厚き壁 其の壱

白タルの散歩道

Grilau ドラギーユ城から、経験豊富な冒険者を1人よこしてほしいとのお達しだ。なんでも、サンドリアを不吉なものが覆っているとのことだ。くわしい話はまたあるだろう。
りぃ えっ、物騒だわね…。

Grilau では、早速謁見の間に出向いてほしい。現在国王様は少し体調を崩されているとのこと、もしかすると不在かもしれぬ。その場合はまた謁見の間にて指示があるだろう。

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ハルヴァー やはり、りぃか、これは心強い。さぁ、早く謁見の間へ行くがいい。
りぃ ほほーい。

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トリオン りぃ、待ちかねたぞ。またしてもお前の力を貸してほしいのだ。
りぃ うん。王様大丈夫?

トリオン 王はどうされたのかだと?……父上は少々お疲れのようで私室で休んでおられる。

結構なお年ということだし、これだけいろいろあるとそりゃあ疲れるよね。

…って、用語辞典見てみたら60歳だって。
現代じゃ年寄りではなくなったけど、ヴァナディールのご時世ならそれなりかぁ。

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トリオン なに、心配することはない、聖剣も国に帰り、ひと安心されたのだろう。食事も口にしておられるから、すぐによくなるはずだ。

大丈夫そうね。よかった。

トリオン それよりもお前を呼んだのは、教皇様が気になる話があるゆえ、お前をここへ呼ぶように、とおっしゃったからなのだ。そろそろおいでになるかと……。
りぃ うげぇ。

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教皇 遅れまして申し訳ありませぬ。

来ちゃったよ。

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教皇 お話というのは他でもない、国家に関わる重大なご報告……。どうやら、ここサンドリアを中心に魔法壁が張られているようなのです。
トリオン 魔法壁……?

えぇ…?本当に?

教皇 この魔法壁は……、大戦時にタブナジアが都を護るために使用したものと同じものと思われます。

オープニングムービーではすぐに攻め込まれてたから、障壁破られた後だったのかな。

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ピエージェ 「精霊の障壁」、ですか。妙ですね、あの魔法壁はタブナジア侯爵家のみに伝わる、教皇様ですらご存知ない失われた術のはずでは?
トリオン ……ロシュフォーニュだ。やつが何か企んでいるに違いない。

ピエージェ しかし、この魔法壁により彼は何を?特に害はないと思われるが……。

だよねぇ。守ってくれてるんだもんね。
もしかして、中で大爆発が起こっても外に影響はない…とかもあるのかな。

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教皇 確かにその通りではございますがなにぶん我々にも不可解な部分が多いもので断定的な物言いはできかねます。

謎すぎて不安だよね。

トリオン フム……。それでりぃを呼んだというわけですな?
教皇 そうでございます。魔法壁には核となる媒体が必要なはずです。媒体は術によって異なりますが、必ずやどこかに埋められているに違いありません。

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ピエージェ それはどこに?
教皇 サンドリアを中心に3つ埋められていると思われます。それぞれヴォルボー、バルドニア、ノルバレンあたりにある、というところまでは分かっておるのですが……。

ずいぶん遠方からサンドリアを囲ってるのね。

教皇 もしも私ならば、冒険者も寄りつかぬような場所にひっそりと埋めるのですが、はてそんな都合のいい場所があったかどうか。
トリオン 教皇様も何かをお埋めになったことがあると……?

教皇 い、いえ……、その……。私もこういう職ですから魔法壁ぐらいは張ったことがありますゆえ、そう申しただけでございます。

ぶ、ブクク…いかん我慢しろ。

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教皇 それよりも注意しなければならないのは媒体を掘り出す順番が定められていることと、その媒体に罠がしかけてあるかもしれぬことです。下手に手を出せば痛い目に会うことでしょう。
ピエージェ さすがは教皇様。この手の術に関しては精通しておられる。

りぃ ブッフォ!!! ン、ンン!ゴホッゴホ!

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トリオン ウム、我が国でも指折りの冒険者りぃならばこれだけの話を聞けば、きっと魔法壁の媒体を探し出すことだろう。
教皇 では、よろしく頼みますぞ。

りぃ ファ、ヒャイ…。

あーむせて死ぬかと思った。

ピエージェの悪意なき嫌味(に聞こえるの)がもう最高だわ。

あ、教皇帰っていったわね。

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トリオン それにしても、あのロシュフォーニュなる者の消息がつかめぬ限り、継承の儀は延期せざるをえない。父上の体調のこともあるしな。
ピエージェ しかし兄上、やつは本当にタブナジア侯爵家の生き残りなのだろうか?それがもし真実なら、我々の血族ということにもなる……。

叔父さんだよね。

クレーディ そうよ、兄さん。

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トリオン クレーディ……!お前はまだ王族会議に参加できぬはずだろう。
クレーディ 忘れたの、兄さん?私はこの前成人の儀を終えたから、参加する権利があるのよ。
ピエージェ そうか……。

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トリオン フッ、そうだったな。これは失礼した。では早速お前の意見を聞かせてもらおうか、クレーディ。
クレーディ さきほどピエージェ兄さんが言っていたようにロシュフォーニュは私たちの叔父……、つまり母上の弟です。

トリオン やつの言うことを信用するならば、な。
クレーディ それならば私たちと彼とは話し合うべきなのではありませぬか?

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クレーディ ……ようやく、私もこの度のことで、大戦時に我がドラギーユ家が犯した過ちの一端を知ることができたのです。
トリオン 口に気をつけろ、クレーディ。ここにいるのは当家の者だけではないのだぞ。

すんません。まだいます。

クレーディ 隠すことなんかないわ、兄さん。大戦の際、ドラギーユ家は彼の国に獣人軍を誘導したのよ。つまりタブナジアを囮にしたの。
トリオン だが、あれが戦の行方を決したのは事実だ。あの篭城は、勢いづいた獣人どもの出鼻をくじく陽動作戦だったはず。彼らの奮闘のお陰で、我が軍は戦力を整える時間を稼げたのだ。

トリオン王子の言うこともその通りで、獣人軍がタブナジアに戦力の多くを割いている間に連合軍の精鋭部隊がズヴァール城に攻め入って闇の王を倒して、クリスタル戦争が終わってるんだよねぇ。
つまりタブナジアの犠牲無くしてあの段階での勝利は無かった、と。
もしかしたら敗北していたかもしれないし。

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クレーディ その結果、タブナジアは陥落し、ドラギーユ家の分家の血は絶え、多くの罪なき民までも犠牲になったのよ……。

それもそうなんだよね…。

トリオン タブナジアが滅亡したのは、獣人どもの攻城兵器が爆発したからだ。もっともそれにより、やつら自身も壊滅状態に陥ったのだがな。
クレーディ それならば、あのロシュフォーニュにそのことを話せばいいのではないですか?なにも捕らえることなど……。それが誇りある王室としてのやり方なのでしょうか?

トリオン 思い出してみろ、成人の儀でのやつの所業を……。何より、やつに話し合うつもりがあるならとっくに向こうからそれ相応の申し出があって然るべきではないのか?

確かにあんな喧嘩の売られ方したら、こちらから信じて下手に出るのは難しいよなぁ。

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クレーディ ……。なにか事情があるのかもしれません。私たちに言えない事情が……。
トリオン フッ、それならば今我々がやるべきことは、まずやつを捕らえ、その上で話をすることではないのか?

捕らえないで話できないのかなぁ。

クレーディ ……では兄さん、約束してください。彼を傷つけるようなまねはやめて。丁重に、ここへお連れするの。いい?
トリオン フム、よかろう。だがやつが抵抗した時は、その限りではないぞ。

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クレーディ ……ええ、分かったわ。私が言いたいことは、それだけです。

クレーディ王女は、もう誰にも傷ついてほしくないんだね。

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トリオン りぃよ、教皇様のおっしゃっていた媒体を探し出し、破壊することでこの謎の魔法壁から王都を解放してくれ。
りぃ はーい。

んじゃ、行ってくるかぁ。

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ピエージェ 兄さん、ここは“屍鳥隊”を派遣した方がいいかもしれないな……。
トリオン “屍鳥隊”!?ピエージェ、お前はいったい何を考えているんだ?

ピエージェ だから兄さんは甘いというのだ。ロシュフォーニュが下手に動けば、私たちもこうしてのうのうとはしていられない。

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ピエージェ りぃが「精霊の障壁」を破ろうとすることでやつがノコノコと現れるかもしれない……。布石は多い方がいいでしょう。
トリオン ウム……。では、その件はお前に任せる。

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いやー、しかし教皇は面白かったな。
常日頃からコソコソと色々やってるんだろうねぇ。

りぃ あれ?姫様?

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クレーディ あなたにもお願いします、けっしてあのロシュフォーニュを傷つけないで。あの人は私たちに何かを伝えようとしている気がするのです……。
りぃ うん。わかった。

何かと顔見知りだから、状況を伝えるくらいできるでしょ。

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クレーディ こうなってしまっては、私が自ら……。