠された武器を見つけた……!

えっ、本当にあった!
でもこれだけじゃクーデターの証拠にはならないよなぁ。

ウェライ そこで何をしている。

ウェライ その武器に触れるな!
グンパ また君か。まさか、この場所まで来るとはな……。

あたりまえのように見つかってしまった。

Dieter 何てことだ。密告が本当だったとは……。

ウェライ なんだ、お前たちは?

Dieter われわれは憲兵隊だ。内乱罪の嫌疑で、あなた方を逮捕させてもらう。おとなしくご同行願おう。
グンパ ウェライ、私たちはどうやら彼らに追跡されていたようだ。

ウェライ さっぱり話が見えんが……これはいったい、何の真似だ?
Dieter 内乱の噂など、この目で見るまでは半信半疑だったが……これほど大量の武器を隠し持っているとあってはもはや弁解の余地はない。話は首府で聞こう。

そんなにいっぱいあるの。

ウェライ ……ここは黙って従ったほうがよさそうだな。
グンパ ああ。そうしよう、ウェライ。

Dieter 情報提供者だそうだな。話は聞いている。ご苦労だった。

うーん。
ガルカだからって、ありもしない罪で酷い事されたりしないかなぁ…。

エンゲルハルト おい、大変なことになったぞ!!ベ、ベ、ベルナー軍務大臣が……大工房で暗殺されたらしい……!
りぃ えぇ!?

エンゲルハルト い、いや……まだはっきりとはわからん。賊が侵入しただけだという噂もある。確かめたいが大工房は厳戒態勢で近寄れないのだ……。

急転直下すぎる!

エンゲルハルト ベルナー軍務大臣がご無事だといいのだが……。

ジェントルタイガー Gentle Tiger 現在、第一級の厳戒態勢が敷かれている。部外者の立ち入りは禁止だ!

フォルカー いま戻ったぞ!ベルナー軍務大臣は!?
ジェントルタイガー はい、この中に……。……そちらは?

フォルカー 第二共和軍団の憲兵隊だ。私は別の事件で、彼らのもとに赴いていたが……彼ら共和軍団の長である軍務大臣が襲撃されたと聞いて、彼らも現場に立ちあいたいというので、ともに駆けつけたのだ。
Dieter そういうわけだ。

Dieter ……ん?お前はあのときの……
フォルカー 知り合いか?

Dieter ウェライ逮捕の情報提供者です。
フォルカー そうか。とにかく様子を見させてもらおう。

高身長にまぎれてササッと…

ジェントルタイガー ……ん?お前はちょっと待て!

ササーッ!