光の継承者 其の伍

白タルの散歩道

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騎士団の凱旋だ!

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デスティン国王 トリオンから話は聞いている。お前の力なくしては今のサンドリアの平和はないといっても過言ではあるまい。なんと礼をすればこの感謝の気持ちを伝えられるじゃろう……。

そうだな、お礼は…四六時中インスニマントとか、高低自由自在カメラとかがいいな。

デスティン国王 ところで問題の剣じゃが、まだロシュフォーニュが回復せぬゆえ、詳細は分からぬのだ……。

ロシュフォーニュ 陛下!

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デスティン国王 おぉ、ロシュフォーニュ!クレーディからいろいろと話は聞いている。身体の方はもういいのか?
ロシュフォーニュ ええ、このような自分を看病してくれた王女様たちには大変感謝しております。

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ロシュフォーニュ そして陛下、なんとお詫び申し上げれば……。
デスティン国王 ……こうして見ると確かにローテの面影がある。だがまさかお前が、あの死んだと思っていたロシュフォーニュとは……。そうと分かっておれば、もっと犠牲は少なくてすんだのであろう。許してくれ。

ロシュフォーニュ 陛下……。
デスティン国王 顔をあげてくれ、ロシュフォーニュ。昔話に花を咲かせたいのはやまやまじゃが、聞かせてはくれぬか、あの聖剣の話を……。

ロシュフォーニュ えぇ、私もそのつもりでした。

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ロシュフォーニュ そもそもあの剣は、ランペール王が分家であるタブナジア侯爵家へ厳重な保管を命じたもの。我々タブナジア侯爵家の者は成人の儀の際にそのことを知らされるのです。
クレーディ では、母上も?

ロシュフォーニュ そう、ローテ姉上も。と同時に我々は「夢幻花」が剣に対して特別な力を持つことも教えられました。
クレーディ 私があの時投げた……。母上の遺言はそれだったのですね。

庭に夢幻花を絶やすな、と。

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ロシュフォーニュ だけど、私たちはその剣が何であるのかまでは知らされてなかった……。いえ、おそらく誰も知らなかったでしょう。ただ、決して抜くことはならない、と言われていました。

ランペール王が厳重な保管を命じたということは、ランペール王はちょっとだけでも抜いたことがあったのかな。

ロシュフォーニュ だけど、あの大戦の際に……。

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ロシュフォーニュ あの日、我々侯爵家は獣人軍により陥落したタブナジアを逃れ、サンドリアへと急いでいました。もちろん聖剣もたずさえて。

あの混戦の中、中心部から抜け出すとは。
地下の抜け道とかがあったんだろうな。

ロシュフォーニュ しかし、幼い私は自らの故郷が目の前で焼かれるのに耐えられず、荷の中にあった聖剣を手にし、みなが止めるのも聞かずタブナジアへと戻ろうとしたのです。

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ロシュフォーニュ しかしその途中、オークの小隊に見つかってしまった私はやむなく手にしていた剣を抜いてしまった……。

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ロシュフォーニュ 抜いたと同時にまばゆい光につつまれ、自分が全能になったような、あたかも神になったかのような意識を感じた……。

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ロシュフォーニュ どれぐらい経ったでしょう、ある男に起こされた時には、見知らぬ海岸にいました。しかしすでに聖剣は手にしていなかった……。

ロシュフォーニュ その男によると、謎の爆発によりこの近辺は水没したとのこと。やがて、ここがタブナジアの領地であり、そのほとんどが海の底に沈んだことも分かってきました。

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ロシュフォーニュ 彼によれば、オークが持ち込んだ兵器が誤爆したのではないか、ということでしたがこれだけ跡形もなくなるとそれも分からないだろう、とのことでした。

まさか聖剣のエネルギーで…とか想像しようもないから、そういう推測になるよね。

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ロシュフォーニュ 私はその後もタブナジアに引き返してからの記憶が何年も戻らず、その男の話を信じていたのですが、ある時、ふとした拍子に記憶が蘇り、そしてすべての真相が分かりました。

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ロシュフォーニュ あの剣を抜いたために、タブナジアが消滅したのだと。自分の一族だけでなく、罪なき民までこの手で殺めてしまったのだと!

絶望だっただろうなぁ。

ロシュフォーニュ 自分はそれ以来、自らの幼き過ちを悔い、なんとしてでもあの剣を探し出し、誰の手にも触れられぬよう封印するまでは地獄すら行くことはできぬ、と誓ったのです。

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トリオン にわかには信じられん話だが……。
ピエージェ あのタブナジアに獣人軍を集める、という作戦はあそこに聖剣があったから成功したのかもしれないな……。なぜか獣人はあの聖剣を生理的に憎んでいた、ということだから。

なるほど。そうかも。

たまたまなのか、エルドナーシュはタブナジアに聖剣があることを知っていて囮作戦をそれとなく提案した、とか?

ピエージェ それにしてもなぜあなたは無事だったのです?

それだよね。
半島が吹っ飛ぶ爆心地にいたのに五体満足でピンピンしてるとか。

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ロシュフォーニュ 逃避行の最中、道端に咲く美しい夢幻花を見て、ふとローテ姉上が草花をお好きだったことを思い出し、摘んで懐に入れた……。あれが偶然、私を助けてくれたのかもしれない。

そんな偶然。と思うけど、運命の分かれ目はそんな偶然なのかもしれない。

デスティン国王 しかし、ランペール王はあの剣を手にサンドリアを平定した、と伝えられている……。そんな恐ろしい剣をなぜ?
ロシュフォーニュ それは私にも分かりません。しかし、あれを我々が手にすること自体がそもそもの間違いなのです。

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ロシュフォーニュ 今我々がなすべきことは、あの剣を封印することです。それもランペール王の力を借りることになるでしょう……。
デスティン国王 うむ、それならばここに適任の人物がおるようじゃ。

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デスティン国王 りぃよ、お前はランペール王の墓に関して詳しかろう。わしらもすぐに向かうゆえ、先遣隊として赴き、周辺の警備を頼みたい。

えーっ!?
私っスか!?
みんなこっち見てるし!!!

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デスティン国王 まだオークどもが剣を狙っておるやもしれぬからな。

りぃ わかったよぉ。