1万年の夢の終わりに 其の壱

ライオン、消えて死んじゃったのかなぁ。
きっと、ラオグリムみたいに何処かにいると思うんだよね。

りぃ でも、今いなくなったのは確かだから、ギルガメッシュに報告に行かないと…。

うぅ、気が重い…。

白タルの散歩道

ギルガメッシュ 無事戻ったな。
りぃ うん。

ギルガメッシュ 後世に語り継がれる英雄譚にはならねえが、歴史の裏舞台なんてのはそんなもんさ。多くの人間は知らなくてもいいことがたくさんある。
りぃ うん。そうだね。

白タルの散歩道

ギルガメッシュ だがな、おまえのおかげで、このヴァナ・ディールは救われたんだ。本当にありがとうよ。
りぃ どういたしまして。…それであの、言いにくいのだけど…。

白タルの散歩道

ギルガメッシュ ライオンのことだが、おまえがくるちょっと前にアルドがきてな。なにが起きたのか話はすべて聞いた。
りぃ あ、そうなんだ。

珍しくいい仕事をしてくれた。

白タルの散歩道

ギルガメッシュ バカ野郎が。育ての親より先にいっちまうなんてよ…。親不孝にもほどがあるってんだ。
りぃ 本当だよね。

生きてる気がする。
とは言わない方がいいか。
何の確信もないことだし。

ギルガメッシュ あいつはな、ほんの小さなガキだったとき、どっからかこの島に流れてきたんだ。
りぃ え、流れて?

白タルの散歩道

ギルガメッシュ それまでどこで何をやってたのか、誰にもわからねえ。大戦当時は、そんな話はそこら中にゴロゴロしてた。
りぃ そっか…。

ギルガメッシュ 先代のおやじから子育て任されたときはどうしたもんかと当時は困惑したもんだがな。いろいろ学ばされたもんさ。あいつがいなかったらいまの俺はなかった。

白タルの散歩道

ギルガメッシュ 海賊やってる親をあいつが実際どう思っていたのかはいまとなってはわからねえ…

あれだけたくましく育ってるから、全然OKだったのだと思う。うん。

ギルガメッシュ だがな、血は繋がってなくとも世界を救ったあいつは俺の自慢の娘だ。
りぃ うん。そうだね。

さんざん便乗されたけど、なんだかんだと一番頑張ってたよ。

白タルの散歩道

ギルガメッシュ 古代人の1万年の夢にだいぶ引っ掻き回されちまったが世界各地にはまだ獣人がわんさかいやがる。表舞台はなにも変わっちゃいねえ。

ジュノ大公がいなくなったわけだけど、一般人には遠い話だしね。

ギルガメッシュ そう、なにも変わらねえのさ。物事を全体からみれば、今回のことですらちっぽけなことなのかもしれん。

いや、ヴァナ・ディールが滅びかけたんだから、ちっぽけではないと思う…。

ギルガメッシュ ライオンのことはうちの連中には知らせてねえ。長いこと各地を放浪させてたからな。いまも飛び回ってることになってる。
りぃ うん。わかった。

ギルガメッシュ 死んだ人間はいつしか忘れられちまう、哀しいことは忘れるのがいちばん楽だからな…だがあいつは生きている、このノーグでな。