トリオン様が冒険者の手を借りたいとおっしゃっている。どうだ、受けてくれるか?
うん。いいよー。
うむ、何かお急ぎのようだったから至急ドラギーユ城内のトリオン様の私室へ行ってくれ。
待ち構えとる!!!
うむ、お前か、りぃ。いつもご苦労だ。今度頼みたい仕事は、例の「龍王の秘宝」に関することなのだが…。
王子が労ってくれた~!
宮廷学者たちの話によると、それは真のランペール王の墓にあるのではないか、ということなのだ。
真の?
実は、今あるランペール王の墓は本物ではない。新たに建立したものだ。
そうなんだ。
大戦中の混乱があったとはいえ、偉大なる祖先の墓の行方がわからなくなっていたことはこのドラギーユ王家の恥でもある。
お墓の場所って分からなくなるものかな??
勝手に移動するわけでもないだろうに?
秘宝の有無に関係なく、我が国の士気を揚げるためにも一刻も早く真の墓を探し出したい。
確かに伝説の王様のお墓が見つかれば大ニュース。
そこでお前に調査を依頼したい。信頼しうるお前なら、もし発見に成功したとして、王家の墓に手を出すこともなかろう。頼んだぞ。
うおーめちゃくちゃ信頼されとるー!
わかった。探してみるよ。
というわけでお墓にワープ。
で、まぁ、怪しい場所ってここなんですけどね。
いやでも、こんな誰でも来れて誰が見ても扉な場所、分からなくなるはずがなくなくなくない??
わぁー!?
扉を守ってる?
えっ、倒したら普通に扉開いたし!
お墓あるやん!!!
どうしてこれが見つからないの!?
とりあえず、お参りしとこう。
なむなむ。
あ、なんか見っけ。
古代サンドリア語の古文書を発見した。
読めん。
なるほど…、こんなところに隠された霊廟があったとはな。
ん?
あっ、つけてきたなー。
やはりあの時だったのか、あれを落としてしまったのは…。
あれ?
まぁ、お前が拾ってくれたのは不幸中の幸いだ。まだドラギーユの連中は気づいていないんだろう?
あ、王妃様の庭で拾った紙くずのことね。
やっぱりロシュフォーニュが落としてたんだ。
ランペール王、ようやくあなたの墓前にたどりつくことができました。だが、以前よりもあなたとの距離を感じるのは皮肉なことです。
距離を感じてる?
どうか…、どうか俺を見守っていてください。いや、俺はそんな身分ではない。それどころか、いまの俺は…。
俺はどうなのさ?
せめて、俺の行いが間違っていないかどうか、そこで見ていてください。それだけで、俺は救われる。偉大なる龍王よ…。
お墓にこんなに語りかけるって、信仰心が厚い人なのかな?
しかし、死んだ人を心の拠り所にするほど不安に思うことをやろうとしてるってこと?
何をしでかす気なんだろう。
そいつをちょっと見せてくれないか。取りはしないさ。そもそもここが発見できたのは俺のおかげでもあるだろう?
俺のおかげ?
あっ、あのメモのこと?
「偽りに向かいし時、真実はその背後に隠されている」
( ´゚д゚`)
真の墓のことやったんかい!!
すまない。…やはり暗号で書かれているか。しかも、古代サンドリア文字が使われている。そもそもそれは俺には関係がなさそうだ。
ロシュフォーニュも読めなかったのね。
しかしその古文書の他には、ここにはもうめぼしいものはなさそうだな。…ここでもなかったか。
秘宝のことかな。
帰って行った。
私も戻るかー。